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特色・魅力・活力ある高校づくり

  少子化や情報化、国際化、科学技術の進展など、子どもたちを取り巻く社会状況の大きな変化に伴い、子ども自身や保護者の考え方や価値観、ニーズも多様化しています。大分県では、こうした状況に対応し、高校入学時及び入学後の生徒の選択肢を広げ、県全体の学力向上を図るため、平成16年4月に「高等学校改革プラン検討委員会」を設置し、高等学校の再編整備、通学区域制度の見直し、入学者選抜制度の改善等について検討を重ねてきました。委員会では、パブリックコメントや地域別懇談会等での意見についても十分議論を行い、昨年12月に最終「報告書」を教育長に提出しました。今回は、その概要をご紹介します。
 
高校改革プラン最終報告書の概要
1.適正規模の高校再編成による活力ある学校づくり
 生徒同士が切磋琢磨(せっさたくま)する環境をつくるとともに、学科の専門性を確保して生徒の多様なニーズに対応するため、平成26年度までを見据え、1学年6〜8学級を適正規模として、発展的統合を進めながら、当面平成18年〜21年度までの再編整備を行う(図1)。
2.新しいタイプの学校・学科の設置による特色ある学校づくり
  現6通学区域ごとに特色ある高校づくりを行うため、総合学科(注1)または総合選択制高校(注2)を区域内にいずれか1校設置するとともに、普通化単独の拠点校を配置し、よい意味での学校間競争を図りながら県全体の学力向上を目指す。また、中高一貫教育校や独立単位制高校等を設置する。
3.通学区域制度の見直し、教職員の意識

  生徒の学校選択の自由や教育の機会均等の観点から、平成18年度から通学区域を全県一区とする。
  また、生徒から選ばれる学校づくりには、教職員が生徒・保護者のニーズを十分理解することや、教職員間の適度な競争意識と適切な自己評価意識を醸成することが必要となる。高校改革の推進にあたり、教職員が新しい発想で柔軟かつ主体的に新しい学校づくりに向けて取り組むことが求められる。

 (注1)総合学科
  普通科目から専門科目まで幅広く学習できる第3の学科。個々の進路目標、興味・関心、能力・適性に応じた授業選択ができる。
(注2)総合選択制高校
  一つの高校に普通科と専門学科が設置されるが、入学時の学科は原則として卒業時まで変わらないため、科目の専門性は維持される。さらに、所属する学科の枠を超え他の学科の科目を選択履修することもできるため、生徒の多様なニーズに対応が可能となる。
 
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独立単位制高校新設への願い
 今回の報告書では「独立単位制高校」設置が提言されています。これは、仕事をしながら学ぶ人や中途退学者等のニーズと生涯学習社会に対応するため、定時制・通信制の3校を統合し、大分市内に新設するものです。
単位制で、定時制の午前部・午後部・夜間部と通信制過程とがそれぞれ併修可能になります。
  単位制では「学年」という概念がなく、必要な在学期間と単位の修得があれば卒業できる、一度習得した科目が無効にならないといった特色があります。また、併習すること等により、必要な在学期間も3年に短縮されます。自分のペースで学びたい。生涯学習の場として利用したい、大学や専門学校等に進学したいなど、定時制・通信制高校への多様な入学動機やニーズに、柔軟に対応できる制度です。
  現在、定時制の中央高校では、午後5時からの給食を終えた後、4校時の授業を行い、教室や体育館等の施設を大分商業高校と共有しています。また、通信制の碩信高校では月2回程度、日曜日にスクーリング(面接指導)を行いますが、在籍生徒数が2,000人となっており、科目によっては教室の机が足りないなどの悩みが聞かれます。
  誰でも、いつでも、必要に応じて高校教育を受けられるよう、独立した校舎を持つ「独立単位制高校」の新設は、定時制・通信制高校の生徒や保護者、教職員の悲願でした。今回の改革により、その実現に向けて一歩前進したと言えます。
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定時制高校での化学の実験教室
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定時制高校での給食 通信制高校でのスクーリング
(図1)
高等学校改革プラン検討委員会委員長、
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―高校改革プランのポイントは何でしょうか?
山崎 現代社会の要求や、子どもたちの多様なニーズに柔軟に対応できるような学校づくりですね。そのために、通学区域を全県一区とし、学校規模を適正化するために再編整備を図り、現在の6通学区域内に普通拠点校と総合学科または総合選択制の高校を1校ずつ設置するよう提言しています。
  高校では、社会性や協調性を養うため、生徒が互いに磨き合い鍛え合うことや、専門性を保った教員の確保が大切ですが、小規模校ではそれが困難です。また、専門学科に入学後、進学を希望する生徒もいますが、小規模校ではそうした生徒にニーズに対応できないことが多い。そこで総合選択制や総合学科で、そうしたニーズに応えようとするわけです。
―小規模校なりのよさもある、地域の学校を残してほしい、という声もありますが。
山崎 適正規模校と小規模校とは対立するものではなく、きめ細かな指導など、小規模校のよさを生かすことは十分可能です。
  また、今後の生徒数減少を考えれば、1学級10数名程度の学校から廃校になってしまうことが、本当に子どもや地域のためになるのでしょうか。卒業後の進学や就職を見すえ、ニーズに応じた多様な教育環境を提供することの方が、子どもにとってはるかに有益です。
―今回の改革で,県全体の学力向上が図られるのでしょうか?
山崎 生徒の選択肢が広がる、ということは、高校にも「生徒から選ばれる高校」になるための努力が要求されることになります。適正規模の教員配置や、よい意味での競合は、学力向上につながるでしょう。また、特定の学校に集中することを防ぐためには、特色ある学校づくりや、教員の意識改革が必要です。社会の変化や生徒のニーズの多様化を素早く察知し柔軟に対応することや、自分たちの仕事の検証を行うことが大切です。教員の仕事の評価は大変難しいことですが、やらなくてよいわけではありません。閉鎖性を打破し、保護者や地域に開かれた学校になる必要があります。
  生徒の選択肢を広げ、よい意味での高校間の競合を図ることは、豊かな人間性と社会性の醸成や学力の向上につながります。子どもたちが充実した高校生活を送ること、そして自分の希望に沿った進学や就職の実現を可能にすること、それがこの改革の目的であり、大分県を「発展」させることでもあるのです。
 

 


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