国指定重要文化財「大分県府内大友遺跡出土品」の令和7年度保存修理について
大分県立埋蔵文化財センターが所蔵する国指定重要文化財大分県府内大友氏遺跡出土品の保存修理を行いましたので、内容をお知らせします。
概要
大分県府内大友氏遺跡出土品1,269点は、キリシタン信仰や国際貿易を振興した大友氏治世下の都市遺跡の内容をよく示すとともに、わが国における中世都市の実態を具体的に示すものとして、令和元年7月23日に国の重要文化財に指定されました。
出土品の中には、経年劣化が進行し破損する危険性が生じるものもあり、令和3年度より国の補助を得て保存修理を行っています。
令和7年度は分銅や懸仏など金属製品15点の保存修理を行いました。
保存修理を実施した金属製品
太鼓形(八角形)分銅6点、繭形分銅5点、権1点、懸仏2点、杓子1点
太鼓形分銅(重文No.751、重文No.753)
「分銅」とは天秤秤(てんびんばかり)でモノの重さを量るときに、重さの標準として用いる重りです。青銅製で丸い形をしているものを、「太鼓形分銅」と呼んでいます。大友氏遺跡からは分銅が多数出土しており、中世に貿易などの決済に用いられた「銀」の重さを測ったものといわれています。大友氏遺跡出土の太鼓形分銅には、表面に大友家の正式な家紋である「三」(三木文)が鋳出されているのが大きな特徴です。
一昨年~昨年度の修理で、表の文様の特定の部位に小さな円形の凹みがあることがわかりました。今年度修理を行った5点には、この凹みが有る資料と無い資料の両方が認められます。この凹みについては分銅の鋳造や製作に関わる痕跡である可能性が考えられますが、今のところ詳細は不明です。
太鼓形分銅未製品(重文No.754)
この太鼓形分銅は3つ連結した状態で出土しており、鋳造した際のバリを取る前の未製品だと考えられています。今回の修理によって、表面の土や錆が落ち、やはり「三」(三木文)が鋳出されていることが分かりました。
懸仏(重文No.792、No.793)
懸仏は鏡や円形銅板に神仏像を取り付けたもので、柱や軒に吊るし懸けて用いられました。神の本来の姿は仏であるとする神仏習合の思想に基づいたもので、鎌倉時代から室町時代にかけて盛んに作られました。大友氏遺跡から出土した懸仏の尊像部分2個体について修理を行いました。792は左手に水瓶とみられる持物を持っていることが分かりました。793は、表面が一部金色を呈しており、衣の線がはっきり見えるようになりました。
今回の修理に際し行った分析では、792・793ともに銅、錫、鉛が検出されていることから、青銅製であることが分かりました。793の金色部分からは金が検出されており、本体は青銅で、表面に金を施したものとみられます。
令和7年度は修理を開始して5年目となります。出土品を永く後世に伝えていくために、今後も修理を継続していく予定です。