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特集1/大分県版第4次産業革命"OITA4.0"への挑戦
特集2/祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク
風紋/再び「雨ニモマケズ」
県民ひろば1/認知症の人とその家族が安心して暮らせる地域のために
県民ひろば2/森で遊ぼう! 森で学ぼう~「森の先生」を派遣します~
おおいたゆかりの図書/心ひらいて/おおいたの食彩
【PDF版】新時代おおいた [PDFファイル/7.85MB]
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現在は第4次産業革命の時代と言われています。産業革命とは、革新的な技術の登場によって世の中が飛躍的に便利になっていくことです。人類の歴史上、過去に3つの産業革命がありました。
「第4次産業革命」では、インターネットでいろいろなモノがつながり(IoT:モノのインターネット)、コンピューターがどんどん発達することによって、機械が自分で考えて動くようになる(AI:人工知能)と言われています。
この第4次産業革命で重要な役割を果たすものの1つがセンサーです。光や色、音、温度、圧力など様々な情報を集めることのできるセンサーが発達しており、これまで集められなかった情報を集めることができるようになっています。
もう1つが人工知能です。コンピューターの発達により、集められた膨大なデータ(ビッグデータ)を分析し、何をすればよいのか、コンピューターが自分で判断ができるようになってきています。
このような時代の流れに乗り遅れないよう、大分県が独自の第4次産業革命として取り組むのが”OITA4.0”です。
具体的には、私たちの日々の仕事や暮らしの中から、センサーを使って情報を集め、その情報をコンピューターで分析した結果をうまく利用するなど、仕事や暮らしを便利にしようとする企業のみなさんの取組を、応援しています。
今回は、こうした取組のいくつかをご紹介します。
~企業紹介~
1.(株)リモート【別府市】
(株)リモートが挑戦しようとしているのが、センサーを使った牛の繁殖率のアップです。
リモートでは、牛の体内温度をセンサーで測定することで、出産のタイミングが事前にわかる「牛温恵」というシステムを販売しており、全国各地の牧場で分娩事故の防止や見回り労力の軽減に役立っています。
さらに現在では、この「牛温恵」のセンサーに牛の排卵時期を予測できる機能を付け加える新たな技術開発にもチャレンジしています。
宇都宮社長によれば、牛1頭あたり年間3~4回程度、受精のタイミングを見逃しているとのことで、新機能によりこの見逃しを改善することで、子牛の頭数を増やし農家の収益を向上させていくことが期待されます。
「分娩事故、発情見逃しゼロ“0”への挑戦」
「牛温恵」についてお話を聞きました。
大分畜産Net“鼓動”会長 浅倉博文 氏
(株)リモート代表取締役社長 宇都宮茂夫 氏
開発のきっかけは、ご自分の経験から、と話す宇都宮社長。出産のタイミングが事前にわかる「牛温恵」というシステムを開発しました。
「27才まで畜産業に携っていました。その後IT業界に転職していましたが、50才でもう一度畜産に関わったときに、以前自分が困っていたことが20年たっても、まだ解決できていないことを知り、開発に取り組みました。完成までに4年かかりましたが、そのほとんどがデータの蓄積に要した時間です。今は、全国1,400牧場に導入されています。」
昨年5月に「牛温恵」を導入した浅倉会長は、導入には少し戸惑いもあったと言います。
「システムを入れる前は、年間3〜4回は分娩事故がありました。金銭的な損害のこともありますが、子牛を死なせてしまったことに、気持ちが落ち込みます。」
「うちの牧場では、月に4〜5頭生まれています。牛の出産は10日ほど予定日からずれたりするので、近くなると目が離せなくなります。夜中でも何度も見回りが必要でした。このシステムを入れたことで牛の状態が事前にわかるようになり、見回りが少なくなりました。情報もタブレットを利用して家族で共有ができ、出産の準備ができます。生まれるまでいつも心配がつきまとっていましたが、導入後は、安心と安眠をもらっています。」
システム導入後、浅倉会長の畜舎では、分娩事故は起こっていないそうです。
「子牛の死亡は、立ち会えば助かったであろう分娩事故が大半です。今、農家の方と協力して“分娩事故ゼロに挑戦”しています。うちは分娩がうまくいくように補助しているだけで、農家の方の力で達成できるもの。このシステムを導入して初めて夫婦で映画を見にいったという農家の方もいます。農家の方に喜ばれるとうれしいですね。」と、宇都宮社長。
「今後もIoTの技術を利用し、“困りごと”解決に挑戦していきます。」
2.モバイルクリエイト(株) 【大分市】
高齢化が進む中、病院や介護現場で働く看護師や介護士等スタッフのみなさんの負担はますます大きくなっています。
モバイルクリエイト(株)では、看護や介護の仕事の負担を軽減するシステムを新たに提案しています。
具体的には、現在手書きで記録している体温や血圧などの測定記録を、スマートフォンのボタンひとつで自動的に記録できるようにし、事務室に戻ってからの書類作成作業を減らそうというものです。
その他にもベッドに取り付けたセンサーやリストバンドのセンサーから温度や脈拍など様々な情報を収集し、人工知能も使って病気のリスクを予測する研究も行っていく予定です。
3.デジタルバンク(株) 【大分市】
近年、県内でも外国人観光客が増えており、今後もラグビーワールドカップや東京オリンピックなどで、ますますの増加が期待されます。
そうした外国人観光客の一番の困り事が言葉の問題です。会話ができないことに加え、何を書いているかわからないといったことが、ストレスになっているようです。
デジタルバンク(株)では、商品やメニュー、観光案内などにQRコードを貼り付け、それをスマートフォンで読み取れば英語、中国語、韓国語などで翻訳された情報を見ることのできるシステムを普及させようと計画しています。このシステムには、例えば「やせうま」、「関アジ・関サバ」といった大分県特有の言葉もきちんと翻訳できる機能をもたせる予定であり、大分県のおもてなし力の向上に貢献することが期待されます。
第4次産業革命の技術として注目されているものの1つにドローンがあります。ドローンとは小型の無人航空機のこと。カメラやセンサーなどを搭載して飛行することにより、様々な情報を集めることができます。
豊後大野市朝地町綿田地区の地割れや、県内を襲った九州北部豪雨の際にも活躍しており、今後もドローンを活用した新しいサービスの創出が期待されています。
人の立ち入りが危険な区域でも、被災状況の確認が可能です。
山岳遭難、水難などの捜索活動や大気などの環境モニタリング、ドローンを利用したレースなど、
様々な用途での活用が見込まれています。
薬散布だけではなく、山林状況のチェックなどにも利用されています。
第4次産業革命と言うと、難しいことのように感じますが、その究極の目的は、私たちの仕事や暮らしの中にある不便なことや手間のかかっていること、困っていることを、センサーや人工知能、ドローンなどの新しい技術を使って解決することです。
逆に言えば、普段我慢しているような不便なこと、困っていることに気づくことが、取組への出発点になります。
県では、”OITA4.0”の取組を応援する組織として大分県IoT推進ラボを県庁内に設置していますので、県民のみなさんの「気づき」を是非左記までお寄せください。
問 大分県IoT推進ラボ事務局(大分県商工労働部情報政策課) ☎097-506-4618
ドローン産業に関することはこちら
問 大分県ドローン協議会 ☎097-506-7100