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労働契約法Q&A

印刷ページの表示 ページ番号:0000109644 更新日:2010年7月27日更新

労働契約法Q&A

 このページは平成20年3月から施行された労働契約法の内容をQ&A形式で説明しています。
参考資料はこちらから
A1
 労働契約法は、労働契約についての基本的なルールがわかりやすい形で明らかにされた法律です。(平成20年3月1日施行)
 近年、わが国の経済環境が大きく変動し、新卒で採用され定年で退職するという長期雇用ルールや年功序列的な処遇体系が変化し、パート労働や派遣労働をはじめ、就業形態が多様化するとともに有期契約の労働者が増加しています。一方、職業生活と私生活とのバランス重視など、働く人の労働に関する価値観も多様化してきました。
 このような中、労働者の労働条件が個別に決定、変更されることが多くなり、それらをめぐるトラブルが増加しています。
 労働条件とは、労働者と使用者との間で結ばれる労働契約の内容のことですが、これまで労働契約に関して民事的なルールをまとめた法律がなく、また、個別の労働条件をめぐるトラブルを防止する必要性の高まりから、労働契約法が制定されました。
A2
○過去の労働契約の主要判例を条文化
 これまで、労働契約をめぐる民事的な考え方の多くは、判例法理(判例の積重ねによる法理)によって形作られてきました。労働契約法の中では、労働契約に関する主要な判例法理が明確にされています。
○労使の実質的な対等を確保する規定
 労働条件は、本来、労働者と使用者が対等の立場で決定すべきであることが基本理念ですが、実質的には、労働者と使用者との力関係には大きな格差があり、労働者が一方的に不利益な状態に置かれがちです。
 そのため、労働契約法では、そのような格差を是正し、個別労使間の実質的な対等を確保するという観点に立った規定が設けられています。
A3
 労働基準法は、法律で労働条件の最低基準を定め、罰則規定や労働基準監督署の指導・監督によりその内容が守られることを担保しており、労働条件に関する基本法としての性格を持っています。
 これに対し、労働契約法は、労働者が不当に不利・不公正な状況に陥らないようにする強行規定を定めた条項がある一方で、労働契約を結ぶ、あるいは変更する際の手続きを定めた民事的な部分も併せ持っています。
 しかし、当該条文により、すべてが明確に具体的な規範とは解しにくいところがあり、その意味では、これまで同様、判例が判断基準として機能する面は変わりません。
A4
 労働者の定義は
 労働契約法
 ●使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者【第2条第1項】
 労働基準法
 ●事業または事業所に使用される者で賃金を支払われる者【第9条】
 厚生労働省によると、労働契約法の対象となる労働者については、
 ●使用者の指揮命令のもとに働き、その報酬として賃金を受けている場合には労働者となる。
 ● 「請負」や「委任」という形式をとっていたとしても、実態として使用者 の指揮・命令の下に働き、その報酬として賃金を受けている場合には、労働者になる。
   
A5
 労働契約法第 3 条では、労働契約の基本原則について次のように定められています。
(1) 労使対等の合意によって締結または変更すべきものであること。【第1項】
※当事者である労働者と使用者の対等の立場での合意により労働契約が締結または変更されるという基本原則を確認したものです。
(2) 就業実態に応じ、均衡を考慮して締結または変更すべきものであること。【第2項】
※労働契約を締結または変更する場合には、就業の実態に応じて均衡を考慮すべきものであるという原則を定めたものです。
(3) 仕事と生活の調和に配慮して締結または変更すべきものであること。【第3項】
※労働契約を締結または変更する場合には、仕事と生活の調和に配慮すべきものであるという原則を定めたものです。
(4) 労使ともに信義誠実に権利を行使し義務を履行しなければならないこと及び権利を濫用してはならないこと。【第4項、第5項】
※民法に定められている信義誠実の原則や権利濫用禁止の原則が当然に労働契約の締結または変更の際にもあてはまることを定めたものです。
A6
 労働契約法第4条では、
○労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする【第1項】
○事業主が労働者に労働条件を説明して労働契約内容の理解を進めるべきこと、具体的には、労働契約の内容について、「できる限り書面により確認するものとする」 【第2項】とされています。
 労働基準法では、労働契約の締結に当たり、事業主が労働者に労働条件を明示しなければならないことが定められています。
【労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条第1項】
【労働基準法に定める明示事項】
◆絶対的明示事項
 ※絶対的明示事項は書面を交付して明示する必要があります。
<1> 労働契約の期間
<2> 就業の場所、従事する業務の内容
<3> 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
<4> 賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切、支払の時期に関する事項
<5> 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
◆相対的明示事項
 ※定めをした場合に明示義務のある相対的明示事項
<1> 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払の時期に関する事項
<2> 臨時に支払われる賃金・賞与などに関する事項
<3> 労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
<4> 安全衛生に関する事項
<5> 職業訓練に関する事項
<6> 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
<7> 表彰、制裁に関する事項
<8> 休職に関する事項
■就業規則の変更等による労働条件の変更時
 労働契約法では、就業規則の変更などにより、働いている中で労働条件が変更された場合においてもできる限り書面で明確にするよう定められています。
■有期契約の場合
 さらに、パートタイム労働者や契約社員、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用労働者に多く見られる期間を定めて雇用されている有期労働契約の労働者についても、当該契約の内容をできる限り書面で確認することとされています。

参考 『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準』の主な内容

【平成15年10月22日厚生労働省告示第357号】
<1> 使用者は、契約締結時に契約の更新の有無を明示しなければならない。更新する場合があると明示したときは、更新する場合やしない場合の判断基準を明示しなければならない。それらを変更する場合は、速やかに通知しなければならない。
<2> 使用者は、契約締結時にその契約を更新する旨明示していた契約(1年以上継続雇用している契約または3回以上更新した場合の契約) を更新しない場合は、少なくとも契約期間満了の30日前までに予告しなければならない。
<3> 使用者は、雇止め予告後に、労働者が雇止めの理由について証明書を求めた場合は、速やかに交付しなければならない。
<4> 使用者は、契約を1回以上更新するか、1年以上継続雇用している契約を更新しようとする場合は、契約の実態や労働者の希望に応じ、契約期間をできるだけ長くするよう努めなければならない。
A7
 これまで、労働契約に付随して使用者に安全配慮義務があることは、判例で確立していたと言えますが労働契約法において、使用者には、労働契約の締結に伴い労働者の生命・身体等の安全に配慮する義務があることが定められました。【第5条】
   

[参考判例]

  「使用者は、右の報酬支払義務にとどまらず、労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具を利用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っているものと解するのが相当である。」【川義事件/最高裁第3小判/S59.4.10】
A8
 労働契約法第 6条では、
 「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、双方が合意することによって成立する」
と定められています。
 労働契約法第7条では、使用者が就業規則を定めている場合には、
 <1>就業規則の内容が合理的であり、
 <2>就業規則を労働者に周知させていた
場合には、就業規則で定める労働条件が労働者の労働条件になるとされています。
以下は上記の例外の場合
<1>  労使の間で就業規則と異なる労働条件を個別に合意していた場合には、その合意した内容が労働条件になります。【第7条但書き】
<2> 個別で合意した労働条件が就業規則の内容を下回っているときは、就業規則が労働者の労働条件となります。【第12条】
<3> 就業規則で定める労働条件が法令または労働協約に反している場合には、その労働条件は労働契約の内容とはならないことが定められています。
【第13条】
A9
 労働契約法では、労働条件の変更について、労使合意の原則が確認されています。
◆ 労使の合意による変更は可能である【第8条】
◆ 使用者が就業規則を一方的に変更しても、労働者との合意がなければ、その労働条件を不利益に変更することはできない【第9条】
 ただし、その例外として、
  ○就業規則の変更が合理的なものであること
  ○変更後の就業規則を労働者に周知させたこと
との要件を満たした場合には、使用者が就業規則を変更することにより、「労働条件は当該変更後の就業規則の定めるところによる」とされています。
 なお、就業規則の変更に係る合理性を判断する要素としては、
  ア)労働者の受ける不利益の程度、
  イ)労働条件の変更の必要性、
  ウ)変更後の就業規則の内容の相当性、
  エ)労働組合等との交渉の状況、
などの事情を総合的に考慮されることとされています。
A10
 労働契約が継続する中で、出向によりその労働条件が大きく変わることがあります。
 労働契約法では、使用者が労働者に出向を命じることができる場合で、その出向命令が必要性やその労働者の選定などで命令権を濫用することは、権利を濫用したものとして無効となることが定められています。【第14条】
A11
 使用者の労働者に対する懲戒については、これまでの判例では、企業秩序を定立・維持するための使用者の懲戒権を認めつつ、就業規則における懲戒規定等の根拠があって初めて行使できるという見解が示されるとともに、労働者の当該行為が就業規則の懲戒事由に該当する場合であっても、その実態を踏まえ、当該懲戒が権利の濫用に当たらないかどうかを判断してきました。
 労働契約法では、懲戒について、使用者が労働者を懲戒することができる場合で、当該行為の性質や態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効となることが定められています。【第15条】
A12
 解雇権の濫用については、これまで労働基準法第18条の2において、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして無効とする」と定められていましたが、労働契約法第16条に同内容が定められ、労働基準法からは削除されました。
 また、特に、有期労働契約の労働者に対する契約期間途中での解雇について「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」【第17条第1項】と定められました。
 また、有期労働契約については、「労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない」【第17条第2項】と定められました。

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