今年4月から障害者自立支援法が施行されました。この法律では、身体、知的、精神の3区分であったサービスが一元化され、就労支援が強化されると同時に、安定的な財源確保のため、利用したサービスの量に応じて原則1割の自己負担が求められるようになりました。県では、その影響を調べるため、2回にわたり施設利用者などへのアンケートを実施しました。その結果、負担増を理由に通所授産施設や児童デイサービスの利用をやめたり、控えたりする方が、かなりいることが分かりました。そこで県では、市町村と協力して10月から、通所授産施設を利用するたびに奨励金を給付したり、児童デイサービスの料金を法施行前の水準に軽減するなどの、独自の支援策を行うこととしました。
また、10月から障がい児施設の負担金が大幅に増加するため、負担増の半額を軽減することとしました。
障がいのある方の生活は、法律の施行でどのような影響を受けているのでしょうか。別府市にある社会福祉法人「太陽の家」を訪ねました。ここでは、およそ800名の障がいのある方が、授産施設での訓練や共同出資会社、協力企業などで就労しています。通所授産施設の電子科でICの外観検査や電子関係の部品加工に従事する糸永要一郎さんにお話を伺いました。糸永さんは、別府市内で両親と生活し、授産施設に週5日間、通っています。スポーツ観戦が趣味と答える糸永さんは、電子科に10年以上在籍し、仕事に熟練したリーダー的な存在です。
「障害者自立支援法が施行されて、利用料で1か月に約8,000円支払うことになりました。このほかに食費が一食あたり600円かかるようになりましたので、合わせて約20,000円を負担しなければなりません。これでは、1か月の収入の半分が消えてしまうことになりますので、お昼は弁当を持参することにしました。わたしは、両親と同居していますのでなんとかやっていけますが、自立してアパート住まいの人などは厳しい状況です」と糸永さん。
現在、電子科には、13人在籍していますが、1人が退所し、残っている人も多くは親の援助で生計をやりくりしているといいます。
「県や市町村が、独自の支援策を行うことはありがたいことです。職場では、障がいを持つ人が多いですから、気兼ねなく何でも話し合えるし、ストレスを感じることもありません。できれば、ずっとここで働いていきたいと願っています」と糸永さんは語ります。県では、今回の支援と合わせて、国に対して障がい者の負担の在り方も含めた制度の改善を要望していくことにしています。
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糸永要一郎さん
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