広瀬
ここからは宇宙開発の現状と展望について伺います。
宇宙開発にはいろんな分野がありますが、一つは何と言っても、宇宙輸送システムですよね。日本でもH2Aロケットがいよいよできて、そろそろ世界のトップクラスに入りそうな雰囲気になってきたのではないですか。
星出
H2Aロケットはおかげさまで打ち上げもずっと成功していまして、かなり信頼性も高いレベルを維持しています。実は今、次のH2Bロケットという、さらに機能を上げた物を開発中なんです。それは宇宙ステーションに関係していまして、宇宙ステーションに物資を補給する宇宙ステーション補給機というものを現在併せて開発しているんですが、それを打ち上げるためにはH2Aロケットではパワーが足りないということで、より強力なロケットを作っているところです。
広瀬
なるほど、夢が広がりますね。
実は今回、大分県と宇宙の関わりについて調べてみましたら、そのH2Aロケットの燃料である液体水素が、大分県でも作られているんです。それからロケットに燃料を送るパイプ、これは高い信頼性が必要だと思いますが、こちらもやはり大分県で作られていました。そういったことで我々も、何となく宇宙を身近に感じているところです。
それにしても、今度のH2Bロケットの開発は、大変楽しみですね。
星出
次から次へとチャレンジしていくことは、日本の技術力を維持していく上でも非常に大事だと思います。
広瀬
そしてもう一つ、科学の分野もありますよね。今回のように実験棟を宇宙に打ち上げて、宇宙環境の中でしかできないような実験をしてみて、新しい物質を作り出すというようなことがあると思いますが。
星出
そうですね。たとえば宇宙では重力がありませんから、タンパク質の結晶も非常に純度の高い物ができるんです。地上だとどうしても重力に邪魔されて多くはできません。宇宙だとより多くできますので、それを地上に持って帰ってきて研究をしていただくと、いろんな新しい薬の発見とか、そういったことにつながっていくのではないかというふうに考えています。
広瀬
星出さんの取り付けていただいた実験棟から、将来、いろんな物質ができたり、薬ができたり、人類の救いとなるような発明や発見が出てくるかもしれませんね。 |