「GAP」という新しい考え方が農業にとり入れられようとしています。Gは「良い」、Aは「農業」、Pは「実践」のことで、直訳すると「良い農業の実践」。農林水産省では「農業生産工程管理」といっていますが、このGAPが今、注目を集めています。
具体的にはどのようなことなのか、実践しているみつば栽培農家の有限会社育葉産業を訪ねました。「農薬を例にとって説明しましょう。農薬は登録がされていますから、本来、安全なものです。しかし問題は使い方です。説明書きを正しく読んで、正しく使用することが大事です。そこができていなければ、いくら減農薬にしても必ずしも安全とは言えません。同時に、衛生面でも注意が必要です」とおっしゃるのは代表取締役の栗田さんです。
「私たちはイメージだけで減農薬=安全と思っていないでしょうか?イメージではなく、『根拠ある安全』とするにはどうしたら良いか。リスクを見極めて、それを取り除くことです。例えば、『イチゴのパック詰めをするときには手を洗う』というようなことです。考えてみれば当たり前で、難しいことではありません。私はGAPを、『まじめな農業の取り組み』と呼んでいますが、ごく当たり前のことをまじめにやることが大切なんです」。
GAPとはこのように、農家が農作業を順に整理して、農薬の取り扱いや衛生面などで危険なことがないかを把握し、その予防のための対策方法を考えて実行することなのです。また、農薬の散布や肥料を施したことなどを記録しておくことで、万一問題が生じたときでも、速やかな原因解明や再発防止策の実行を可能にします。なにより、整理整頓ができて作業効率が上がることで経営改善効果も期待でき、農家も取り組むメリットがあります。
農産物の「根拠ある安全」を担保するものとして注目を集めるGAP。県内でも今年度、「JAおおいたおおいたみどり地域本部トマト部会」をはじめとする6つのモデル部会で導入が進むなど、着々と広がりを見せています。「GAPは安全・安心な農業のベースとなるもの。どんどん広がっていってほしい」と栗田さん。県としてもGAPの普及・定着を目指し、県内農家の支援を行っています。
*GAP=Good Agricultural Practice |