広瀬 以前、大分県に非常に縁のある臨済宗・相国寺派の管長、有馬頼底さんのご講演を伺ったときのことなんですが、競馬レースの「有馬記念」の話が出まして、有馬記念と有馬頼底さんの関係というのがよく分からなかったので、調べてみようと思ったんです。それで、家に帰ってグーグルで検索をしましたら、見事に求める情報が全部見つかりまして、改めてグーグルの威力を感じたんです。
村上 ありがとうございます。インターネットはおかげさまでかなり皆さんに親しんでいただけるようになりましたが、登場した頃の一番の悩みは、的確に自分が探している情報にたどりつくのがなかなか難しいということだったんです。
グーグルの創業者二人が考えたことは、書籍には後ろに索引というところがあって、例えば「有馬記念」とかいう言葉で検索できるようになっていますよね。もしもインターネットが巨大な書籍だとすると、ある事柄に関する情報がどこにあるのかが分かる索引を作ろうということからスタートしたんです。
そういう発想はグーグルだけが考えたことではないんですが、二人が優秀だったのは、ネット上にある無数の情報の中から、より関連度の高い順に示せる仕組みを作ったんですね。ですから知事がお使いいただいて、「的確な情報がすぐに出てきたな」という風に感じていただけたとしたら、少しは我々の知恵が、皆さんに喜んでいただけるような段階まできたかなという感じですね。
広瀬 なるほど。もう一つ、私の経験からなんですが、正月にベトナムに行きまして、カントーという都市でちょうど発電所を作っているところを訪ねたんです。
するとそこの所長さんが資料を作って説明してくださったんですが、こういう地域にこの発電所はありますよといった説明をされるのに、グーグルアース(*1)を使っておられたんです。こういう地図を自分で作るとなったらなかなか大変でしょうし、グーグルアースを使って分かりやすく説明していただけて私自身も助かった、ということがありました。
そうやってグーグルアースをうまく仕事に使っているのを見まして、いろんなビジネスや日常生活の中にグーグルは使われているんだなぁと改めて実感をしたんですけどね。
大分県で何かおいしい食べ物を作って世に売り出そうという人、あるいは何か事業をしようという人は、グーグルを使ったらいろんなことができるのではないでしょうか。
村上 グーグルアースでは地図の情報を提供していますが、その中の情報は我々ではなく、どなたかが持っているものなんです。いろんな方がいろんな情報を自由にアップロードできる仕組みになっているんですね。
そこで、知事の御質問にお答えすると、大分県の物産や観光情報をグーグルアースの上に自由に挙げていただけるんですよ。地域的な情報を集約する場ですから、ぜひ地方から発信したい情報を挙げていただくと、我々もありがたいですし、ユーザーの方にも大分県にどういうものがあるのかということがよく分かると思います。
広瀬 ということは、地図として既に提供してくださっているものの上に、我々が物産や歴史や、あるいは観光地図を作ったりできるわけですね。
村上 自由にお使いいただけます。最近の言い方ですと、「コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア(*2)」と言うんですが、消費者サイドが積極的にコンテンツを作り込んでいくという流れがありますので、県としてのいろいろな地域情報の発信の場としてお使いいただければと思います。
広瀬 みんなが参加しながらコンテンツを作っていくという時代なんですね、受信すると同時に発信もできるんだという。まさに、村上さんがよくおっしゃられている「アイデアさえあれば誰でも世界の中心に立てる」ということですね。
村上 おっしゃるようにインターネットは双方向で、受けるだけじゃなくて発信していけると、しかもその発信が地球上どの地域も中心で、自らが主人公になっていけるということですね。 |