大分県庁のホームページ 『新時代おおいた』のバックナンバー
特集1 進む社会資本整備
特集2 食の安全・安心を考える 〜後編〜
特集3 別府アルゲリッチ音楽祭
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食の安全・安心を考える〜後編〜

 1月号の本誌では、輸入食品の安全確保に向けた県の緊急対策、そして食品偽装表示を防止するために民間と行政の両輪で進めている取り組みについてお伝えしました。
 今号ではまた別の角度から「食の安全・安心」について考えます。この機会にいま一度、自らの“食”を見つめ直してみませんか。
おおいた食育コーディネーターの衛藤めぐみさん

食べることの大切さと楽しさを知ってほしい
親子で楽しむおやつづくり
   1月のある日、中津市立今津幼稚園の園児たちとその保護者を対象にした研修会が開かれていました。テーマは「親子で楽しむおやつづくり」。講師は「おおいた食育コーディネーター」の衛藤さん。幼稚園で育てたさつまいもを使ってプリンを作ります。
   県ではさまざまな分野で活躍する食育の実践者を「おおいた食育人材バンク」に登録し、市町村や県民の皆さんの要望により派遣しています。食育活動の活性化を図り、家庭・地域における「食育」の定着を目指すことが狙いです。
   この日派遣された衛藤さんは、宇佐市余谷(あまりだに)で地元の食材にこだわった手づくりパンとケーキの販売や料理教室を行ったり、また体にやさしい食事を提供する場所として「めぐちゃん工房」を開くかたわら、「子どもたちに本当の食を伝えたい」とこのような食育活動に熱心に取り組んでいます。曰く、「ポイントはさつまいもをクリームにして、味見をすること。少し手を加えることでこんなにおいしくなるんだということを感じてもらえたら」。
   以前は栄養士の仕事をしていた衛藤さん。食を通した健康管理にも大変関心が深く、「食事は体を縦と横に育てるもの。体にいいものを食べることは大切で、年を取ったときにそれが分かると思うんです。食事を作る人間がいろいろと勉強をして技術を身につければ、病気を予防したり、体を改善することだってできるはず」とおっしゃいます。
   調理実習が終わり、プリンを試食した子どもたちから「おいしーい」の声。自分たちが育てたさつまいもが見事なおやつに変身したことに感激した様子です。「身近で安全な食材を使って、子どもと一緒におやつを作る。簡単なものですが、家ではなかなかできないことです。いい体験になったのではと思います」と衛藤さん。これからも食生活の話や自身の経験などを伝えていき、1人でも多くの人に“食”に関心を持ってもらうきっかけとなればと考えているそうです。

「根拠ある安全」を消費者へ
みつばの調整作業。異物(髪の毛)の混入を防ぐため、帽子を着用している
   「GAP」という新しい考え方が農業にとり入れられようとしています。Gは「良い」、Aは「農業」、Pは「実践」のことで、直訳すると「良い農業の実践」。農林水産省では「農業生産工程管理」といっていますが、このGAPが今、注目を集めています。
   具体的にはどのようなことなのか、実践しているみつば栽培農家の有限会社育葉産業を訪ねました。「農薬を例にとって説明しましょう。農薬は登録がされていますから、本来、安全なものです。しかし問題は使い方です。説明書きを正しく読んで、正しく使用することが大事です。そこができていなければ、いくら減農薬にしても必ずしも安全とは言えません。同時に、衛生面でも注意が必要です」とおっしゃるのは代表取締役の栗田さんです。
栗田洋蔵さん
   「私たちはイメージだけで減農薬=安全と思っていないでしょうか?イメージではなく、『根拠ある安全』とするにはどうしたら良いか。リスクを見極めて、それを取り除くことです。例えば、『イチゴのパック詰めをするときには手を洗う』というようなことです。考えてみれば当たり前で、難しいことではありません。私はGAPを、『まじめな農業の取り組み』と呼んでいますが、ごく当たり前のことをまじめにやることが大切なんです」。
   GAPとはこのように、農家が農作業を順に整理して、農薬の取り扱いや衛生面などで危険なことがないかを把握し、その予防のための対策方法を考えて実行することなのです。また、農薬の散布や肥料を施したことなどを記録しておくことで、万一問題が生じたときでも、速やかな原因解明や再発防止策の実行を可能にします。なにより、整理整頓ができて作業効率が上がることで経営改善効果も期待でき、農家も取り組むメリットがあります。
   農産物の「根拠ある安全」を担保するものとして注目を集めるGAP。県内でも今年度、「JAおおいたおおいたみどり地域本部トマト部会」をはじめとする6つのモデル部会で導入が進むなど、着々と広がりを見せています。「GAPは安全・安心な農業のベースとなるもの。どんどん広がっていってほしい」と栗田さん。県としてもGAPの普及・定着を目指し、県内農家の支援を行っています。
*GAP=Good Agricultural Practice

食の安全・安心−私はこう考える−
〜いただいたお便りの一部をご紹介します〜
買い物のときは必ず表示をチェックしている。また、アイネス等の食に関する講習会、学習会に参加するよう努めている。
安全・安心な食材を選ぶ目を養うための勉強会、現地視察会、農業者との交流会等を行政が企画・実施してほしい。
無農薬野菜や、みそ、豆腐など自分でできるものは何でも作っている。まず自分の身の回りからできることを始めれば意外と世界が広がってくる。国が悪い、政治が悪いというだけでなく自分が変わらないといけないと思う。
ただ「国産」と書いているのではなく、「大分県産」と書いていたら地元で採れたんだなぁと安心できる。私の通う小学校では県産の食材だけを使って作る「まるごと大分給食」がある。おいしい海の幸・山の幸に恵まれた大分に住んでいる私は幸せだなぁと思う。






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