| 苦労して確立させた地元農家とのつながり |
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全国の料亭で修業をし、由布院に来たのは20年前。10年前の由布院の畑には、ほうれん草しかなく、他の野菜を作ってくださいとお願いしても、「あまったらどうするんだ」などと農家の人に言われ、協力していただけませんでした。それから1年半毎日通い続け、植えてもらったのが春菊です。その春菊を全部買い取って、ついでにほかの野菜も買っていく。そうすることで、こんなに野菜を買ってもらえるのかと農家の人たちを説得でき、2年かかってやっと契約していただることになったんです。
でも、お客さんが次々と訪れていた時代。料理人は農家が直接持ってきた曲がったきゅうりが使いにくかったり、傷んだ野菜を取り変えてもらえないことから農家の野菜を嫌い、初めはまったく料理人に売れませんでした。
そこで私は自分の足でいろいろな農家を回り、野菜を集め、旅館に配って回ったんです。料理人を紹介してほしいと旅館に頼まれた時には、由布院の野菜を使うことと、東京や大阪では食べられないものを作ることを条件に料理人を紹介させてもらい、初めは少し強引に買ってもらうようにしました。そうしていたら、スローフードや地産地消という言葉が流行りだし、どの旅館も由布院で採れた野菜を使ってくれるようになりました。
また、由布院はオーナーや料理人同士がよく話をするので、その話し合いの中から使いたい野菜などを提案できるんです。由布院はそういう話し合いや勉強を盛んにやってきた歴史があったからこそ、今回のような農家との結びつきが生まれたのだと思います。 |
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| 冷蔵庫に保管することなく、常温のまま料理が作れることは由布院の強みでもあります |
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| ゆふいんフローラルハウスのご主人と新しい野菜についてお話中 |
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| ゆふいん料理会の発足と活動 |
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料理人と農家の流通ルートを確立するとともに、調理の仕方が分からない料理人に作り方を教える勉強会が「ゆふいん料理研究会」です。農家にあまっている野菜がないか電話し、勉強会の時にその野菜を使って調理方法や味付けを教えてあげると、次の日にはみんなその野菜を買いに行くので売れてしまいます。
また、料理人だけではなく、生産者を招いた「風の食卓運動」も展開しています。野菜料理を農家の方に食べていただき、自分たちの野菜がこんなふうに進化して料理されるのだということを知ってもらうためです。農協に出していた時には捨てられていた規定外の青いトマトや小さなナスビも、旅館では切り方を工夫したり、ミキサーにかけることで使える。そのことを農家の方にちゃんと伝えたいと思っています。
そして最近、由布院では新しい食材を生産しました。「ブンタレッラ」というローマの野菜で、日本ではほとんど食べることのできないめずらしい食材です。ブンタレッラは肝臓を再生する力があるそうで、少しでも体によいものをということで、私から新しい食材の提案をしました。せっかく由布院に癒されに来ているのに食事が乱暴だと何のために来たのか分からないですよね。由布院という空間で、ここでしか味わえない料理を楽しんでもらいたいと思っています。 |
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| 料理人が定期的に集まり、意見交換を行います |
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| ローマ限定の野菜「ブンタレッラ」 |
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| ブンタレッラを調理する新江さん |
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| 由布院の新たな可能性 |
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最近では、ギリシャで来年から再来年にかけて行われる「日本料理フェア」の打ち合わせをしてきました。日本の食材や器を運び、現地の食材も取り入れながら、日本の料理人5人で400名のお客様に1日ですが、日本料理をふるまうイベントです。このイベントで由布院に活かせることは、この料理の向こう側にあるものだと思います。私の料理を食べた人が、日本に行ってみたい、由布院を見てみたいと思ってくれるようなものを出したい。そのために必死に作りますし、日本料理を食べていただくための工夫や伝える努力が必要だと思います。
料理は、あらかじめ準備されたものではダメなんです。たまたま来て、たまたまあった食材で、ちょっと食べてみますかという心意気が真のおもてなしだと思います。だから何もかも揃った環境では、私は料理は作れません。私が今日お客様にお出しする献立は、今、手元にある食材だけなんです。どうしてもイメージで必要な野菜が出てくると、農家に電話して、お客様を待たせてでも、車を走らせて取ってくる。その時に大事なのがサービスです。「今料理長が走ってますので、もう少しおまちください」と言われて出てきた時の料理の美しさと食材の豊かさ。その精神が、ゆふいん料理研究会に今後語り継いでいかれるものではないかと思います。 |
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| 一般の方を対象とした料理講座も行っています |
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