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新時代おおいたVol.44(2006年1月発行)
新時代おおいたVol44表紙

Vol.44 2006年1月発行


県内の各世帯に配布(奇数月に発行)しています。 ご意見・ご感想をお聞かせください。
メール:
a10400@pref.oita.lg.jp

【表紙の写真】
将来は保育士に ものづくりや子どもが大好きな
大分県立鶴崎工業高等学校3年生 吉良有加さん(大分市)


  「あ、釘が曲がってる。ちょっと貸して」金づちを扱いながら、やさしい中にもきびきびした口調で小学生にいすづくりの指導をする吉良さん。鶴崎工業高校産業デザイン科の3年生です。どんな科目が好きですか? との問いには、「陶芸も写真もコンピュータグラフィックも、全部好き。でも、やっぱり木工が一番好き」教え方のうまさにも納得の答えでした。じゃあ、将来も木工やデザイン関係の仕事に進むんでしょうか?
  「進路はもう決まっているんです。短大に進学して、保育士の資格を取ります。子どもが大好きなので」鶴崎工業高校では、県内外の大学、短大や専門学校に進学する生徒も多いそうです。ものづくりの楽しさ、すばらしさを知っている吉良さん。将来は保育士としてものづくりの好きな子どもたちをたくさん育ててくれそうですね。


特集1 新春座談会 ともに築こう大分の未来
出席者
足利由紀子さんの写真 森和之さんの写真 横本喜久美さんの写真 広瀬勝貞さんの写真 鈴木麻里さんの写真
足利 由紀子
「水辺に遊ぶ会」代表
森 和之
大分県農村
青年連絡協議会会長
横本 喜久美
立命館
アジア太平洋大学学生・ 世界観光学生サミット
実行委員長
広瀬 勝貞
大分県知事
司会・進行
鈴木 麻理
OABアナウンサー

鈴木   新年明けましておめでとうございます。
2006年の幕開けを迎えました。今日は地域で活躍する皆さんと広瀬知事をお迎えして、これからの大分県の姿についてお話を伺います。
  まず、広瀬知事に昨年を振り返っていただきます。

危機管理・新長期総合計画の策定・企業誘致・海外との交流拠点

広瀬  夏の集中豪雨、そして秋の台風がありましたね。アスベストのような思いがけない問題も起こり、危機管理の重要性を感じました。  次に、県民の皆さんにもお知恵を借りて作った新しい県の長期総合計画です。「安心・活力・発展」をテーマに、大分の恵まれた天然自然に更に磨きをかけるための「ごみゼロおおいた作戦」の展開など、住んでよかった、住んでみたいと思われる大分県を、県民の皆さんと一緒につくっていくための計画となっています。
 それから、景気回復の大きな牽引力となる企業誘致です。ダイハツ車体の事業拡張に、大分キヤノンの新工場オープンや大分キヤノンマテリアルの工場立地表明など、企業誘致が進み、景気回復の牽引力になっていると実感しています。これを業種的、地域的に広げていくことが今後の課題です。  また、昨年は11月に「世界観光学生サミット」を開催しましたが、これも地理的にアジアに近い大分県が交流拠点となり、多くの留学生が集まってきているおかげだと思います。
鈴木  昨年は、明るいきざしの多かった1年でした。これを今年にまたつなげていきたいですね。
 それでは、「水辺に遊ぶ会」代表として環境教育に取り組んでいらっしゃる足利さん。お住まいの中津には干潟を始め、すばらしい自然がありますね。

子どもたちと感動を共有したい

足利  海のない長野県生まれの私にとっては、海があるだけで幸せですね。干潟にはカブトガニなどの生き物がたくさんいます。子どもたちと一緒にどろんこになって、干潟の生き物の名前を覚えたり、その生命を感じたりしながら、感動を共有できたらいいなと思います。いろんな体験をしながら子どもたちのやさしい心を育てるためにも、大分の豊かな自然は大切だと思います。
 それから 、「ごみゼロおおいた作戦」が始まってから、活動を始めた5年前と比べて清掃活動などへの参加者が増えてきました。ありがたいことですね。
鈴木  うれしいですね。わざわざ中津に移り住んでいただいて。
広瀬  私も海のない日田育ちですが、山や川など豊かな自然の恵みが、互いを思いやるやさしい心を育てているのだと思います。  「水辺に遊ぶ会」の活動には、地元の漁師さんたちも協力的ですね。
足利  おかげさまで。食べるものがどうやって私たちの口に入るのか、よくわからない子どもも増えていますね。そういう意味でも子どもたちにはいい体験になると思います。
鈴木  続きまして、杵築市でミカンづくりに取り組みながら、県農村青年連絡協議会会長も務めていらっしゃる森さんです。農業やその後継者の現状はいかがですか。

食の生産に携わる厳しさと楽しさ

 地元を出て就職した後、20歳で帰り農業を継ぎました。杵築は若い後継者も多いのですが、それでも20代の方はあまり多くありません。農家や後継者を取り巻く状況は厳しいですね。
 重油の高騰で燃料費が上がり、ビニールを1枚余分にかぶせたり、いろいろな工夫をしていますが、将来への不安もあります。でも、まず自分が本当に納得できるもの、これなら絶対に食べてもらえる自信のあるものを作りたいと思います。あとは、いかに自分たちの作ったミカンを消費者に知ってもらうかです。その2つを重点に頑張っています。
広瀬  去年大分で全国カンキツ研究大会がありました。杵築の生産現場も全国から視察者が来て、ずいぶん好評でしたね。後継者の問題もありますが、森さん、農業は楽しいですか?
 楽しいです。初めは覚えることが多くて、わからないことだらけで大変でしたが、私たちの口に入る「食」の生産という、大事な仕事に携われてありがたいと思います。毎日がいい刺激になります。

広瀬

 サラリーマンの経験も農業の経験もある方の言葉は重みが違いますね。頼もしいです。
鈴木  では、続いて「世界観光学生サミット」に実行委員長として関わった横本さんです。開催に当たってのご苦労やご感想は?

ハウスミカン研修会の写真 大新田ビーチクリーン&漂着物調査の活動写真 「世界観光学サミット」分科会の写真
ハウスミカンの研修会で、新しい技術を習得する。

「水辺に遊ぶ会」による年4回の「大新田ビーチクリーン&漂着物調査」の活動風景。どんな漂着物があったのかな?

「世界観光学生サミット」分科会。各国の学生が活発に議論を交わした。
 

組織づくりは一人ひとりの声をまとめること

横本

 一週間も続く、企画も進行もすべて英語のイベントで大変でしたが、参加者からの「楽しかった、いい経験になった」という声に充実感を味わいました。英語力のアップにもなったと思います。
 サミットに対しての思いや姿勢が違う180名の実行委員がいて、情報や認識の共有が大変でした。
 でも、一人ひとりの声を聞いてまとめていかなければ組織は成り立たないと気付いたことが、私にとっては大きな収穫でした。

鈴木  本当にすばらしい、グローバルな大会だったんですね。
広瀬  観光振興のために何が大切か、どうやって人材を養成するかについて、アカデミックに話し合う機会は、少なくとも日本では初めてですね。学生の自信にもつながったし、開催地の別府や大分県にとっても、いい財産になりました。
鈴木  観光振興の起爆剤になってほしいですね。
 それでは、これからの大分県づくりについて、皆さんの期待と要望をお願いします。

2006年の課題と期待

足利  大分の人は、昔から海や山などの自然から恵みをもらい、そのかわり、自然を守り育ててきたと思います。でも、最近そのバランスが崩れてきたように感じます。もう少し自然と私たちの暮らしとが仲良くできるように、私たちができることを考え、取り組みたいと思っています。
広瀬  山を守り、川をきれいに保ち、海岸線を大事にすること―それが自分のためだけではなく、相手のためでもあるということを考えてほしいですね。
 「ごみゼロおおいた作戦」では、いろいろなグループが交流していますから、広がりができるきっかけになると期待しています。

 農村青年連絡協議会は昨年、創立50周年を迎えましたが、県の農業普及指導員も一緒になって、この会を盛り上げてくれています。普及指導員からの情報提供や指導など、後継者にとっては、本当に助かります。
 来年度、県の振興局は12から6に減るようですが、20年後、30年後の農業を支える後継者が、やりがいを感じて農業ができるように、生産者と消費者と行政とが連携して農業を盛り上げてほしいですね。

広瀬  振興局の配置や普及の制度は変わりますが、大分県も交通網が整備され、交通アクセスもずいぶん改善されてきました。皆さんからこんなに頼りにされている普及指導員ですから、もっと現場に出かけて相談や指導、情報提供など、より充実した体制にして、皆さんと一緒に頑張ってもらいたいと思っています。
 何より大事なのは、担い手の育成です。そのために、全国に通用する「The・おおいた」ブランドをつくり、知恵を出し、汗をかいて儲かる農林水産業の実現に努めています。
 今度東京に出店する大分県のフラッグショップでも、県産品をどんどん売り出しますので、ぜひ、皆さんにもご覧になっていただきたいと思います。
横本  大分のまちづくりや県づくりに、学生のパワーをもっと発揮できる場をつくってほしいです。世界観光学生サミットに携わって感じたんですが、学生は、アイデアも豊富ですし、実行力や行動力もありますから。
広瀬  別府の国際通りへの取り組みなど、学生のパワーは本当にすごいですね。いろんな形で生かしてもらいたいし、皆さんに「大分はよかった、別府はよかった」と思ってもらうことが、将来の交流拠点として大分県の発展にもつながりますね。
鈴木  皆さんからいろんなお話がありました。知事、今年はどんな1年にしていきますか。

新しいチャレンジ―新長期総合計画の実行

広瀬  昨年末に決まった国の予算は、三位一体改革の影響で大分県にとっては厳しい内容でした。行財政改革も続く中で、県民の皆さんにも本当にご迷惑をかけますが、ぜひご理解を願いたいと思います。
 行財政改革は、それ自体が目的ではありません。これで作った資金的な余裕を新しいチャレンジ、新長期総合計画に注ぐのです。皆さんのご理解とご協力で、行財政改革も軌道に乗っています。「安心・活力・発展」をキーワードに、新しい大分県づくりを実行していくのが、今年の仕事です。
 今日は皆さんにずいぶんいい話、元気の出る話を聞かせてもらいました。私も県内を回る中で、新しい大分県づくりのために芽を出そうとする皆さんの力を感じます。そういう力を結集しながら、住んでよかった、住んでみたいと思われる、すばらしい大分県をつくっていきたいと思います。
 皆さん、今年もぜひよろしくお願いいたします。
  (1月3日放送 OAB新春特別番組要旨)

海苔体験漁の写真
「水辺に遊ぶ会」が1月に実施した海苔体験漁の様子。
農業後継者、農業普及指導員の集合写真
収穫したハウスミカンを前にして。
農業後継者と農業普及指導員の皆さん。
新春座談会の写真  


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