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新時代おおいたNo.84

印刷ページの表示 ページ番号:0000264673 更新日:2012年9月30日更新

新時代おおいた9月号トップ画

特集1    復旧・復興へのシナリオ
特集2    ドクターヘリ10月1日運航開始!
風紋     雨ニモマケズ
トピックス  秋のお出かけスポット紹介~元気です!大分県~
県民ひろば    昭和通り交差点に試行的に横断歩道を設置しています
お薦め図書コーナー 心ひらいて  とよの国の食彩

 

特集1 復旧・復興へのシナリオ   

6月8日の梅雨入り後の記録的な大雨により、大分県は各所で甚大な被害を受けました。

しかし、そのような状況の中で改めて感じた人のあたたかさ。地域住民のつながりや県内外から寄せられた支援の手。一人ひとりの想いが大きな力となって、今、復興に向けて歩み出しています。

復旧・復興扉絵

復旧・復興に向けて一致団結

 玖珠町の山間にある古後(こご)地区は、178世帯511人、高齢化率が約40%の地区です。ここでは、避難勧告が出てから30分程度で、避難所などにいた人も含めて地区全員の安否確認ができたといいます。

 自治委員の宿利忠明さん、民生委員の横山 千賀子さんと嶋津 ひろみさんに当時の様子を伺いました。

「私達は、一人暮らしや高齢者のみの世帯、援護が必要な人達に対して、電話をかけたり合羽を着て様子を見回りに行ったりしていました。実際に安否確認を素早くできたのは、日常から住民同士の関わり合いが深かったおかげです。いざという時に『誰を優先的に助けるべきか』をお互いに知っていたので、近くに住む人がすぐに様子を見に行ったり、一緒に避難をしたりしたんですよ」と横山さん。

 また、嶋津さんは「地元の消防団員は、パトロールをしながら避難を呼びかける一方で、雨の中、被害が拡大しないように土のうを作って積むなどの作業も行ってくれました。また、町の職員は、道路が土砂で塞がれて車が通行できない状態でも、徒歩で1時間以上かけてこの地区に来てくれました。大変な時に、相手や地域のことを考えて行動してくれる人達の思いやりに触れて、心強く感じました」と話してくれました。

豪雨からわずか半月後の7月31日には、復旧・復興に向けてみんなで結束しようと、古後地区決起集会が開催されました。宿利さんは、「決起集会をしようと言い出したのは地区の若者です。私も協力しようと加勢し、地区住民約70名とJA、行政が集まって今後について話し合う場を持つことができました。この地区の主な産業は農業で、田んぼはみんなの宝です。地域に元気を取り戻すためには、農地の復旧が欠かせません。これからは、行政と一緒に豪雨災害を乗り越えていきたいです」と力強く語ってくれました。

古後地区決起集会の様子

↑(写真)古後地区決起集会の様子

宿利さん、横山さん、嶋津さん

↑(写真)右から宿利忠明さん、横山 千賀子さん
嶋津ひろみさん

土砂で塞がれた道路

↑(写真)土砂で塞がれた道路

 

 

発揮される「地域力」

 

 豪雨により道路に川の水が溢れ、一時は道路が寸断された中津市本耶馬渓町多志田地区。避難勧告が出る前から早めの避難を呼びかけ、東奔西走したのは自治委員の川鶴 誓(ちかし)さんです。

「一時は緊急車両が進入できない状況で救助活動も自分達で行いました。だく流が渦巻く中で電柱に掴まっていた女性を救出するために、地元の消防団員など5名で知恵を絞りました。近所からトラック用チューブを借りて浮き輪にし、ロープを命綱に、若手2名が泳いで助けに行き、救出。その女性は妊娠5カ月でしたが、母子ともに無事と聞いてほっとしましたね。

 また、避難所では民生委員が中心となってすぐに70名分の炊き出しをしたり、車中に避難している人におにぎりを配ったりしている光景を見て、胸が熱くなりました。地区のみんなが力を合わせれば何とかなると改めて実感しました」と川鶴さんは当時を振り返ります。

川鶴誓区長

多志田付近の様子
(写真)左から、青の洞門、流木などの撤去作業、豪雨後様子が変わった河川

一方、床上浸水の被害を受けた宮垣 政子さんはこう語ります。

 「水害で畳や家具などが使えなくなり、一時は心が折れそうになりました。しかし豪雨の翌日、地区のほぼ全員が駆けつけてくれましたし、その後も毎日いろんな人が手助けに来てくれました。多くの人達の支援を心強く思い、また頑張ろうと思えました。今は前を向くために、日々小さな幸せを見つけるよう心がけて生活をしています。焦らずゆっくり進んでいきたいです」。 

床上浸水による湿気で冬場までたたみを敷くことができない広間

↑(写真)床上浸水による湿気で冬場までたたみを敷くことができない広間

宮垣 政子さん

手に手をとって支え合う人々の姿は、「日頃の付き合いを映し出す鏡」。地域が復興するために、なくてはならない絆がここにありました。

今、伝えたいこと

  

 被災された皆さん。日々の暮らしの中で、心身の健康管理がおろそかになっていませんか。あまり頑張りすぎないで、心や体の声にも耳を傾けてください。ゆっくりとした腹式呼吸や、こまめにストレッチは心身ともにほぐれるのでオススメです。疲れがたまって不安や無気力感に襲われそうになったら、悩みを打ち明けられる人や私達保健師などに早めに相談してくださいね。一緒に考えていきましょう。

 また、身近にいる地域の皆さんが一番の心の支えになります。特に子どもや高齢者などに対して、引き続き見守りと声かけをお願いします。

 今回被災しなかった皆さんにも、いつ自分の身にも自然災害が襲ってくるか分かりません。「自分の命と大切な人の命をどうやって守るか」を今一度考えてみてください。例えば、日頃からの近所づきあいを大切にして、いざという時に助け合える関係を築いておくことも大切です。

渡邊由美子さん

竹田市役所健康増進課
主任保健師 渡邊 由美子さん

 保健師の活動風景    救護対

↑(写真)安否確認と健康相談、熱中症予防・感染症予防の指導、心のケアを行う保健師          

栄養士などに贈られた感謝のメッセージ←健康管理に努めた栄養士などに贈られた感謝のメッセージ

 

広がるボランティアの輪

 県内外から復旧作業のために集まったボランティア数はのべ計8,265人。土砂や流木の撤去、家財道具の運び出しのほか、避難所では心身の疲れを癒すための出張マッサージやお菓子の配布などさまざまな支援の手が差し伸べられました。 

 早朝から降り続いた豪雨が少し落ち着いた7月3日の昼頃、近くの学校が水に浸かっているのを見て、すぐに青年会議所メンバーで泥の掻き出しなどの作業を始めました。とにかく何かしなくてはという気持ちでした。ボランティアセンター設置後は、畳の搬出入やゴミの運搬などをしましたが、遠く屋久島の青年会議所からも応援に来てくれたのには感激しました。

これから、完全に復旧するまでには時間はかかるかもしれませんが、地域の行事を通じて若い力で盛り上げていきます。一人でも多くの人に日田市をはじめ被災した地域に足を運んでもらいたいのです。来てくれる人の笑顔が地域の元気になりますから。復興に向けて精一杯頑張ります。

末竹快健さん

ボランティア作業風景 
↑(写真)ボランティア作業風景

梅雨前線豪雨災害からの復旧・復興

県は、これまで緊急対応、応急復旧に努めてきたところです。今後の本格的な復旧・復旧に向けて、8月27日に「復旧・復興推進計画」を策定しました。この計画に基づき、関係部署が連携するとともに、国や被災市町と協力して、迅速な復旧・復興に向けた取り組みを着実に推進します。

これまでの主な経過

◆野田総理への緊急要望書の提出(7月20日)
 激甚災害の早期指定と被災者支援の各種制度の充実など

◆被災市長における水害対策会議の実施
 県と被災市町との意見交換(7月31日・8月1日)

◆激甚災害(本激)の指定
 農地等・農林水産業協同利用施設(8月3日)

◆平成24年梅雨前線豪雨災害「復旧・復興推進計画」の策定

主な支援策

◆被災者への支援
 ・災害弔慰金の支給
 ・生活の立て直しに資する資金の貸し付け
 ・住宅の被害程度等に応じた支援金の給付
 ・医療機関/高齢者施設等の復旧

◆農林水産業・商工業等への支援

 ・金融支援として低利の融資制度を創設
 ・既往借入金の償還繰り延べなど被災農家の負担軽減
 ・風評被害払拭のための観光キャンペーンの実施

◆教育・文化施設等の復旧・復興

 ・被災した学校施設、文化・社会教育施設の復旧
 ・被災学校へのスクールカウンセラーの派遣
◆社会資本等の復旧・復興
 ・道路や河川、農地・農業用施設等の復旧
 ・JRの全線復旧

◆防災機能・防災力の強化

・代替幹線道路ネットワークの構築
・災害対応の検証と防災計画への反映

◆復旧・復興情報発信

・県庁ホームページ等による復旧状況の発信