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特集2 子どもたちを守ろう〜教室を取り巻く現状〜


 ネット上のいじめ
 
 インターネットや携帯電話の利用が急速に普及する中、大人の知らないところで誹謗(ひぼう)中傷を受ける「ネット上のいじめ」により深刻な被害に遭う子どもが増え、社会問題になっています。
 不特定多数の人から絶え間なく誹謗中傷が行われるネット上では、短期間にいじめが進行します。また、ネット上に一度流出した個人情報は回収が難しく、悪用されやすいことから被害が広範囲に及ぶことも。
 子どもたちを被害者、加害者にしないために、学校・家庭・地域社会と関係機関が十分連携して、社会全体で「情報モラル」教育にしっかりと取り組むことが必要です。 子どもたちが今後のネット社会を生き抜くための力をはぐくむことは、現代を生きる大人の責任ではないでしょうか。


ネット上のいじめのさまざまな形態

掲示板・ブログ・プロフでの「ネット上のいじめ」
掲示板やプロフに誹謗・中傷を書き込む
掲示板・ブログ・プロフに個人情報を無断で掲載する
  …迷惑メールが届いたり不特定多数からの誹謗中傷の書き込みをされる場合も。
   
特定の個人になりすましてインターネット上で活動を行う
  …特定の児童生徒になりすまして無断でプロフなどを作成、個人情報を掲載した上「暇だから電話して」などの書き込みを行う。

メールでの「ネット上のいじめ」
メールで特定の児童生徒に対して誹謗・中傷を行う
…複数のサブアドレスを取得し、匿名で送りつける。
   
「チェーンメール」で悪口・誹謗中傷を送信する
  …誹謗中傷をチェーンメールで送信することで、学校全体に被害が広まることも。
   
「なりすましメール」で誹謗・中傷などを行う
  …学級の多くの児童生徒の名前をかたり特定の児童生徒に「キモイ」などのメールを送信。送られた方は、学級全体から嫌われていると思い込み、不登校になるケースも。


学校・家庭・社会で対策を

学校では…
指導のガイドラインを策定し、携帯電話やインターネット利用の情報モラル教育を行っています。また、今年度から県教育委員会にネットいじめ相談窓口(メール)を設置しました。
 
家庭では…
携帯電話やインターネットは、利便性だけでなく危険性や問題点をはらんでいることを認識し、家庭内で一定のルールづくりをすることも大切です。携帯電話には、フィルタリングサービスやサブアドレス拒否機能を活用しましょう。
 
社会では…
21年4月に「青少年ネット規制法」が施行され、通信事業者は18歳未満の携帯電話利用者に対して、フィルタリングサービスを適用することが義務づけられました。また、保護者にも、未成年であることを申し出る義務が生じます。

ネットいじめ等相談窓口
●ネットいじめ等相談窓口(メール)
 no-ijime@oita-ed.jp

●大分県教育センター教育相談部
 電話相談 097-503-8987

個人情報流出、掲示板荒らしなどの犯罪についての相談窓口
●警察安全相談電話
 097-534-9110

●サイバー犯罪対策室
 097-536-2131

〜フィルタリングサービスとは〜
インターネット上の有害サイトに接続できないようにするシステム
ホワイトリスト方式 
事業者が選んだ「公式サイト」のみに接続できる方式
ブラックリスト方式 
未成年者に有害と思われるサイトを閲覧不可能とする方式

●ブログ
Web上で日記等を公開できるシステムのこと。小・中学生の利用者も多い。
●プロフ
インターネットを利用した自己紹介のページ。氏名・年齢・メールアドレス・家族構成等の個人情報を載せているものが多く、中・高生の間では名刺がわりに用いられ爆発的に増加している。
●サブアドレス
本来のアドレスと別に追加で取得できるアドレスのことで、無料で簡単に取得できる。
●チェーンメール
連鎖的に(チェーン)不特定多数への送付をするように求めるメール。メールの最後に「このメールを○人の人に送ってください」といった内容のことが書かれている。



 不登校

   全国的に不登校の児童・生徒数はここ数年増加傾向にあります。県内の中学校でも、平成17年度以降増加を続けています。
 県教育委員会では、教育相談体制の充実を図るためスクールカウンセラーの人員を拡充しています。また、学校に行けない子どもたちの心の疲れを癒す場として県教育センターや市町村教育委員会で適応指導教室を開設しています。ここでさまざまな社会体験活動を通して生きる力をはぐくみ、子どもたちが再登校や進学など「自分の道」を見つけるための援助をしています。





別府市と宇佐市の中学校で勤務されている、スクールカウンセラーの吉村美智織さんにお話を伺いました。

− 不登校の理由とはどういったものですか

 不登校のきっかけには、友だちとの関係が悪くなった、勉強がわからない、友だちをつくれない、などさまざまありますが、最近では世の中の状況を反映してか、家庭の状況も大きく関係しているように思います。家庭の経済状態が厳しかったり、親の勤務の関係で親子が接する時間が少なかったりで、親に伝えたいことを上手く伝えられず、自分の殻にこもってしまうようです。
 そうすると、学校に行こうとするとお腹が痛くなったり、吐き気がしたりで学校に行きづらくなります。また、登校していても、保健室の利用が増えるなどします。中には、自分の身体を傷つける、家を出るといった行動を起こす場合も。これらは、自分の行き場や居場所を求めているのです。どんなケースでも、学校と家庭が協力し、時間をかけてその生徒に応じた対策を考えていかなければいけません。

− 不登校の生徒に対して、どんな取り組みを行っていますか

 担任や生徒指導の先生と協力して家庭訪問を行ったり、保護者の方からの相談に応じたりしています。また、別府市には不登校の児童生徒のための適応指導教室「ふれあいルーム」が設置されています。そこでは消防署の見学や自分たちで栽培した野菜の販売など、社会と関わる体験活動を行っています。学校には行けない子どもでも、週に何日かは「ふれあいルーム」へ通い、段階を踏んで学校に登校できるような体制づくりをしています。

− 今、不登校の子どもたちに伝えたいことは

 できれば学校、地域社会の中で育っていってほしいです。不登校の子どもは、一人で一生懸命考えているんです。でも学校でしか得られない経験を得られないのはもったいないです。受け止められないほど辛いことがあった時”避難する“という選択肢はあっていいと思いますが、少し休んで力が回復したら、また社会に出て動き出してほしいですね。

− 家庭に対しては

 一度不登校になったらもうだめだ、と思わないでください。10年後には意味のある経験だったと本人が思えるように、その子の生命力が伸びる通過点としてサポートしていってほしいです。また、学校の先生方も家庭訪問を行い、子どもや保護者と多く接しています。先生方の子どもたちへの愛情もスクールカウンセラーとして強く感じています。
 学校と家庭、そして地域も入って、一緒に協力しあって子どもの成長を見守っていきましょう。

 「中1ギャップ」の解消へ一手!

 小学校から中学校へ進学する際、友人関係や学習の内容などさまざまな環境の変化に対応できずに不登校になることが多く、「中1ギャップ」と呼ばれています。
 この「中1ギャップ」の解消に、中学1年への少人数制導入が一定の成果を上げています。
 昨年度から県内の中学校全校で1年生の30人学級がスタートしました。中学校1年生の不登校生徒数は今年度、35名減少しましたが、そのうち30人学級を導入した学級の生徒が32名を占めるという結果が出ています。


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