特集1 災害から生命と財産を守るために

特集2 地域のみんなで支える子育て

特集3 おおいたをおいしく食べる・おいしく育てる

風紋 「やさしくしなやかな社会をめざして」

地産地消・とよの国の食彩

県民レポーターによる訪問記

心ひらいて

風の四季

地域の風だより



地域のみんなで支える子育て

ちいさいときから、しょくまえに『土地とちありき』『のうありき』をおしえること、さらにはしょく周辺しゅうへんにあるえない大切たいせつなこと、たとえば礼儀れいぎ作法さほう行儀ぎょうぎなどをおしえることは、それからの人生じんせいにとって非常ひじょう重要じゅうようなことで、このことこそ食育しょくいく原点げんてんだとわたしおもっています」

大分県総合おおいたけんそうごうアドバイザーでもある東京農業大学小泉武夫教授とうきょうのうぎょうだいがくこいずみたけおきょうじゅのことばです。


小泉教授
こいずみきょうじゅ
 
 大分県おおいたけんでは学校給食がっこうきゅうしょく県産けんさん食材しょくざい使つかうことで、「べること」のまわりにある大切たいせつなものをおしえようとしています。
  どもたちに地元産じもとさんしゅん食材しょくざいのおいしさをあじわってもらおうと、はやくからんでいる地域ちいきひとつに香々地町かかぢちょうがあります。昨年さくねんから、毎月まいつき1かい「ふるさとの」として、地元じもと食材しょくざいかした献立こんだてづくりをおこなっています。その食材しょくざい説明せつめいした資料しりょうくばり、生産者せいさんしゃ努力どりょくつたわるように工夫くふうしています。
  今年ことし9がつの「ふるさとの」の献立こんだて地元じもとのサツマイモ、ナス、ネギ、タマネギ、グリーンアスパラガスを使つかった「いもごはん」「マーボーなす」「アスパラのおかかあえ」でした。
  ところが、台風たいふうによる強風きょうふう大雨おおあめ町内ちょうないのナスがほとんどだめになってしまったのです。そこで豊後高田市ぶんごたかだしのナスを使つかうことにしたのですが、町内ちょうない児童生徒全員分じどうせいとぜいいんぶんにはりず、とうふもくわえることになりました。おもわぬハプニングでしたが、こうした出来事できごとつうじて、生産者せいさんしゃ苦労くろうつたわります。
  「食材しょくざいきた教材きょうざいまち栄養士えいようしである塩崎課長補佐しおざきかちょうほさはそういます。地元じもと食材しょくざいは、必要ひつようとき必要ひつようりょうまった価格かかく用意よういできるとはかぎりません。だからこそ「食材しょくざい」は自然しぜんめぐみと生産者せいさんしゃ努力どりょくなしにはることのできない大切たいせつなものであり、大量生産たいりょうせいさん大量消費たいりょうしょうひされるものとはまったくちがうのだ、ということをわたしたちにおしえてくれるのです。

 

 県内けんないしょう中学校ちゅうがっこうなどで給食きゅうしょく食材しょくざいすべてに大分県産おおいたけんさんのものを使つかう「学校給食一日がっこうきゅうしょくいちにちまるごと大分県おおいたけん」が、11がつ中心ちゅうしんに、市町村しちょうそんごとに実施じっしされます。みなさんの学校がっこうではどんな食材しょくざい給食きゅうしょく使つかわれるでしょうか。ぜひ生産者せいさんしゃかおおもかべながらあじわってください。

 

 


  「かまはまわすように使つかって。のこぎりみたいにいて使つかうもんじゃないよ」「ったイネは根元ねもと穂先ほさきもそろえてあぜにまとめていといて」
  てきぱきと指示しじこえ水田すいでんひびきます。ここは棚田たなだられる院内町いんないまち余谷地区あまりだにちく稲刈いねかりりしているのは大分大学教育福祉科学部おおいただいがくきょういくふくしかがくぶの1・2年生ねんせい75にん教師きょうしをめざす学生がくせいたちが、余谷地区あまりだにちく農作業のうさぎょう体験たいけんしているのです。
  はじめてにするかま。ぬかるむ地面じめん台風たいふうたおれた稲穂いなほれない作業さぎょうどろだらけになっている学生がくせいもいます。それでも、二反にたんやく20アール)の稲刈いねかりをほぼ時間じかんわらせることができました。
  指示しじしていたこえぬし余谷あまりだに21世紀委員会せいきいいんかい副会長真田ふくかいちょうさなださんに、この体験学習たいけんがくしゅうれたきっかけをいてみました。

  「うつくしい棚田たなだでしょう。はじめてにして『なつかしいかんじがする』と学生がくせいもいるんですよ。でも、棚田たなだ一枚一枚いちまいいちまいせま大型機械おおがたきかいはいりにくいため、こめづくりにかかるコストはどうしてもたかくなります。かとって、農業のうぎょうをやめてしまえば棚田たなだててしまう。それをふせぐには、余谷あまりだにでとれた農作物のうさくもつ多少割高たしょうわりだかえても、そのおいしさや安全性あんぜんせいをアピールして消費者しょうひしゃってもらわなければなりません。そこで、平成へいせい12ねんに『余谷あまりだに21世紀委員会せいきいいんかい』をつくり都市部としぶ交流こうりゅうしながら、消費者しょうひしゃもとめているものをさぐっています。さらにすすんで、やまあいの農業のうぎょう実情じつじょう消費者しょうひしゃにも理解りかいしてもらえれば、とおもっています。農薬のうやくらし、有機肥料ゆうきひりょう使つかった『せせらぎまい』の販売はんばいや、都市部としぶ団地だんち夏祭なつまつりなどへの農産物のうさんぶつ出品しゅっぴんもそのひとつですね。未来みらい先生せんせいたちに余谷あまりだにってもらうことも、農業のうぎょう農村のうそんへの理解りかいにつながるとおもっています」
  消費者しょうひしゃがほしがる食材しょくざい提供ていきょうすることや、農村のうそん実情じつじょうらない学生がくせいたちと交流こうりゅうすることで、消費者しょうひしゃ関心かんしん食材しょくざいだけでなく生産者せいさんしゃへ、さらには産地さんちへとひろげて、農村のうそんとしての姿すがたたもとうとするこころみを余谷あまりだにおこなっているのです。
  同時どうじにそのこころみは、「地元じもと食材しょくざい安全あんぜん食材しょくざいくちにするためには、消費者しょうひしゃしょく産地さんちをどうそだてるか、どう維持いじしていくかをかんがえることが必要ひつようだ」という重要じゅうよう問題もんだい消費者しょうひしゃげかけてもいるのです。



【もどる】