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長雨(大雨・豪雨)対策マニュアル(花き)

印刷ページの表示 ページ番号:0000292254 更新日:2014年8月19日更新

水  害(大雨)

1.発生の様相
   大雨(短時闘に集中的に降るもの)だけでなく、長時間降り続くものや、長時間降り続く中で短時間に集中する雨などがあり、特に最後の例で大災害が起きやすい。被害は洪水による冠水、土砂の流入や施設の破壊と、斜面崩壊、地滑り等の土砂災害による圃場、施設の埋没がある。日雨量100ミリ以上で崩壊が始まり、200ミリ以上になると急増する。冠水、湛水した作物は、呼吸困難となり弱る。特に湛水時間が長くなるほど水が引いた後のしおれが激しい。
 
2.対  策
    大雨により冠水したり、圃場の一部が流亡や埋まったりすることがあるので、大雨の予想される時は、十分な対策をたてておく。
 
(1)事前対策
    圃場やハウスのまわりに排水溝をきり、落とし口をつける。周囲の排水路をさらえ、流れがつまらないようにする。
 
(2)被害対策
ア.露地栽培
a. 土砂が流入し作付け不可能なほ場
    土砂の除去が秋(9~11月)までに終わるならば翌年の作付けを考え土作りを実施する。
 
b. 土砂の流入はあったが、整地、耕うん等で作付けが可能となるほ場
    定植前なら、早急に定植準備に取りかかる。定植後で栽培不能の場合は代替品目を検討する。
 
c. 耕土の流亡はあったが、トラクター等で耕うんすることで作付けか可能となる場合
    有機質の投入を十分に行ない、bに準ずる。
 
d. 水路などの氾濫で畝間に水が流入した場合
    リンドウなどの宿根草類はネコブセンチュウの被害を受けることが考えられるので、被害が進むようであれば、翌年の改植に向け、準備を行なう。
 
e. 冠水及び流水による被害を受けたもので薬剤散布等で回復しつつあるもの
      ・生育初期、中期のものは軽く追肥を行ない、土寄せを行なう。
      ・生育後期、開花期に達しているものは病害虫の防除を徹底して行なう。
 
f.表土が流亡し栽培が不可能なほ場
    客土による圃場作り、土木事業等による圃場整備を検討する。
 
 
イ.施設栽培
a. 施設内が冠水した場合
      ・土砂の流入がなければ、定植前の土壌消毒を徹底する。
      ・土砂が流入し堆積したものは、土砂の搬出と定植に向けた土壌消毒を実施する。
      〔代替品目は、台風の項を参照〕
      暖房が可能であれば8月以降作付けできる品目は多い,、
    *電照ギク:8~9月定植、12~4月出荷、導入にあたっては苗の確保を早急に行なうこと
    *ストック:8~9月定植、11~4月出荷、作型に合わせた種子の確保を行なうこと。
    *シュッコンカスミソウ:8月定植、11~4月出荷、苗の確保を行なうこと。
    *その他:スターチス・シヌア一夕、スイートピー、球根類などがあるが、導入にあたっては種苗対策を早めに行なうこと。
 
b. バラ、カーネーションなど1年以ヒにわたって栽培する種類で冠水、湛水にあったもの
      ・被害が軽い場合は仕立て直し、防除を徹底する。
      ・根腐れ等、根、地際部で生育障害の発生があるものは改植を行なう。
      ・ロックウール栽培のバラは折り曲げ、または切り戻しせん定後、株作りを行なう。ロックウール部分は多量の水で水洗する。
  
 
ウ.今後発生が予想される病害
a. 地際部を中心にリンドウでは菌核病、カーネーションでは萎ちょう細菌病、萎ちょう病、立枯れ病、キクでは半身萎凋病などの発生が予想される。
b. 地上部の茎葉にはリンドウやシンテッポウユリの葉枯れ病、バラのべと病やうどんこ病、キクの黒斑病、褐斑病などが予想される。
c. 害虫では、晴天が続くことでハダニ類の発生が、また、アブラムシ、ミナミキイロアザミウマ等の被害も出やすくなるので予防、防除の徹底を図る。
 
  

長  雨

1.発生の様相
    菜種梅雨、梅雨、秋雨など断続的に長期間降る雨は、低温、多湿、日照不足などになりやすく生育障害、花芽分化の異常、病害等の発生が予想される。
    露地では、排水不良による根腐れ等の根部の障害や灰色かび病等の病害が多発しやすい。
    施設花きでは、日照不足による徒長や生育遅延、日照不足、多湿条件下での病虫害の発生、品質低下が考えられる。
 
  
2.対  策
 春期長雨対策
(1)露地栽培では排水溝を切り、圃場外への排水を促す。また、耕うんは土壌が十分乾燥してから行う。過湿状態で耕うんすると土を練って排水不良となり、定植後の生育が悪くなるので注意する。
 
(2)降雨の合い間に薬剤散布を行い、予防的防除に努める。
 
(3)夏ギク
 
ア.さし床は乾燥気味に管理し、よく換気する。
イ.白さび病が激発した葉は取り除いて定植する。  
ウ.定植の遅れた苗は徒長を防ぐためにB9の300倍液を1回散布する。
エ.発根の進んだ苗は定植できる限界を考慮し、定植できない場合は後作の種苗の手当てを考えておく。
 
(4)施設では、病害虫防除は午前中に行い、加温機を動かして強制的に乾燥させると効果も高まる。また、朝、夕に加温を行うと病気が出にくいので励行する。
 
(5)カーネーションでは、収穫後の切り口から病気が入りやすいので注意する。
 
(6)バラ
 
ア.雨天時には暖房しながら換気も行う。
イ.かん水は控え目にし、晴天時に十分行う。
ウ.病害虫防除は燻煙剤や少量散布機を使い、ハウス内の多湿を抑える。
 
(7)シュッコンカスミソウ
 
ア.日中は十分な換気に努める。
イ.とくに、降雨や曇天の続いた後に晴れた日は、強くしおれやすいので換気を十分に行う。
ウ.灰色かび病は薬剤抵抗性ができやすいので薬剤のローテーションを考える。
エ.根本的な対策としては隔離床栽培がよい。
 
 

梅雨対策

1.露地栽培、とくに水田転換畑では、滞水や排水不良によって根の活性が衰えたり、ひどい場合は根腐れを起すので、十分な排水に努めるとともに、2~3日降雨がなく土寄せが可能な場合は、軽い追肥と土寄せを行なう。
 
2.露地花きの定植後、日数が経過していない作目(秋ギク、アスター、抑制グラジオラス等)でマルチ等のない場合は、雨滴の跳上りで葉裏に土が付着したり、株元が洗われ根が露出するなど病害の発生、生育への悪影響があるので、敷きわら、土寄せ、薬剤散布等適切な対策をたてる。
 
3.露地・施設を問わず日照不足では茎葉が軟弱・徒長気味になるので、N肥料は少なめにしてK肥料を多めに施用するのがよいと言われている。
 
4.施設栽培ではかん水を控え、できるだけ乾燥に努めること。この場合、ダニ類の発生に十分注意すること。
 
5.日照不足の時、強光線にあたると、ユリ・バラ・アルストロメリアなどは葉焼けを起こすことがあるが、特に施設内の高温と重なった場合に発生しやすいので、換気に十分気をつけること。
 
6.キクやヤマジノギクなどで、植え付けが遅れる場合は苗をポットに仮植えするか、無摘心仕立て栽培を考える。ポット等に仮植しているものは定植期を2週間程度遅らせることが可能である。苗冷蔵中のキクは7月中旬までに定植し、無摘心仕立てを行なう。この場合苗は摘心仕立ての2.5~3.0倍必要であり苗の確保を十分に行う。ヤマジノギクの無摘心仕立ては7月下旬定植が可能である。7月下旬以降の定植では電照栽培を検討する。しかし、いずれの場合も切り  花品質は慣行法に比べやや劣ることになる。さらに定植期が遅れる場合は作型を半電照栽培などに替える。
 
7.は種床や挿し芽床では過湿に伴うムレや病害の発生が多くなるので、薬剤散布を行う。また、発芽・発根が始まったものについては、乾燥気味に管理する。
 
8.グラジオラスの抑制栽培では開花倒花日数が80~90日程度であるため、定植は7月下前までに行なえば10月出荷は可能である、
 
9.定期的な防除ができなかった場合は、多湿環境により、病害虫の多発が予想されるので、降雨の合間を見て、適切な防除に努める。病害虫の発生はユリ類では葉枯れ病、バラでは灰色かび病・べと病、キクでは黒斑・褐斑病、アスターでは萎ちょう病・斑点病などをはじめ、各種病害が発生しやすいので、十分な予防・防除を徹底する。
 
 

日照不足

1.発生の様相
    梅雨や長雨等により、ある一定期間内の日照時間が相当程度少ない場合、生育に影響が生じる。
    日照が不足すると、全般に茎葉の生育が軟弱徒長気味(節間の過伸長、葉の大形化、垂れ等)になり、病害の発生等による品質低下や開花期の遅れ等により計画出荷が不可能となるおそれがある。また開花中のユーストマ等では、花色の発色が悪く品質が著しく低下する。
    夏期には、冷夏長雨のときに日照不足になりやすい。夏秋ギクや電照ギクは定植期の遅延による初期生育の遅れ、カーネーションやシュッコンカスミソウは軟弱徒長、バラは日照不足と多湿によるべと病の発生など、作業の遅れや病害虫の発生、品質の低下等の問題が発生する。短日植物、とくにキク科植物の開花生理に大きな影響を与える。日照量、時間の減少が短日と回し効果を与え、花芽分化が起きやすくなる。また、不安定な日長は、秋ギク等では柳芽、二重花等を発生させやすい。
     冬期の日射時間や晴天日の少ない地域では、曇天、霧等により不足しやすく、十分な光量を必要とするバラやスイートピーなどでは、生育不良や開花遅延、落雷(スイートピー)を起こしやすい。
    カーネーションでは、花芽の分化、生長とも抑制され開花が遅れる。冬期の低日照時には、適切な温度管理をしても開花まで日数がかかる。また、採花前日の日照量が少ないと軟弱になり品質が低下する。
 
2.対  策
(1)適地適作を心掛ける。冬期の寡日照地域に多日照を必要とする品目を導入すれば、日照不足を補うための技術、作業と経費が余計に必要となる。
 
(2)露地・施設を問わず日照不足では。茎葉が軟弱・徒長気味になるので、N肥料は少なめにしてK肥料を多めほ施用するのがよい。
 
(3)施設栽培ではかん水を控え、できるだけ乾燥に努める。この場合、ダニ類の発生に十分注意する。
 
(4)日照不足の時、強光線にあたると、ユリ・バラ・アルストロメリアなどでは葉焼けを起こすことがあるが、とくに施設内の高温と重なった場合に発生しやすいので、換気に十分気をつける。寒冷紗等で遮光するとよい。
 
(5)露地ギク
 
ア.高冷地の夏秋ギクは、日照不足のもとで黒斑病、白さび病の発生が多くなる。薬剤散布の徹底、排水に努める。 
イ.キクの挿し芽は、日照不足下で採穂、挿し芽をすると、腐敗や活着不良が多くなる。これは同化養分の蓄積量が少ないためで、2~3日以上晴天が続いた後に採穂するとよい。量が不足する場合は、冷蔵庫等を利用して貯蔵、確保するとよい。
ウ.株元がこみすぎている場合は、下葉かきや無駄な分枝などの整枝を行なう。
 
(6)播種床や挿し芽床では過湿になりやすく、ムレや病害の発生が多くなるので、十分な換気と薬剤散布を行う。また、発芽・発根が始まったものについては、乾燥気味に管理する。
 
(7)電照ギク
  
ア.採種については、前記(5)露地ギクを参照。
イ.日照が不足すると挿し芽苗の腐敗が多く、定植後の苗は、同化量の減少により活着不良となり、また、茎の伸長と充実が抑制され品質低どのおそれがある。
ウ.下葉の摘除等で通風を図り、病害虫の発生を予防する場合、十分な葉数を確保した後でないと同化量が不足して生育不良となる。
工.年末電照ギクの定植期(8月)が天候不順で日照不足の場合、電照開始までに花芽分化を始めるおそれがあるので、電照開始を早める。
 
(8)シンテッポウユリ
    葉枯れ病が発生しやすいので、降雨の問に薬剤散布を徹底し、排水対策を講じることが大切である。
 
(9)カーネーション
  
ア.開花が遅れたり品質が低下しやすいので、被覆資材は秋期に張り替え、十分光量を確保するとともに、作業性が阻害されなければ、反射マルチ資材による群落内光環境の改善も検討したい。
イ.日照不足では軟弱徒長しやすく、急な強目照にあたるとしおれや葉焼けが心配されるので、強い日射しが予想される場合は寒冷紗で遮光をする。
 
(10)病害虫の発生
    ユリ類では葉枯れ病、バラではうどんこ病・灰色かび病、べと病、キクでは黒斑・褐斑病、アスターでは萎ちょう病・斑点病などをはじめ、各種病害が  発生しやすいので、十分な予防・防除を徹底すること。
 
 

低  温(冷害)

1.発生の様相
    夏期の高温多湿は、日本の気候の特徴であるが、栽培される花き類はそのほとんどが高温多湿を悪条件としているので、低温による被害は少ない。しかし、低温の原因として、長雨や日照不足があるとしたらそれによる障害は発生することになる。
     (長雨、日照不足の項を参照)
     考えられる障害は、若干の生育遅延と出荷期の遅れ等である。
 
2.対  策
(1)露地では、8月上旬咲きや9月中旬咲きの季節物で開花が遅れ、出荷できないことが予想される。N肥料の費消や、乾燥によって開花が促進されるが、その効果は小さい。
    一時期をねらって生産するのではなく、計画的に継続して出荷することが大切である。また、あせりから早切りしてかえって価格を下げることが多い。適期切りを励行したい。
 
(2)グラジオラス等では、開花期が遅れることが予想されるので、定植を早める。
 

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