本文
【HTML版】
特集1/住み慣れた地域で元気に暮らす
特集2/姫島村~伝統を守りながら地域に新たな風を呼ぶ~
風紋/真逆の地で考えたこと
県民ひろば1/大学生のUIJターン就職を応援します!
県民ひろば2/県職員の仕事紹介!~総合土木職編~
おおいたゆかりの図書/心ひらいて/おおいたの食彩
【PDF版】新時代おおいたNo.117 [PDFファイル/8.2MB]
【電子書籍版】おおいたイーブックスのページへ(外部サイトへリンク)
皆さんは、どのような地域で暮らしたいと考えていますか?
一人ひとりが元気で暮らすことはもちろん、暮らし方や必要な支援を自ら選択することができる社会、「どうしましたか?」とお互いが声を掛け合えるような「助け合い」「支え合い」の社会ができると、安心して暮らせると思いませんか。
大分県では、人口減少が進む中、地域において一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯が増えてきています。
県では、団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、認知症の方も含め、高齢者が生きがいを持って、健康で、安心して暮らせる地域づくり「地域包括ケアシステム」の推進に取り組んでいます。
高齢になっても、できる限り住み慣れた地域で安心して暮らすために、今、必要とされているのが「医療・介護・予防・住まい・生活支援」が連携して、地域での生活を支える体制「地域包括ケアシステム」です。
県内では、様々な取組が進んでいます。今回は、国東市の事例を紹介します。
気軽に通う元気づくり
*住み慣れた地域で暮らし続けるには、運動する習慣を生活に取り入れる事が大切です。
県内各地で、「通いの場(サロンなど)」が住民主体で運営されています。
週に一度、筋力アップを伴う体操(県作成のめじろん元気アップ体操)をすることで心身の機能低下を防ぐだけでなく、地域の方々が集まり交流することで、お互いの見守りの関係が生まれています。
【予防:古市週一元気アップ教室】
「平成26年にスタートし、住民同士が声を掛け合い、今でも毎週25名ほど参加して30分程度しっかりと体操しています。年に2回の体力測定があり、成果が出ると嬉しいです。中には体力が落ち一度はあきらめていた『歩こう会』に、再び参加できるようになった方もいます。
最初は体操だけの取組でしたが、せっかく集まったからと、ちょっとお茶を飲みながらおしゃべり。その後もボウリングや卓球をみんなで楽しんでいます。」
古市区の週一代表 高根範子さん(右) めじろん元気アップ体操。県HPで公開中。
老人クラブ会長 小笠原正人さん(中)
老人クラブ副会長 中嶋義美さん(左)
身近に集う場所づくり
*「介護」「医療」「予防」といったサービスと併せて、地域住民による助け合いのシステムも大切です。
国東市では、地域の皆さんと市社会福祉協議会のコーディネーターである地域支え合い推進員が協力して公民館等の身近な場所に居場所(カフェ)づくりを行っています。定期的に集まり、自分たちで助け合い、支え合う仕組を考え、困り事を解決し、住みやすい地域づくりに取り組んでいます。
【支援:サポートセンター「あらたにカフェ」】
「居場所づくりのきっかけは、幼稚園や小学校の統廃合だったと思います。登下校もスクールバスに変わり、子どもの姿を見かけなくなりました。運動会などの行事が減り、住民が集う機会が減る中、これから地域がどうなるのか不安になりました。
平成28年にカフェを創り、住民同士がつながる場所ができたことで、地域で暮らす楽しみができました。このつながりを絶やさないようにすることが大事だと考えています。」
会長 野田敏廣さん(左) みんなが集うことでつながりを実感。
地域支え合い推進員 金澤里美さん(右)
【支援:竹田津くらしのサポートセンター「かもめ」】
「今後の地域での生活に、漠然とした不安を感じている中、地域の皆さんの『集まれる場所がほしい』という声により、一昨年、拠点となるカフェづくりから始めました。
地域には、まだ活躍できる人も多く、カフェでは、音楽や手芸など自分の得意なことを活かしたレクリエーション活動も行っています。買い物や食事など地域のみんなが足りない、困っていると感じていることを補いながら、いつまでも暮らしやすい地域であるよう話し合いを重ね、少しずつ活動を拡大していこうと考えています。」
会長 坂口弘道さん(左)
地域支え合い推進員 松本博晃さん(右)
カフェと出張販売。まずは身近な困り事から解決。
医療や介護が必要になったとしても
*医療や介護が必要になった場合でも、住み慣れた日常生活圏域の中で、さまざまなサービスや支援が提供されることを目指しています。
医療・介護連携では、医師や看護師、介護職員など医療や介護に関わる多職種が連携し、協働することで住み慣れた地域で最後まで暮らせる社会の実現を目指しています。
国東市では、くにさき地域包括ケア推進会議(通称ホットネット)という地域全体で支え合う仕組みづくりに取り組んでいます。
【医療:国東市民病院】
「平成22年に『ホットネット』を立ち上げ、当初は、国東市民病院が事務局となり多職種が連携。平成25年には初版の『くにさき地域連携マニュアル』を作成しました。
『誰もが対等で平等でなければならない』という考えの下、医療・介護の垣根を越え、意見を出し合い、情報を共有することで、切れ目なくサービスを受けられる体制を作っています。
平成26年からは、行政も参画し地域包括ケアシステムの構築を始めました。
生まれ育った地域で、最後まで生活できるようサポートしていくためには、生活を支える視点での医療・介護と地域住民が参加し連携する助け合いの仕組みづくりが必要だと考えています。」
(右から) 医師も参加する多職種研修会
国東市民病院 副院長・看護部長 平本典子さん
ホットネット会長(ウェルハウスしらさぎ) 小田剛正さん
国東市民病院 院長 籾井眞二さん
国東市役所 高齢者支援課長 小川浩美さん
平成30年4月、高齢者の自立支援と要介護状態の重度化防止、地域共生社会の実現を図ること等を柱とする「地域包括ケアシステム強化法」が施行されます。
地域共生社会とは、「子ども・高齢者・障がい者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる社会」です。
県でも、社会における人と人とのつながりを再構築することで、困難を持つ方々を地域で支えるための仕組みづくりに取り組んでいきます。
「地域の良さを残し、次世代につながる仕組みをつくる」
姫島村役場 住民福祉課 須賀結さん(前列左)のお話
姫島村では、特に意識することなく「見守り」「助け合い」といった住民同士のつながりが残っています。ボランティアという意識がなくてもお互いが”手を貸す”ことが、生活の中で自然に行われています。
ただ、人口が減って高齢化が進み、生活が変化する中で、自然な”つながり”や”歩く生活”が減少し、高齢者の孤立や体力の低下を招くといった事への不安がありました。
そこで、生活の中で運動習慣を残し、地域のつながりを守る事を考え、今年度介護予防サポーター10 名を育成し、体操に特化した通いの場を作っています。今後は各地区にも取組を広げ、高齢者の元気や、村全体の活性化につなげていきたいと考えています。