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県や市町村が自主的に財源を確保し、住民に必要な行政サービスを自らの責任で効率的に行えるように、住民税と所得税の税率(下表参照)を変える形で国から地方へ3兆円の税源移譲が行われました。なお、住民税と所得税を合わせた納税者個人の税負担は基本的に変わりません。
(1)個人住民税
18年度分まで | 19年度分から | ||||||
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課税所得 | 税率 | 課税所得 | 税率 | ||||
200万円以下 | 5% | 一律 | 10%
| ||||
700万円以下 | 10% | ||||||
700万円超 | 13% |
(2)所得税
18年分まで | 19年分から | ||
---|---|---|---|
課税所得 | 税率 | 課税所得 | 税率 |
330万円以下 | 10% | 195万円以下 | 5% |
330万円以下 | 10% | ||
900万円以下 | 20% | 695万円以下 | 20% |
900万円以下 | 23% | ||
1,800万円以下 | 30% | 1,800万円以下 | 33% |
1,800万円超 | 37% | 1,800万円超 | 40% |
注 「課税所得」とは、例えば給与収入のみの場合、給与収入から給与所得控除や基礎控除、扶養控除、社会保険料控除といった諸控除を差し引いた残りの金額をいいます。この「課税所得」に税率をかけたものが「税額」になります。
例えば 住民税で課税所得が300万円の場合
18年度分まで・・・200万円×5%+(300-200)万円×10%=20万円
19年度分から・・・300万円×10%=30万円
となります。
定率減税は、平成11年度から景気対策として行われてきた暫定的な税負担の軽減措置ですが、経済状況の改善などを踏まえ廃止されました。
改正前 | 改正後 | |
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住民税 | 所得割額の7.5%相当額(2万円が上限) | 平成19年度分から廃止 |
所得税 | 所得税額の10%相当額(12万5千円が上限) | 平成19年分から廃止 |
次の例で上記1,2の影響額を計算すると
【例1】 |
---|
【改正前】
【単位;円】
住民税 | 所得税 | |||
---|---|---|---|---|
所得金額 | 給与収入 | 4,800,000 | 4,800,000 | |
[1]給与所得 | 3,300,000 | 3,300,000 | ||
所得控除金額 | 人的控除 | 基礎控除 | 330,000 | 380,000 |
配偶者控除 | 330,000 | 380,000 | ||
扶養控除 | 330,000 | 380,000 | ||
社会保険料控除 | 480,000 | 480,000 | ||
[2]計 | 1,470,000 | 1,620,000 | ||
税額の計算 | [3]課税標準額([1]-[2]) | 1,830,000 | 1,680,000 | |
所得割額 | [4]課税標準額×税率 | 91,500 | 168,000 | |
[5]定率減税額 | 6,900 | 16,800 | ||
[6]差引所得割額 | 84,600 | 151,200 | ||
[7]均等割額 | 4,500 | - | ||
合計([6]+[7]) | 89,100 | 151,200 | ||
負担額 | 240,300 |
【改正後】
住民税 | 所得税 | |||
---|---|---|---|---|
税額の計算 | [3]課税標準額([1]-[2]) | 1,830,000 | 1,680,000 | |
所得割額 | [4]課税標準額×税率 | 183,000 | 84,000 | |
[5]定率減税額 | 廃止 | 廃止 | ||
[6]人的控除差による調整額 | 7,500 | - | ||
[7]差引所得割額 | 175,500 | 84,000 | ||
[8]均等割額 | 4,500 | - | ||
合計([7]+[8]) | 180,000 | 84,000 | ||
負担額 | 264,000 |
負担増となります「264,000円-240,300円=23,700円」は定率減税廃止「6,900円+16,800円=23,700円」によるものです。
【例2】 |
---|
【改正前】
【単位;円】
住民税 | 所得税 | |||
---|---|---|---|---|
所得金額 | 年金収入 | 2,800,000 | 2,800,000 | |
[1]所得 | 1,600,000 | 1,600,000 | ||
所得控除金額 | 人的控除 | 基礎控除 | 330,000 | 380,000 |
配偶者控除 | 330,000 | 380,000 | ||
社会保険料控除 | 140,000 | 140,000 | ||
[2]計 | 800,000 | 900,000 | ||
税額の計算 | [3]課税標準額([1]-[2]) | 800,000 | 700,000 | |
所得割額 | [4]課税標準額×税率 | 40,000 | 70,000 | |
[5]定率減税額 | 3,000 | 7,000 | ||
[6]差引所得割額 | 37,000 | 63,000 | ||
[7]均等割額 | 4,500 | - | ||
合計([6]+[7]) | 41,500 | 63,000 | ||
負担額 | 104,500 |
【改正後】
住民税 | 所得税 | ||||
---|---|---|---|---|---|
税額の計算 | [3]課税標準額([1]-[2]) | 800,000 | 700,000 | ||
所得割額 | [4]課税標準額×税率 | 80,000 | 35,000 | ||
[5]定率減税額 | 廃止 | 廃止 | |||
[6]人的控除差による調整額 | 5,000 | - | |||
[7]差引所得割額 | 75,000 | 35,000 | |||
[8]均等割額 | 4,500 | - | |||
合計([7]+[8]) | 79,500 | 35,000 | |||
負担額 | 114,500 |
負担増となります「114,500円-104,500円=10,000円」は定率減税廃止「3,000円+7,000円=10,000円」によるものです。
注1 給与所得や公的年金等の所得金額は、収入金額に応じた控除額(所得税法で定められています)を控除した後の金額になります。
注2 人的控除差による調整額
所得税より個人住民税の方が基礎控除や扶養控除等の人的控除額が低く定められていることから、同じ所得金額でも、個人住民税の課税所得金額が大きくなります。
したがって、例えば住民税の税率が5%から10%に引き上げられた場合、所得税の税率を引き下げただけでは税負担が増えることになります。
そこで、この人的控除額の差による負担増(人的控除差の一覧表 [PDFファイル/87KB])を調整するため、次の算式による金額を住民税所得割額から控除するものです。
[1]合計課税所得金額が200万円以下の場合
ア、イのいずれか小さい額の5%
ア 人的控除額の差の合計額
イ 合計課税所得金額
[2]合計課税所得金額が200万円超の場合
{人的控除額の差の合計額-(合計課税所得金額-200万円)}×5%
※この金額が2,500円未満の場合は2,500円となります。
※「合計課税所得金額」は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額から基礎控除などの所得控除の額を控除した後の金額です。
注3 所得の種類や住民税と所得税の課税・納税方法の違いなどによって、税率改正などの影響の出る時期が異なります。
住民税 | 所得税 | |||
変わる | 納税方法 | 変わる | 納税方法 | |
給与所得者 | 19年 | 6月から翌年5月までの給与から12分割した税額が天引き(特別徴収)されます。 | 19年 | 1月から12月までの給与から天引き(源泉徴収)され、年末調整で精算されます。 |
年金受給者 | 6、8、10、1月に4分割(市町村により異なる場合があります)した税額を納付書により納めます(普通徴収) | 19年 | 偶数月に支給される年金から天引き(源泉徴収)され、確定申告により精算されます。 | |
個人事業者 | 20年 | 確定申告により納付します(予定納税の制度があります)。 |
注4 平成19年度の実際の負担額は、収入額の増減など別の要因で変動することにご留意ください。
税源移譲に伴い、所得税が減額となった結果、本来受けられるべき住宅ローン控除可能額が所得税より大きくなり、所得税から控除しきれなくなる場合があります。この場合、税源移譲の前後で税負担が変わることがないように、翌年度の個人住民税からその減少額を控除することができます。
(1)対象者
平成11年から平成18年末までに入居した方で、所得税の住宅ローン控除を受けている方。
(2)控除額の計算方法
(ア・イのいずれか少ない金額) - 税源移譲後の税率で算出した前年分の所得税額
ア:前年分の所得税の住宅ローン控除可能額
イ:税源移譲前の税率で算出した前年分の所得税額
※従来市町村への申告が必要でしたが、平成22年度分以降の個人住民税から市町村に対する申告は原則不要となりました。ただし、確定申告や年末調整により、所得税の住宅ローン控除を受けるための手続きは必要です。
平成18年中に所得があり所得税が課税されていたが、平成19年中の所得が減少し、所得税がかからなくなってしまった場合、税源移譲による住民税の税率引上げに伴う税負担増加の影響のみを受けることとなります。そこで、このような方を対象として、市町村への申告により、平成19年度分の住民税を、税源移譲前の税率を適用した税額まで減額する経過措置が設けられています。
(1)対象者
基本的に、平成18年分の所得税が課税され、平成19年分の所得税がかからない方が対象となりますが、寄付金控除額などの人的控除以外の控除額が増加したり、住宅ローン控除などによって所得税がかからなくなった方等は、この経過措置は適用されません。
具体的には、次のアとイの両方の条件を満たす方が対象となります。
ア: 平成19年度住民税の課税所得金額 > 所得税との人的控除額の差 [PDFファイル/87KB]の合計額
(申告分離課税分を除く)
イ: 平成20年度住民税の課税所得金額 ≦ 所得税との人的控除額の差 [PDFファイル/87KB]の合計額
(2)計算方法
平成19年度の合計課税所得金額について、税源移譲後の税率を適用し、調整控除を行った後の税額から、税源移譲前の税率を適用した税額を差し引いた額を減額します。
既に納税済みの場合は、還付します。
(3)申告
対象者は、平成20年7月1日から平成20年7月31日までの間に、平成19年1月1日現在お住まいの市町村へ申告することにより、経過措置が適用されます。
※こちらもご覧ください。
総務省・全国地方税務協議会リーフレット [PDFファイル/1.35MB]
総務省ホームページ
少子・高齢化が進展するなかで、世代間や高齢者間の公平を図るため、高齢者の方にも低所得者に対する配慮を行いつつ、所得に応じた負担をお願いしていますが、上記の内容は平成18年度から実施されている次の(1)~(3)の内容に加えて実施されることになりますので、ご理解をお願いします。
(1)老年者控除(48万円)の廃止(16年度税制改正によるもの)
65歳以上の方で前年の合計所得金額が1,000万円以下の方は、合計所得金額から48万円を控除することとされていましたが、平成18年度分からこの控除が廃止されました。
(2)公的年金等控除額の見直し(国税の16年度税制改正によるもの)
65歳以上の方の公的年金等の所得金額が、次の計算式により算出しますが、この計算式の「公的年金等控除額」が改正になりました。
公的年金等の所得金額=公的年金等の収入金額-公的年金等控除額
17年度分まで | 18年度分から | ||
---|---|---|---|
公的年金等の収入金額の合計額(a) | 公的年金等控除額 | 公的年金等の収入金額の合計額(a) | 公的年金等控除額 |
(超) (以下) ~260万円 | 140万円 | (超) (以下) ~330万円 | 120万円 |
260万円~460万円 | (a)×0.25+75万円 | 330万円~410万円 | (a)×0.25+37.5万円 |
460万円~820万円 | (a)×0.15+121万円 | 410万円~770万円 | (a)×0.15+78.5万円 |
820万円~ | (a)×0.05+203万円 | 770万円~ | (a)×0.05+155.5万円 |
※公的年金等収入が250万円で変わらない場合であっても、この控除額の見直しで17年度は「250万円-140万円=110万円」が、18年度は「250万円-120万円=130万円」となり課税される所得が20万円多くなります。
(3)老年者非課税措置の廃止(17年度税制改正)
65歳以上の方で前年の合計所得金額125万円以下(年金収入245万円以下)の場合は、平成17年度分までは住民税が非課税となっていましたが、平成18年度分から課税されることになりました(一定の要件(平成17年1月1日現在65歳以上の方(昭和15年1月2日以前に生まれた方)で前年の合計所得金額が125万円以下(年金収入245万円以下))を満たす方は、経過措置として18年度に3分の1課税、19年度は3分の2課税、20年度からは全額課税となります)。
なお、次の方は引き続き非課税となります。
非課税の範囲 | 1人世帯 | 夫婦2人世帯 |
---|---|---|
所得割・均等割 | 年金収入額151.5万円以下 | 年金収入額201.9万円以下 |
所得割のみ | 〃 155万円以下 | 〃 222万円以下 |
※この金額は生活保護法2級地を例にしています。
○税源移譲に関するパンフレットなど
(1)所得税・住民税が変わります [動画/169B]
(2)総務省・全国地方税務協議会(18年4月作成分) [PDFファイル/1.28MB]
(3)総務省・全国地方税務協議会(18年10月作成分) [PDFファイル/793KB]
(4)総務省・全国地方税務協議会(19年10月作成分)1 [PDFファイル/1.19MB]
(5)総務省・全国地方税務協議会(19年10月作成分)2 [PDFファイル/1.35MB]
お問い合わせは、もよりの県税事務所又は税務課課税班(Tel097-506-2384)へお願いします。