大分県庁のホームページ   『新時代おおいた』のバックナンバー
新時代おおいたVol.51(2007年3月発行) 新時代おおいたVol.51表紙
特集1 「The・おおいた」ブランドの新たなチャレンジ
特集2 みなさんの子育て・出会いを応援します
風紋 年年歳歳花相似たり
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県内の各世帯に配布(奇数月に発行)しています。 ご意見・ご感想をお聞かせください。
メール:
a10400@pref.oita.lg.jp


特集1
「The・おおいた」ブランド
の新たなチャレンジ
大分県は豊かな天然自然にはぐくまれた、新鮮な海・山の幸に恵まれています。
こうした産物の中には地域のみならず、全国の消費者に愛されているものも多くあります。
また近年、食の安全に対する関心の高まりから、安全・安心な食材への需要が高まっています。
県では、生産者、流通業者、関係団体などと連携して、確かな品質の大分産品を
「The・おおいた」ブランドとして全国に発信するため努力しています。
今回は、そうした生産者、事業者などの取り組みを紹介します。
都市住民、市場の大分へのイメージ
 県では、おおいたブランドの創出に向け、まず、消費者や市場が大分に対してどのようなイメージを持っているのか、都市圏と大分の消費者に意識調査を実施しました。その結果、「温泉」、「自然」などは魅力と捉えられているものの、「野菜、果物」などは、地元の意識に比べ、首都圏では、魅力として捉えられていないことが分かりました。
  また、市場関係者からは、首都圏の市場に定期的・安定的に供給できるだけの出荷量の確保、鮮度やコスト面での課題を払拭するための流通網の整備などが問題として指摘されました。県では、こうした調査結果などを参考にしながら、県域での生産・流通体制が構築でき、生産拡大も可能なコネギ、カボス、シイタケ、ヒラメなどを戦略品目として、全国に通用するブランド育成を目指しています。
戦略品目1 コネギの取り組み
 農産物の戦略品目であるコネギは、「大分味一ねぎ」「武蔵ねぎ」が、県北(中津市、宇佐市)や国東地域を中心に生産されています。コネギの生産状況や今後の展望などを伺うために、中津市の弦本正智さんを訪ねました。弦本さんは、2ヘクタール、ビニールハウス39棟を作付けするコネギ専業農家で、昨年11月、コネギの品質向上と活性化対策等のために設立された「大分小ねぎ連絡協議会」の会長を務めています。
  コネギを生産するようになったいきさつを伺うと「昭和54年からキュウリを栽培していましたが、加温用の重油の高騰が経営を圧迫したため、転換品目を検討しました。行政や農協とも話をするなかで、コネギとニラが残り、地域で取り組むには、将来的に関東方面での消費拡大が見込めるコネギだろうということで、昭和61年から生産を始めました」と弦本さん。栽培開始当初は、堆肥のやりすぎで葉先が枯れたり、平成3年の台風災害ではハウスの8割が倒壊するなど、大変な時期を乗り越えながら、徐々に面積を拡大していったと言います。「コネギは周年栽培ですが、夏場は虫による被害が起きやすく生産量も落ちるため、安定して市場に供給できるよう、夏場対策に力を入れたい」。今後の抱負について「最近は、安全・安心な野菜が求められていますので、減農薬を心がけるとともに、食育ツアーなどで消費者に生産現場を見てもらいたいですね。また『大分小ねぎ連絡協議会』としては、産地間相互で情報交換しながら、消費拡大を図り、農家の所得向上につなげていきたいです」と語ってくださいました。
 県では、市場での競争力を高めるためにも産地間連携を進め、大量供給を実現するための支援を行っていくこととしています。
ビニールハウスの写真 弦本親子の写真
弦本正智さんと後継者でもある息子の満輝さん
コネギの写真
戦略品目2 タチウオの取り組み

 豊かな海岸線と漁場を有する大分県は、魚介類の宝庫でもあります。特にタチウオは、国東、臼杵地域などを中心に、2、951トン(平成16年)が水揚げされ、全国2位の漁獲量を誇ります。
  その中で国東地域のタチウオは、「くにさき銀たち」として消費者の人気を集めています。国東地域のタチウオのブランド化について、小田義幸さんにお話を伺いました。小田さんは現在、県漁協経営管理部経営管理課で部長代理を務めていますが、昨年までくにさき支店に勤務し、国東のタチウオのブランド化に尽力しました。
  「タチウオは、以前から海にいましたが、漁師が捕るようになったのは、昭和56年頃からです。それまでは、ノリやタイラギ漁が盛んで見向きもされていませんでした。その後、徐々に捕られるようになりましたが、なかなか魚価が上がらず、漁師の所得向上につながっていませんでした。そこで漁協でなにか協力できることはないかと考え、仲買人を通さず、直接市場と取り引きする共同出荷を平成元年から始めました。当初は参加者が15人と少なく、仲買業者からの反発もありましたが、ことあるごとに共同出荷の有用性を説明することで、徐々に浸透していきました」と小田さん。その後、タチウオをブランド化したいと考え、県や町とも連携しながら平成4年に協議会を立ち上げ、ブランド化の検討を始めたと言います。一般公募でタチウオのネーミングやマークの募集を行い、「くにさき銀たち」と名称が決まりました。また、「どこで食べられるのか?」といった問い合わせに応えるため、平成16年に道の駅くにさき「銀たちの郷」をオープン。名物料理となった「太刀重」も、タチウオ料理の募集で応募のあった料理をアレンジしたものです。
  「大分のタチウオは網ではなく釣りものが多いので、新鮮で肉厚、身も締まっています。県下では国東、臼杵を中心に多くのタチウオが水揚げされています。県漁協は平成14年に県内一つにまとまりました。漁協の支店が魚を搬送するための車を保有していますが、そうしたものを有効に活用しながら効率的に共同出荷を進め、安定して市場に供給できるようにしたいと考えています。タチウオは、大分だけで捕れるわけではありません。他の産地と差別化を図るには、漁業者や関係者が魚の選別を徹底し、取り扱いを丁寧にするなど、消費者に信頼・安心して買っていただけるよう努力していくことだと思います。今後も県や漁業者などと連携しながら、大分のタチウオを売り込んでいきたいと思います」と語ってくださいました。県では、出荷体制、直売所の整備に対する補助など、関係者と連携してブランド化に向けた取り組みを進めていきます。

市場の様子
漁の様子タチウオの写真 小田さんの写真
小田義幸さん
首都圏の消費者にPR
 昨年度、東京銀座に大分県のフラッグショップ「坐来大分」がオープンしました。ここでは、レストラン部門で大分の食材を使用しているほか、農林水産物などの県産品の展示、販売なども行われています。県では、大分の農林水産物を首都圏にPRし、販路拡大につなげるため、「坐来大分」での商談会を開催しています。昨年9月の商談会では、JA全農おおいた、県漁協、丸果大同青果などの出店側が買い手側と商談を交わしました。この商談会に参加した(株)オーエスケーの杵築本社を訪ねました。同社は、大分県椎茸農業協同組合の子会社で、県産乾シイタケの販売を手がけています。総括部長の五味豊さんに首都圏での販売状況や乾シイタケの現況を伺いました。
  「『坐来大分』での商談会には、東京支店が参加しました。『坐来大分』では、乾シイタケなどの県産品が販売されていますが、それを見た東京築地の干し物問屋さんから取り引きしたいと話があり、新たな販路開拓につながりました」と五味さん。平成17年の大分産乾シイタケの生産量は全国一位の1、395トンで、国内生産量の34パーセントを占めています。平成15年に中国産シイタケを大分産と偽る「産地偽装表示」事件が起こり、大分県では、全国に先駆けて産地を認証するトレーサビリティシステムを今年度から導入しました。「最近、消費者の食の安全志向の高まりから、国産シイタケが見直されており、安ければ売れるという時代ではありません。これからは、いかに他の産地との差別化を図るかが大事です。幸い、大分産乾シイタケは、市場から高い評価を得ています。トレーサビリティシステムを徹底することでブランドイメージをさらに高め、消費者に安心して大分産乾シイタケを買っていただけるよう努力していきたいと思います」と語ってくださいました。
乾シイタケを選別している写真
乾シイタケを真剣かつ手早く選別

商談会の写真
商談会で「大分産」をアピール

しいたけの商品写真
五味さんの写真 五味豊さん
クチコミで大分産を消費拡大
 大分の農林水産物の消費拡大のためには、まず消費者に大分の産品をよく知っていただく必要があります。県では、消費者と生産者が双方向で交流し、情報交換することで消費拡大につなげようと、「農産物クチコミ縁結び支援事業」を行っています。クチコミは身近な人からの情報であるため信頼度が高く、購買決定力や説得力があります。このクチコミで県産品をPRしていただくため、女性を中心としたMio(メイド・イン・オオイタの略)クラブを結成し、全国から会員を募集しています。会員数は現在、700名を超えており、会員に大分の食材の素晴らしさを知っていただくため、生産者、会員同士の交流を目的としたコミュニケーション会などを定期的に開催しています。
 コミュニケーション会では、大豆や白ネギ、カボス生産農家との交流や大分産の食材を使用した料理教室の開催などを行ってきました。参加者からは、「生産者の話を初めて聞き、野菜づくりの大変さを実感した」「大分の食材を使用した伝統料理に、先人の知恵を見た」など多くの感想が寄せられているほか、生産者にとっても消費者の生の声を聞くことで、今後の生産活動に役立つと好評です。県では、これからもこうした生産者、消費者双方の情報交換の場を設け、クチコミでも大分産品を売り込みます。
おおいたブランドの確立に向けて
 「大分だけにしかない産物なんてないのだから、他の産地との差別化を図ろうと思ったら、生産者がとにかく産物の選別や取り扱いなど慎重、丁寧に行い、市場や消費者から大分のものなら間違いないと思われるよう、地道に努力する以外にない」という言葉が心に残りました。
 今回取材した以外にも、大分にはブランドとして誇れる多くの農林水産物があります。こうしたものを全国に発信し、消費していただくため、県では、生産者や流通業者、関係団体などと連携しながら、「The・おおいた」ブランドの確立に向け努力していきます。
Made in Oita Mio club
食べたい
知りたい
広めたい
おおいたの食
会員募集!
遊びながら、食べながら、おしゃべりしながら、
「おおいたの食」の情報や知識がいっぱいになる、
おもしろくてオイシイ会「Mio club」の会員を募集しています。
会費は無料で会員になれば、会員紙の発行や
生産者との交流を目的としたコミュニケーション会への参加
など特典が盛りだくさんです。
ホームページも開設していますのでご覧ください。
※イベント参加には実費負担あり
【申込方法】
下記ホームページからお申込みください。QRコード県農林水産部おおいたブランド推進課
〒870-8501 大分市大手町3-3-1
TEL 097-506-3627  FAX 097-506-1761
Eメール mioclub@pref.oita.lg.jp




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