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公務災害事例

印刷ページの表示 ページ番号:0000001947 更新日:2009年11月17日更新

1.通常の職務遂行中の負傷

高等学校の教諭が、突然めまいがしてよろめき、後ろ仰向けに倒れた際に「頭部外傷、脳振盪、頸椎捻挫」を生じた事例(公務外)

(事例の概要)

  1. 災害を受けた職員の職種等
    A高等学校 教諭
  2. 傷病名
    頭部外傷、脳震盪、頸椎捻挫 
  3. 災害発生年月日
    平成8年9月24日
  4. 災害発生の状況
    被災職員(以下「本人」という。)は、視聴覚室で文化祭の後片付け中に、突然めまいがしてよろめき、後ろに仰向けに倒れ、床で後頭部を打ち、「頭部外傷、脳震盪、頸椎捻挫」と診断されたものであり、めまいがして以降は、本人には記憶がないものである。
  5. 勤務状況
    複雑な事情の生徒の家庭訪問、文化祭の準備等で朝早くから夜遅くまで連日勤務。 
  6. 被災職員の素因等
    災害発生以前にも、めまいの症状あり。
     
(説 明)
 本件災害は以下の理由により、本人の素因等が原因となったものであり、公務外の災害と認定されたものである。
 医学的観点で心身に何らかの素因を有しており、その素因が原因となって事故等が発生し、その結果として負傷した場合は公務を機会原因として発生した災害であるから公務と相当因果関係は認められず公務上の災害とは認められないものである。しかしながら、高素因の場合であっても、勤務環境、施設等が共働関係となって負傷した場合は、公務と相当因果関係が認められる場合があるものである。
本件の場合、本人の申し立てによると、めまいがしてよろめいたとしていることから、めまいが本件災害の原因となっていることが認められるものである。また、本人がよろめいた所に、はねあげ式の椅子が障害物のように出ており、この椅子に本人の膝が当たり後方に倒れたものとされているが、椅子が特に危険な状態になっていたとも認められないことから、学校施設が共働関係となっているとは認められない。
 なお、本人は被災以前に複雑な事情の生徒の家庭訪問等をしており、さらに文化祭の前には朝早くから夜遅くまで連日勤務する状況があったとしているが、これらの勤務については教諭の通常の職務であり、また、本人は以前にもめまいがあったとしていることから、被災前の勤務がめまいを引き起こしたものと認めることは困難である。
 以上のことから、本件災害は、本人の素因たるめまいが原因となって発生したものと判断されることから、公務との相当因果関係は認められない。

2.職務遂行に伴う怨恨による負傷

職員が住民に言いがかりをつけられ、対応していたところ、突然住民に殴られ負傷した事例(公務上)

(事例の概要)

  1. 災害を受けた職員の職種等
    A県土木事務所
  2. 傷病名
    顔面挫傷 右背部裂創
  3. 災害発生年月日
    平成6年6月24日
  4. 災害発生の状況
    被災職員(以下「本人」という。)は、用務のため同事務所に出張してきていた職員Bが住民C(以下「加害者」という。)に言いがかりをつけられているのを目撃し、本人は職員Bと一緒に説明にあたったが加害者が急に本人に対し殴りかかり、負傷したものである。
  5. その他参考事項
    加害者はたまたま同事務所に用があった友人に付き添って来ていたものであり、また、職員Bに対し言いがかりをつけ絡んできたものであるが、加害者は飲酒による酩酊状態にあったものである。また、本件は加害者の一方的な暴行であり、本人には挑発行為等の事実はない。
(説 明)
 他人の暴行による災害は、他人の故意に起因するものであるから、その点からみれば一般的には公務起因性はないと考えられるが、災害の原因が公務にあって、公務と災害との間に相当因果関係が認められる場合には、公務上の災害となる場合もある。
 他人からの加害行為が公務上の災害と認められるためには、当該加害行為が公務に起因していることが必要である。この公務起因性については、災害発生の経緯はもちろん、被災職員の職務の内容や性質(他人の反発や怨みをかいやすいものかどうか、職務の性質上他人の攻撃の目標となるものであるかどうか)を考慮し、判断すべきである。 本件の場合、災害発生時の状況から、本人の職務の遂行に伴う怨恨によって発生した負傷であるとは認められない。しかしながら、本人が加害者に対して行った行為は、勤務公署内において、酩酊状態である住民が職員に言いがかりをつけているところを、制止し、共に説明にあたっていたものであり、本人の職務上の限度を超えた加害者に対する刺激又は挑発行為や加害者に対する反撃等の事実が認められず、本人は職員として通常の対応を行っていたものである。したがって、加害者は酩酊していたため、本人の制止、説明に対して通常の反応以上に過剰反応をしたものと考えられ、公務従事に伴う受災危険性が発生し得る当該状況下で、本人が公務を遂行していなければ、本人は加害行為を受けなかったと認められるため、災害と公務との相当因果関係が認められ、公務上の災害と認められる。

3.研修中の負傷

研修受講のため会場へ向かう途上での災害事例(公務上)

(事例の概要)

  1. 災害を受けた職員の職種等
    A県総務部広報課
  2. 傷病名
    大腿骨骨折
  3. 災害発生年月日
    平成8年2月5日
  4. 災害発生の状況
    被災職員(以下「本人」という。)は、地方公務員法第39条に基づく研修を受講するため、自宅を出発したが、研修所へ行くためには勤務公署の前を通り過ぎていくため途中までは同じ道を歩いて行くこととなるが、その途中で交通事故に遭い大腿骨を骨折した。
  5. 研修場所および研修期間
    A県研修センターにて2日間(日帰り)の日程で実施
(説 明)
 本件災害は、以下の理由により公務上の災害と認められたものである。
 本人は、地方公務員法第39条の研修を受講するために研修所に向かって歩いている際に被災したものであるが、地方公務員法第39条の研修の受講は、一般的には職員に対して臨時に割り当てられた職務であると解されている。日常勤務をする勤務公署以外の場所で研修を受講した場合は、公用外出又は出張と同様に勤務公署を離れて単独に行動することが多く、任命権者の直接の管理下にある状態から離脱するものであるが、その間の過程全般を通じて特別の事情が認められない限り任命権者の支配下にあるものとして包括的に公務遂行性を認めているものである。
 本件災害が自宅から勤務公署までの間で発生しているが、本人は、当日研修センターへ向かう途中で事故に遭ったものであることから、公務上の災害と認められる。

4.レクリエーション中の負傷

レクリエーション参加中の災害事例(公務上)

(事例の概要)

  1. 災害を受けた職員の職種等
    A市教育委員会B小学校 教諭
  2. 傷病名
    左アキレス腱断裂
  3. 災害発生年月日
    平成8年9月14日
  4. 災害発生の状況
    被災職員(以下「本人」という。)は、地方公務員法第42条に基づくA市小学校教職員ソフトテニス大会の試合中、相手からのボールをバックハンドで返球しようとしたところ、左足が滑ったような感じとなり負傷した。
(説 明)
 本件は、以下の理由により公務上の災害として認められたものである。
 レクリエーション中の負傷が公務災害と認められるためには、「基本通知」の記の1の1のクにより定められている「地方公務員法第42条の規定に基づき任命権者が計画し、実施したレクリエーション又は任命権者が地方公務員等共済組合法に基づく共済組合若しくは職員の福利厚生事業を行うことを主たる目的とする団体で、条例により設置され、かつ、地方公共団体の長等の監督の下にあるものと共同して行ったレクリエーションに参加している場合(2以上の任命権者が共同して行った運動競技会に代表選手として当該任命権者から指名されて参加している場合を含む。)その他任命権者の支配管理の下に行われたレクリエーションに参加している場合」に限られるものである。
 また、「レクリエーションに参加中の職員が受けた災害の公務上外の認定について」の記の5で「参加している場合」とは、所定の時間帯において当該レクリエーションに出場し、又は応援している場合をいい、準備運動を行っている場合及びこれに準ずる場合をも含むとされている。
 本件についてみると、本人は地方公務員法第42条に基づくレクリエーションに参加中に足が滑ったことにより負傷していることから、公務上の災害と認められる。

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