大分県庁のホームページ 『新時代おおいた』のバックナンバー
特集1 自らの地域は自らで守る 〜地域で活躍する消防団〜
特集2 新たな一歩を おおいた国体・おおいた大会から一年
風紋 子育て満足度日本一をめざして
県民ひろば
心ひらいて  お薦め図書コーナー  とよの国の食彩



特集2 新たな一歩を おおいた国体・おおいた大会から一年
 
 チャレンジ!おおいた国体・おおいた大会・おおいた大会から、早くも1年が経過しました。
手づくり選手による天皇杯・皇后杯の獲得、多くのボランティアの活躍、地域の方々のおもてなしなどぬくもりと感動にあふれた大会の記憶は、今も私たちの胸に温かく刻まれているのではないでしょうか。
両大会は、私たちにさまざまな形で大きな財産を残してくれました。
スポーツの振興、障がい者スポーツの広がり、ボランティアへの意識の高まり…。
1年たった今、国体を契機として確実に地域に根付き、実りをもたらしている取り組みをご紹介します。

カヌー教室の写真2
カヌー教室の写真1

わが町のスポーツを育てよう
 豊後高田市は、チャレンジ!おおいた国体でカヌーレーシング競技の会場となった地。大分県勢のカヌー総合優勝には、町中が大いに沸きました。
成重さんの写真
成重晴雄さん
 「国体のあの感動を忘れたくないですね。地域の人が一丸となって頑張った大会でしたから」。
総合型地域スポーツクラブ「TMKチャレンジクラブ」のクラブマネージャー、成重晴雄さんはそうおっしゃいます。
 地域を盛り上げたカヌー競技の魅力を多くの人に伝えたいと、同クラブは国体事務局が実施していたカヌー教室を、事務局の閉鎖と同時に引き継ぐことにしました。
 現在は真玉B&G海洋センターを活動拠点とし、小中学生対象のカヌー教室や体験教室を開催しています。取材に伺った日もたくさんの児童・生徒が集まり、にぎやかに練習が進んでいました。レース用のカヌーを自在に乗りこなす子どもたち、これからが楽しみです。
 成重さんに今後の目標をお尋ねすると、「豊後高田市には『昭和の町』もあるけど『カヌー』もあるよと言えるように、カヌーを通じてまちづくりをしていきたいですね。国体で終わりではなくて、ここからが始まりだ、という気持ちです」と力強く語ってくださいました。
カヌー教室の写真3 全国トップクラスの選手がつどい、町が結集して取り組む数少ない機会である、国体。それだけに、開催された地域では、その競技に深い思い入れや愛情が生まれるのではないでしょうか。県内の各地域で、こうした「わが町のスポーツ」が着実に根付いているようです。



ともに楽しむスポーツ交流
 大分市の車椅子バスケットチーム「OWBC」は、障がいのある人と健常者が垣根なく一緒に活動しています。
 車椅子バスケットは、両者が平等にプレイできるような独自のルール、車椅子ならではのスピード感と迫力から、障がいの有無をとわず誰にとっても楽しめる競技といえます。
矢田さんの写真とOWBCのメンバー 大分県車椅子バスケットボール連盟会長の矢田成昭さんは、「ここでは障がいのある人も健常者も一緒に楽しくプレイしています。いつでも体験できますので、遊びにきてください」と呼びかけます。
 障がいのある人の社会参加を促進する意味でも、障がい者と健常者がスポーツを通して気軽に交流できる場をつくり出すことは大切です。
 今後は、各地域の「総合型地域スポーツクラブ」への障がい者の受け入れを支援し、障がいのあるなしにかかわらず、ともにスポーツを楽しめる環境づくりを進めていきます。



これからも”花”でおもてなし
 訪れる人の目を楽しませてくれる、四季折々の花々。ここ、佐伯市総合運動公園は、国体を契機として花いっぱいの空間に生まれ変わりました。
 国体を前にした一昨年の9月、「遠方からのお客さんを、たくさんの花で迎えたい」と考えた岸河内地区の有志。会場となる市の総合運動公園に花壇を整備するため、メンバーを募りボランティアグループを発足しました。
 最初は草ぼうぼうだったという施設の周辺ですが、今では100種類以上の花々が季節ごとに咲き誇り、ぱっと明るい雰囲気です。
 「国体の時は一番の花盛りで、皆さんに喜んでもらえました。それに、以前はこの公園は子どもが少なかったんですが、花を植えてからは本当に人が増えました。草取りをしたり花の苗をいただいたり、お花を通じて地域交流もどんどん広がっているんです」と代表者の甲斐美恵子さん。
 最初は国体が終わるまでの活動だと考えていた甲斐さんですが、今はせっかく生まれた交流の場を今後も大切に守っていこうと決めています。
 「国体までは、大分県に来る選手に喜んでもらおうと頑張ってきました。今は、この公園に来てくださる皆さんのために、楽しみながら花を育てています。やっぱり、相手が変わっても『おもてなし』の気持ちが続いているんですね」。



新「めじろん放送局」開局!
 国体で活躍した「ビデオボランティア」、ご存じでしょうか?
 各競技会場の様子をインターネットで配信するために、ビデオ撮影と編集作業を行うこのボランティア、期間中はのべ250人の方が協力してくださいました。
最初は撮影に慣れていなかった方も、撮影・編集などの技術研修と国体での実践を経て、今では十分にセミプロと言える腕前に。
久留島さんの写真
久留島那子さん
 ビデオボランティアに登録していた久留島那子さんは、「国体の撮影は趣味で撮るのとは違い、『即時に、正確に』ということが求められます。私は将来映像関係の仕事に就きたいと思っているので、とてもいい経験になりました」と国体での撮影を振り返ります。
 ボランティアの方々の頑張りのかいあって、競技風景をインターネットで配信していた「めじろん放送局」へのアクセスは53万件に達し、大好評を博しました。
 そこで、この大会だけで終わらせるのはもったいないと、「めじろん放送局」を今後は県内の行事やイベントなどを情報発信する、県の動画サイトとしてリニューアルすることに決定。
 培ったノウハウを「めじろん放送局」で生かしていただこうと、ビデオボランティアの方々にも再度登録を呼びかけ、多くの方に賛同をいただきました。
 久留島さんも登録済み。今後のお祭りの撮影を楽しみにしているそうです。9月に開局した新しい「めじろん放送局」で、ビデオボランティアの方々の力作をどうぞご覧ください!
メジロンのイラスト 

めじろん放送局 http://www.mejiron.tv/



「障がい者スポーツ人材バンク」を設立します
 チャレンジ!おおいた大会の大きな成果の一つは、障がい者スポーツに参加し、楽しむ人が増加したことです。
 また、大会開催を通じて、競技者のみならず、障がいのことを理解した指導者やボランティアなど、数多くの人材が育ってきました。
 今後の障がい者スポーツの普及に欠かせないのが、こうした人材が活躍できる環境づくりです。県内各地域で行われるスポーツ活動に、迅速かつ的確に指導者等を派遣できる体制の整備が求められています。
 そこで、県では障がい者スポーツの普及に大会で育った人材を活用しようと、「障がい者スポーツ人材バンク」を設立、人材を一元管理することにしました。これにより、インターネットを使って指導者の派遣依頼や練習相手の検索が常時可能になります。
 体制面からも一歩ずつ整備を進め、障がい者スポーツのさらなる普及、定着を目指しています。

障がい者スポーツ人材バンク 9月下旬に設立予定
お問い合わせ先 大分県障がい者体育協会 電話097−533−6006



第2の家族ができました
小野政文さんと奥さんの千恵美さん
 
 ピンクのエプロンにはたくさんの寄せ書き。これは、中津市で「民泊」した女子サッカーチームの選手たちが、お世話になった家庭へ大会の記念として書いたものです。
 チャレンジ!おおいた国体では、選手や監督が一般の家庭等に宿泊する「民泊」が行われ、4市町・約700軒で選手の受け入れをしていただきました。
 「民泊はほんとうにいい経験でした。一生の思い出になりました」とおっしゃるのは、三重県の女子サッカーチーム24名を受け入れた、中津市下曽木民泊協力会代表の小野政文さんです。
 期間中は早朝からの食事づくりや試合の応援など、息つく暇もない忙しさだったといいます。しかし数日間をともに過ごし、家庭で交流する中で、地域の方と選手の間には温かいきずなが生まれたようです。
 「大変でしたけど、自分の家に泊めて世話をして応援するうちに、やっぱり自分の子どもみたいに思えてきます。むこうも『お母さん』って呼んでましたよ」と奥さんの千恵美さん。
 国体が終わった後も交流は続いています。メールや電話のみならず、下曽木地区の住民20名で、三重県への観戦ツアーも行いました。受け入れ側からは、「子どもが1人増えた」、そして選手からは「第2のふるさとができた」との声。そんな人と人とのつながりも、国体が残してくれた大きな財産です。



【前へ】 【次へ】

大分県庁のホームページ 『新時代おおいた』のバックナンバー