大分県庁のホームページ 『新時代おおいた』のバックナンバー
新時代おおいたVol.60 2008年 9月発行 新時代おおいたVol.60表紙
特集1 力強い農林水産業を目指して
特集2 きて、みて、ふれあって  チャレンジ!おおいた大会
風紋 教育再生
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心ひらいて
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県内の各世帯に配布(奇数月に発行)しています。 ご意見・ご感想をお聞かせください。
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力強い農林水産業を目指して
力強い農林水産業を目指して
目指すは2,000億円アクションプラン2008

  本年6月30日、県は平成20年度農林水産部行動計画「アクションプラン2008」を公表しました。低迷する農林水産業の再生に向けて何に取り組んでいくのか、具体的な目標値を掲げて示しています。
  大分県は平成17年の農業産出額で九州7県中最下位に転落しました。18年はかろうじて6位に踏みとどまったものの、農林水産業の活性化は本県の緊急かつ重要な課題です。
  食品の安全志向の高まり、原油・飼料等の価格高騰、環境分野へのシフト、アジアの経済成長など、農林水産業を取り巻く環境は目まぐるしいスピードで変化しています。
  にもかかわらず本県の農林水産業は、担い手の高齢化、非効率な生産体制、流通面での立ち後れなど構造的な課題を抱え、正念場を迎えています。
  「アクションプラン2008」では、平成22年(2010年)の農林水産業産出額2,000億円という目標を掲げています。
  平成18年の産出額1,884億円からするとこれは厳しい目標値です。しかし、あえて高い目標を掲げることで、関係者一丸となった目標達成に向けての取り組みを促進することを目指します。農林水産業の再生に向けて「待ったなし」、大分県のチャレンジは既に始まっています。
目指すは2,000億円アクションプラン2008

大分乾しいたけ日本一10連覇の偉業達成
大分乾しいたけ日本一10連覇の偉業達成   本年7月、第56回全国乾椎茸品評会で大分県は前人未踏の10年連続、通算42回目の団体優勝を果たしました。
  さらに個人の部でも最高賞(優等)である農林水産大臣賞を5部門中2名が受賞。林野庁長官賞(1等)も全20名中延べ16名を本県生産者が占め、その技術力の高さを大いにアピールしました。
  全国シェアの37%を誇り、生産量でも日本一の大分乾しいたけは、まさに全国トップブランド。近年は食の安全・安心への関心が高まり、国産しいたけの需要が増加傾向にある中、消費拡大を図る大きなチャンスを迎えています。
  大分乾しいたけは本県の「顔」と言える産品。「The・おおいた」ブランドを牽引する存在として、さらなる技術の向上を目指す生産者の努力に終わりはありません。
しいたけ


農業の新たな担い手企業誘致に全力

平野昭副知事(写真左)   7月のある日、平野副知事が玖珠町を訪れて いました。
  農林水産省出身の平野氏が副知事に就任したのは昨年5月。農林水産業の専門家として、本県の最重要課題の一つである農林水産業の振興に向け、奮闘中です。
  県内各地を飛び回り、県農林水産業の状況把握に努めるとともに、県外市場に出向き度重なる県産品のセールスを行うなど、精力的に活動。この日の目的は農業に新規参入した企業の視察でした。
  「今日はいろいろとご意見を伺わせてください」と副知事。訪問先は昨年度から大規模な高原白ねぎ生産に取り組み始めた株式会社KDファーム。母体は玖珠町で建設業を営む株式会社熊谷組です。
  大分県には8,000ヘクタールを超える耕作放棄地があり、担い手不足に悩まされています。その新たな担い手として注目されているのが「企業」です。県では、県内農家の育成施策に加え、企業の農業参入に対しても積極的な支援を行っています。
  農業技術の習得や農地の確保、施設整備など、一口に「農業参入」といっても、乗り越えなければならないハードルは少なくはありません。大分県ではワンストップの窓口を設置、どのような相談にでも応じられる総合支援体制を整えて、参入企業がハードルを乗り越える手助けを行っています。
  今回視察した熊谷組が農業へ参入した背景には、公共事業の減少に伴う建設業界の先細り感がありました。建設業が忙しくない夏の時期に出荷の最盛期を迎える高原白ねぎ生産は、本業を支えるもう1本の柱としてはうってつけだったのです。
  「おかげさまで栽培は順調です。現在は4・5ヘクタールの規模ですが、様子を見ながら増やしていきたい」とおっしゃる代表取締役の熊谷さん。平野副知事も「建設業からの参入の先進事例。良い見本となっていただきたい」と同社の成功に期待を寄せます。
(株)KDファーム  代表取締役  熊谷博文さん
*  *  *

問 農山漁村・担い手支援課 企業参入支援班
電話 097-506-3587


契約栽培に活路目指すは「お〜いお茶」を支える産地
来年に向けて茶園の造成を進めている。母体が建設業だけに重機を使う作業はお手の物   平成18年9月4日、大分県、杵築市、臼杵市は(株)伊藤園と茶産地育成協定を締結しました。伊藤園の「お〜いお茶」といえば誰もが知る緑茶飲料のトップブランド。同社は何のためにこのような協定を結んだのでしょうか。
農事組合法人カヤノ農産 組合長理事 河野杉雄さん   「緑茶は健康志向やペットボトル飲料の需要増などで消費が拡大しています。一方、国内の茶園面積は就農者の高齢化や後継者不足などのため減少傾向にあります。
  このような状況の中、『お〜いお茶』に適した原料の国内での安定調達や生産の効率化、さらには次世代の茶生産者の育成を目指して、茶産地育成事業に取り組んでいます」と説明するのは伊藤園の荒井さん。大分県内の2地域で100ヘクタールの茶園づくりを推進しています。
  この協定を受けて茶の栽培に乗り出したという杵築市山香町の農事組合法人カヤノ農産の茶園を訪ねました。広大な園には昨年植え付けたという若木の緑が辺り一面きらめき、以前は耕作放棄地であったとは思えない美しさです。運営を行うのは株式会社昭和建設工業(日出町)。同社工事部課長の河野さんが組合長を務めます。
  「実家がお茶農家なので分かるんですが、お茶は初期投資が大変なんです。最初の収穫まで、3〜4年間は収入がありません。しかしひとたびその時期を乗り越せば、50年近くにわたって安定した収穫が見込めます。参入するなら会社の体力がある今のうちだと思いました」と河野さん。とはいえ、4年は長い期間です。不安はなかったのでしょうか。
  「初期投資といっても、母体が建設業なので茶園の造成などは自分たちで行えるんです。私がお茶農家なのでノウハウもありました。何より契約栽培なので全量買い上げてもらえる、安定した売り上げが見込めるという点が大きかったですね」。伊藤園との協定があったからこそ踏み出せたというわけです。
(株)伊藤園  農業技術部部長  荒井昌彦さん   一方の伊藤園側も本県での取り組みに期待を寄せます。「大分県の気候、土壌にあった形で産地間競争力のある茶産地育成を行うには、生産者、県、当社の協力関係が非常に重要です。茶は30〜50年生産を続けられる作物ですので、長期的な視野に立って今後とも3者の協力のもと、大分県により良い産地ができることを期待します」と荒井さん。大分県発の「お〜いお茶」誕生の瞬間が今から楽しみです。
茶園
茶園


原油・飼料高騰に次の一手 平成20年度 8月補正予算成立
  高騰する原油価格が、県内の生産者に深刻な打撃を与えています。県ではこの危機的状況を踏まえ、補正予算で次のような対策に取り組むこととしました。省エネへの構造改革に取り組む生産者を積極的に支援していきます。
施設園芸
RPF(廃プラスチックや木くずを原料とした再生資源燃料)加温機やヒートポンプ(電力使用)等の重油代替燃料設備導入を支援
【新規】
ビニールハウスの保温効果や暖房効率を向上させる多層被覆、温風循環扇等の導入を支援
【拡充】
畜産
家畜飼料高騰相当分を融資対象とする無利子融資制度を創設
【新規】
畜産農家を対象に借り入れ済みの農業資金を借り換えるための低利融資制度を創設
【新規】
林業
高性能林業機械リース料に対し助成
【拡充】
椎茸農協が組合員に貸し付ける低燃費(油・薪兼用)椎茸乾燥機の導入に対し助成
【拡充】
漁業
(1) 省エネ型操業への転換に取り組む漁業者グループを支援する県漁協に対し助成(燃料費助成)
【新規】
(2) 省エネ機器(燃費を向上させる燃料改質器等)の導入などに取り組む漁業者グループを支援する県漁協に対し助成
【新規】
(3) 省エネのためのエンジン等の入れ替え経費にかかる資金の借り入れを無利子化するため利子相当分を補助
【新規】
(4) 前記(2)(3)の自己負担分を無利子で借り受けることができる融資制度を創設
【新規】






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