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出穂期の水管理
1. はじめに:出穂期以降の水管理の重要性
米の収量と品質は、出穂期以降の水管理によって大きく左右されます。この時期に適切な水管理を行うことで、登熟(稲が成熟していく過程)を促進し、胴割れ米や乳白米といった品質の低下を防ぐことができます。
2. 出穂期の水管理:登熟の第一歩
出穂期には、穂の急速な伸長などにより最も水分が必要な時期です。この時期の適切な水管理は、高品質・高収量のお米を育てるための最初のステップとなります。
管理の目的
開花・受精を安定させ、籾数を確保する。
出穂期前後の稲への水分ストレスを軽減する。
管理方法
出穂期: 浅水でもよいので田面を水が覆っている状態にします。この頃は基幹防除の1回目にあたり、湛水が効果的です。
3. 出穂期以降の水管理:良食味米づくりの仕上げ
出穂期を過ぎると、籾の中にデンプンを蓄え、粒を充実させる時期※に入ります。この時期の丁寧な水管理が、おいしい米を作るための鍵となります。
登熟期前半
目的: 籾へのデンプン蓄積を促し、粒の充実を図ります。
登熟期後半
目的: 根の活力を維持し、籾への養分供給を最後まで行い、米の品質向上を図ります。
管理方法: 浅水で間断かん水管理を継続します。水が多すぎると根の活力が低下してしまうため、根が健全に機能できる状態を保つことが重要です。
※間断かん水: 水を入れ2~3日湛水した後、自然落水し、数日乾いた状態を経過後、入水するというサイクルで管理します。
効果: 落水によって土壌に酸素が供給され、根腐れを防ぎ、根の活力を維持します。
注意点: 極端な乾燥は避けること。特に暑くて乾燥した日が続く場合は、落水期間を短くするなど、柔軟に調整してください。
収穫前の水管理についても、また後日掲載いたしますので、ご覧ください。