大分県庁のホームページ 『新時代おおいた』のバックナンバー
特集1 小規模集落のくらしを守ろう
特集2 科学技術人材の育成を目指して
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特集2 科学技術人材の育成を目指して

 
 「おおいたものづくり発見ブック」が、副読本として小学校5年生に配布されました。この本には、身の回りのメード・イン・オオイタの製品や、県内の日本一(世界一)の企業が、イラストで分かりやすく掲載されています。
 大分県の将来のため、ものづくりを担う人材の育成はとても大切です。科学やものづくりに夢をもってもらいたい、そんな思いで進めている取り組みを紹介します。
配布されたおおいたものづくり発見ブックの写真

好奇心の芽を育てよう〜理科授業の充実に向けて〜

 理科の実験支援の取り組みを取材するため、大分市立吉野中学校を訪れました。
 実験前の葉の写真吉野中学校には理科の観察・実験をサポートするため、理科支援員が配置されています。支援員が実験の補助や生徒への目配りをすることで実験の安全性も増し、きめ細やかな指導ができるようになります。
 今日の実験の題目は「光合成でできる養分はなんだろう?」です。
 デンプンの存在を確かめるため、葉っぱにヨウ素液を落として反応を見るというこの実験、うまくいくでしょうか?
実験後の葉の写真 理科の授業を受け持つのは森山貴博教諭。分かりやすくユーモアを交えた説明の後は、早速班に分かれて実験開始です。にぎやかな声が飛び交い、楽しそうに作業が進みます。温めたアルコールに葉っぱをひたし脱色する過程では、生徒から「すごい。色が薄くなった!」と歓声が。脱色した葉っぱにヨウ素液を落とすと、デンプンの反応である青紫色に染まりました。成功です!
 吉野中学校の理科支援員である川口桃子さんにお話を伺いました。
理科支援員 川口桃子さん
 「以前は中学校で美術の講師をしていました。自分が教壇に立って授業を進めるときと違い、理科支援員として生徒の中を回って様子を見ていると、生徒のつぶやきとかひらめきとかが聞こえてくるんです。一人ひとりの発想が見えてきて、それを拾ってあげることができるのがいいですね」とほほ笑みます。川口さんは一つずつ班を回りながら、実験がスムーズに進むように助言します。
 理科の森山教諭は、理科に興味をもってもらうために「授業の進度も大切ですが、できる限り子どもたちの『なぜ?』という疑問に答えていきたいと思ってます。少しくらいわき道にそれても、興味や関心がわいたところを追求したり実験したりして、疑問の答えを見つけられるようにしています」とおっしゃいます。
 また、森山教諭はなるべく身近なものを教材に使うようにしているそうです。「今の子どもは、生活体験そのものが昔より減っているので、実体験の疑問と学校の勉強を結びつける力が弱いと思います。その結びつける力を付けることが、本当の意味での勉強だと思います」と語ってくださいました。
 みんなで身を乗り出して、生き生きと実験に取り組んでいた吉野中学校。「実験は楽しいし、理科も好き」と多くの生徒が口をそろえます。 
 森山教諭の写真と実験の様子



発明って楽しい!地域における

工作風景の写真 科学やものづくりに関心のある小・中学生が集まり、工作や実験など魅力ある活動を楽しみながら行っている団体、少年少女発明クラブの取り組みを紹介します。県内では6つの市(大分市、別府市、日田市、佐伯市、豊後高田市、杵築市)で発明クラブの活動が行われています。子どもたちに発明の楽しさを伝えたい、と熱心に活動している別府少年少女発明クラブの幸治男会長にお話を伺いました。
幸会長の写真
別府少年少女発明クラブの
幸治男会長
  「昨年度は、みんなでプロペラカーや歩行マシンを作りました。銅板に光を反射させると、そこに文様が浮かび出す「魔鏡」作りをしたときは、子どもたちが驚いてましたね。今年の夏は、津久見で石灰の泥団子作りをします。泥団子に色を付けた石灰の衣を付けたら、宝物みたいな玉ができるんです」と楽しそうに語ってくださいました。実験のこととなると、話は尽きない様子です。
 少年少女発明クラブは小学校4年生から6年生が中心。最初、4年生の子どもたちは道具も使えず、「待ち」の状態でいることが多いそうです。
 「でも、5〜6年生になると、子どもたちが変わってくるんですよ」と幸会長。
 「人が喜ぶものを作ろう、不便をなくそう、という気持ちが発明のもとなんですね。だから私は常に、不便や不愉快などの『不』をとるように考えなさいと言い続けてます。次第にみんなから『こうしたら便利かも』、『これは喜ばれそう』などの質問や意見が出てきます。自分で考えることで、創造力が生まれるんですよ」と顔をほころばせます。
 自分で道具を使い、考え工夫をすることで、子どもたちは自然界の仕組みや不思議をそれぞれの目で確かめます。そんな発見や感動体験を積み重ねていくうち、科学へのあこがれや夢がはぐくまれていくのではないでしょうか。


 PISA(国際学力調査)の結果等により、子どもの理科離れが広く叫ばれるようになりました。全国的にも、ここ数年工学部の志望者数は減少傾向にあり、理系離れが顕在化してきています。
 こういった状況を踏まえ、県では昨年度策定した「中期行財政運営ビジョン」に、子どもの自然科学や技術に対する興味・関心を喚起するためのさまざまな施策を盛り込み、実行しています。
 まず、学校における授業の充実を図り、「理科支援員等配置事業」を実施しています。子どもの科学的な見方や考え方をはぐくむため、小学校5、6年生への配置に加え、今年度からは中学校16校にも理科支援員を配置しました。また、大学や企業などから講師を招き、先端科学技術など、子どもを引きつけるような内容の「特別授業」を小学校で実施します。
 学校外では、企業や民間団体の科学技術振興活動を支援するため「おおいた科学体験応援プロジェクト」を推進しています。6月には、県内で科学技術振興活動を行っている企業・大学・少年少女発明クラブ等からなる連絡会議「おおいた科学技術体験サポーター会議」が発足しました。
 会議では団体間の情報共有と連携を図り、県内で行われる科学技術イベントや工場見学などをお知らせするポータルサイトを開設、随時情報発信していきます。
 優れた技術をもつ企業が数多く存在する「ものづくり県」大分。
 今、そんな大分の未来を担う人材が着々と育っているようです。

 今年の夏は、”サイエインス”に触れよう!
 
 ● 8月4日  「自動車」
 ● 8月7日  「発酵」
 ● 8月24日 「印刷のしくみ」
 ● 8月27日 「レンズ工作」
  詳細は県庁ホームページ等でお知らせします
サイエンススクエアは、科学実験教室と工場見学をセットにした体験型のイベントです。(小学生対象)

【問】 工業振興課  097-506-3267


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