vol.18 2001年9月発行

県内の各世帯に配布(奇数月に発行)しています。 ご意見・ご感想をお聞かせください。
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特集 地産地消 地域の農産物は地域で消費する

地域の風だより

表紙:シリーズ「男女共生」

 内藤 三枝子さん  大分銀行社会貢献室室長  
 内藤さんは昭和42年に大分銀行に入り、窓口、庶務、得意先まわりなど銀行でのひと通りの業務を経験し、平成5年、女性で初めての支店長に就任、昨年10月からは社会貢献室の室長として活躍しています。「何事も楽しく!」がモットーという内藤さんは、「仕事をする中で、男女ともお互いが得意な部分を自然に発揮できればいい。ここまでこれたのは、仲間に恵まれたことと、そのときそのときの仕事を自分なりに精一杯してきたから」と話します。  
 社会貢献室は、利益を追求する銀行の本来の業務とは離れて、文化、ボランティア、環境、スポーツなどの様々な分野で地域に貢献していくことを目的に昨年7月につくられました。内藤さんは、「いろいろ体験して企画のヒントにしたい」と、障害者との交流行事などに積極的に参加しています。また、毎月第2・3水曜日に本店で行われる「ウェンズディコンサート」を企画・実施するほか、子どもたちを対象にしたスポーツ教室の開催、銀行内で使われる紙のリサイクルなどの環境問題に取り組もうと意欲にあふれています。  
 「これからの女性は、仕事と家庭を両立させながら、自分らしさも持ち続けるすばらしい人になってほしい」とエールを送ります。

 

 

  生活スタイルが多様化している中で、食生活が変化し、食料を供給する農業・農村の問題も深刻になっています。そこで今回は、農業に携わって50年になる米ジイこと米蔵じいさんがそのかわいい孫ヒカリちゃんに「食」と「農」について話してくれました。


食料自給率の低下
 
米ジイ 今日は、食べ物と、わしが毎日しちょん農業の話をしようかの。ヒカリは、ちゃんとこのジイさまが作った米や野菜を毎日食べちょるが、どうじゃ。
ヒカリ ジイちゃんが作ったものはおいしいよ。
米ジイ そうか。そりゃうれしいのう。でもな、今の日本では、パンや麺類やらいろんな食べ物があふれて、お米を食べる人が減ってきちょんのじゃ。それに、肉や食用油をみんながたくさん食べるようになったから、牛や豚が食べるとうもろこしやらの飼料穀物、大豆やなたねは、海外からの輸入に頼っちょんのじゃ。広大な農地が必要で国内で作るのが難しいからな。日本の食料自給率は供給熱量ベースで40%。先進国の中でも一番低いんじゃ。
ヒカリ そうしたらどうなるの?
米ジイ 何かの原因で他の国から輸入できんなると、みんなが食べたいものが食べられなくなってくるんじゃ。そのとき日本で作ろうと言っても、そう簡単にできるもんじゃねえ。じゃけん、平成11年には、食料・農業・農村基本法がつくられ、日頃から食料自給率を上げていこうとしちょんのじゃな。

主要先進国の供給熱量自給率の推移
資料/食糧庁「データに見る日本の食料」
 
輸入農産物の増加
 
米ジイ 近ごろはな、中国から白ねぎ、生しいたけやらが輸入されて、安く売られるもんじゃけん、日本の農家は困っちょん。それで、国はセーフガード(緊急輸入制限)の暫定措置を発動して関税を引上げちょんが、これからは、外国に負けんような農業にしようといろいろ考えちょんのじゃ。それに遺伝子組み替え食品やらが増えて、みんな安全な食品を食べたいという思いが強くなってきちょるんじゃ。
   
ねぎ、生しいたけの輸入量の推移
 
 
ヒカリ そうかあ。大変だね。
米ジイ そうなんじゃ。それで、「地産地消」という考え方が注目され始めたんじゃ。
 
地産地消
 
ヒカリ 「地産地消」って言葉、初めて聞いたよ。どういう意味なの?
米ジイ 「地場生産 地場消費」を略した言葉で、地域で採れたものは地域で消費するということじゃ。県内では、地産地消「とよの国食彩」運動を進めて、県産農産物をたくさん食べて愛用してもらおうとみんながんばっちょんぞ。
ヒカリ みんなどんなことをしてるの?
米ジイ わしが大好きなお酒でいえば、焼酎や日本酒の酒造メーカーが地元の米や麦を使っちょんし、大分みそ協業組合(臼杵市)は宇佐の大豆「トヨシロメ」を原料にみそを作っちょん。ほかにも、豆腐、うどん、醤油やらいろんなものが作られちょんのじゃ。
ヒカリ へー、知らなかったな。
米ジイ そうじゃろ。野菜はスーパーやらの県産品コーナーなんかで売っちょるし、近ごろは農産物直販所も人気じゃ。朝収穫した野菜を生産者が自分で出荷するから新鮮で安い。商品には生産者の名前も書いちょって、消費者も安心して買えるところがいいんじゃな。

地産地消「とよの国食彩」運動

 農業団体、消費者団体、学校給食や流通の関係団体、行政などで構成されたおおいた農産物地場消費拡大推進協議会では、総合的な生産・流通対策を進めるため次の事業を行います。
 ◎県内消費者を対象にした「おおいたファンクラブ(仮称)」の結成
 ◎県産農産物を愛用している料理店などの認定
 ◎県産品を利用した料理や加工品のコンクールの実施
 ◎学校給食のための食材提供農園の設置
【問い合わせ】
農産物地場消費拡大推進協議会
〈事務局〉TEL  097-536-1111内線3632

安い・新鮮・安心を消費者へ(山国町)
 地元の人はもちろん、県外客もわざわざ訪れる「ふるさと産品直売所」は、平成5年から販売を始め、今では、JA中津下毛の会員約100人が野菜、乾しいたけなどの乾物、パン、加工品などを出荷しています。  
 毎朝、生産者が野菜を持ち込み、値段を付けます。商品には生産者名が書かれているので、利用するリピーターは、生産者名で野菜を選ぶといいます。  
 地元産の大豆を生のまま微粉砕し、丸ごと使ったおからのでない豆腐「耶馬の恵み」が好評です。
問 ふるさと産品直売所 0979-62-3138
野菜、加工品など品種が豊富なふるさと産品直売所
生産者と消費者の架け橋 (直川村)
 直川村生活改善協議会加工部の会員5人が、昭和61年から地元の農産物を使って加工品を作っています。
 一番人気は、無添加の「陸地(かちぢ)みそ」。原料の大豆は、直川村ほたる機械組合が栽培したもので、年間約900sを使います。「地元の大豆を使うと、みそにしたときの香りと粘りが違います。地元の人が作っているので安心して使えます」と工藤和枝さん。


問 直川村農産物加工場 0972-58-2800
手作りにこだわる直川村生活改善協議会加工部のみなさん
 
日本型食生活で健康に
 
ヒカリ 近ごろ、お母さんがダイエットって言って、ごはんを少ししか食べてないよ。
米ジイ そりゃ、いかん。ごはんをしっかり食べんと健康になれんぞ。近ごろは、ごはんやら穀物を食べる量が減って、脂肪分の多い食生活をする人が増えて糖尿病やらの生活習慣病が増えちょん。健康のためには、日本型食生活をとり戻すことが大事なんじゃ。
ヒカリ 日本型食生活って何?
米ジイ ごはんをきちんと食べて、魚、野菜、大豆、肉やらを組み合わせてバランスよく食べることじゃ。
ヒカリ 何でそんなにいいの?
米ジイ ごはんは、味が淡白じゃから、どんな食材・料理とも一緒に食べられるじゃろ。そうすると自然といろんなものを食べてバランスがとれるんじゃ。それにな、子どものころからいろんなものを食べる習慣ができて、豊かな食体験が身に付く。ごはんのある食卓を囲むことは、地域の食文化や家庭の味を受け継いだり、箸の持ち方や食事マナーを学ぶことになるんじゃな。
ヒカリ 日本型食生活にはごはんが欠かせないのね。
米ジイ もっとすごいパワーがごはんにはあるんじゃ。

毎月18日は「ごはんで元気デー」
ごはん食のパワー
 食事のかなめ  肥満や糖尿病を予防
 ごはんは、エネルギーのもとになる糖質(炭水化物)と、体内で合成できない必須アミノ酸(たんぱく質)をバランスよく含んでいます。    お米などに含まれる糖質は優先的にエネルギー消費に使われるため、ごはんは太る原因にはなりません。むしろ、ごはんは粒食で、そしゃくが必要で消化・吸収が緩やかになるため、インスリン(体脂肪の合成を促す作用があるホルモン)の分泌をあまり刺激しないことから、太りにくく、肥満や糖尿病の予防に有効です。また、ごはんはお米に水を吸わせて炊きあげるので水分が多く含まれています。水はノンカロリーなので、量のわりにはエネルギーが低く、ダイエットに適しています。
 高血圧、高脂血症や心臓病を予防  
 ごはんは、塩分やコレステロールを含んでいないので、高血圧、高脂血症や心臓病の予防に有効です。  
 便秘や大腸がんを予防  
 整腸作用を持つ食物繊維と同様の働きをする難消化性デンプン(レジスタントスターチ)を含み、便秘や大腸がんの予防に有効です。
 
 
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