豊かな海岸線と漁場を有する大分県は、魚介類の宝庫でもあります。特にタチウオは、国東、臼杵地域などを中心に、2、951トン(平成16年)が水揚げされ、全国2位の漁獲量を誇ります。
その中で国東地域のタチウオは、「くにさき銀たち」として消費者の人気を集めています。国東地域のタチウオのブランド化について、小田義幸さんにお話を伺いました。小田さんは現在、県漁協経営管理部経営管理課で部長代理を務めていますが、昨年までくにさき支店に勤務し、国東のタチウオのブランド化に尽力しました。
「タチウオは、以前から海にいましたが、漁師が捕るようになったのは、昭和56年頃からです。それまでは、ノリやタイラギ漁が盛んで見向きもされていませんでした。その後、徐々に捕られるようになりましたが、なかなか魚価が上がらず、漁師の所得向上につながっていませんでした。そこで漁協でなにか協力できることはないかと考え、仲買人を通さず、直接市場と取り引きする共同出荷を平成元年から始めました。当初は参加者が15人と少なく、仲買業者からの反発もありましたが、ことあるごとに共同出荷の有用性を説明することで、徐々に浸透していきました」と小田さん。その後、タチウオをブランド化したいと考え、県や町とも連携しながら平成4年に協議会を立ち上げ、ブランド化の検討を始めたと言います。一般公募でタチウオのネーミングやマークの募集を行い、「くにさき銀たち」と名称が決まりました。また、「どこで食べられるのか?」といった問い合わせに応えるため、平成16年に道の駅くにさき「銀たちの郷」をオープン。名物料理となった「太刀重」も、タチウオ料理の募集で応募のあった料理をアレンジしたものです。
「大分のタチウオは網ではなく釣りものが多いので、新鮮で肉厚、身も締まっています。県下では国東、臼杵を中心に多くのタチウオが水揚げされています。県漁協は平成14年に県内一つにまとまりました。漁協の支店が魚を搬送するための車を保有していますが、そうしたものを有効に活用しながら効率的に共同出荷を進め、安定して市場に供給できるようにしたいと考えています。タチウオは、大分だけで捕れるわけではありません。他の産地と差別化を図るには、漁業者や関係者が魚の選別を徹底し、取り扱いを丁寧にするなど、消費者に信頼・安心して買っていただけるよう努力していくことだと思います。今後も県や漁業者などと連携しながら、大分のタチウオを売り込んでいきたいと思います」と語ってくださいました。県では、出荷体制、直売所の整備に対する補助など、関係者と連携してブランド化に向けた取り組みを進めていきます。 |