同和問題を考える
もうすぐ4月、就職や進学など新しい生活のスタートに希望と期待に胸をふくらませている人も多いことでしょう。
しかし、本人の能力や努力ではなく、生まれによって差別や人権侵害を受けたりする場合があります。それが、日本社会固有の差別である部落差別といわれる社会問題、いわゆる「同和問題」です。
同和問題は、一説によると江戸時代以前の封建社会にあった賤民身分やその居住地に対する差別を原因としていますが、基本的人権にかかわる問題として、その解決は国の責務であり、国民的課題であるとされています。一方、部落差別は解消された、あるいはそっとしておけば部落差別はなくなるという考えの人もいます。
しかし、実際には差別発言や投書、インターネットなどにひぼう・中傷の書き込みが行われたり、身元調査をするために戸籍謄本を不正に取得した事件などが最近も起きています。就職や結婚という人生の大事な節目に、部落出身ということ(あるいはそう思われた)だけで就職できなかったり、結婚を反対されたり婚約を破棄されたという不当な出来事が今でも起きています。こうしたことを見ますと、部落差別がなくなったとは言えませんし、そっとしておけばいずれなくなるということは現実的ではありません。
同和問題を過去の問題としてとらえるのではなく、私たち一人ひとりが自分自身の課題として、人権問題という本質からとらえ、解決に向けて努力する必要があるのではないでしょうか。
|