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新時代おおいたNo.92

印刷ページの表示 ページ番号:0000283837 更新日:2014年2月17日更新

  新時代おおいた1月・2月号トップ画像

特集1    新春対談 日本一のおんせん県おおいた~知られざる極上の魅力~
特集2    農業を支える新たな担い手~地域農家と共に伸びゆく企業の農業参入を応援します~
風紋     芸術文化の地域づくり
トピックス   110番を正しく使おう
県民ひろば まいにち、こまめに、手洗い大作戦!
お薦め図書コーナー 心ひらいて  とよの国の食彩   

 特集1  新春対談 日本一のおんせん県おおいた~知られざる極上の魅力~

集合写真

【対談者】
由布院玉の湯社長 桑野 和泉さん
温泉博士 斉藤 雅樹さん
大分県知事 広瀬 勝貞

知事  桑野和泉さん  斉藤雅樹さん    

広瀬 明けましておめでとうございます。

 今日は「日本一のおんせん県おおいた~知られざる極上の魅力~」と題して、温泉の知られざる魅力と大分のおもてなしについて、その道の達人お二人をお招きしてお話を伺います。由布院玉の湯社長桑野和泉さんと、自他ともに認める温泉博士斉藤雅樹さんです。

 桑野さんはあこがれの旅館として知られる玉の湯の社長で、そのブランドを「おもてなし」の心で守り続けられています。斉藤さんは「別府八湯温泉道」を考案するなど、温泉を生かした活動を続けられています。

日本一のおんせん県おおいた 

広瀬

 昨年は紆余曲折ありましたが、「おんせん県おおいた」で商標登録ができました。今年は、この「おんせん県おおいた」で、大分を売り込んでいきたいと思っています。

 私たちは普通に「日本一のおんせん県」と言っていますが、実はこれにはちゃんと深い訳があります。大分県は源泉数、湧出量いずれも全国で第一位です。そこで「おんせん県おおいた」を県内外にPRしようと活動を始めました。県の商標登録申請は、他の都道府県の驚きや戸惑いを招きましたが、同時に「おんせん県おおいた」の名を全国に発信することができました。

 併せて、おんせん県のCMをつくりました。タレントを一切起用せず、県民80人以上が参加して作り上げたもので、ユーモラスなCMは大阪や福岡で放送されると話題になり、CMを紹介する動画サイトのアクセス数はわずか1週間で20万回を超えました。お二人はCMをご覧になっていがでしたか。

桑野 

 県民総参加といった感じで、地元の皆さんもたくさん登場していますので、やはり楽しくなってわくわくしました。何かついにっこりしてしまいますね。

斉藤 

 いままでは、随分遠慮がちに温泉を宣伝していましたので、「日本一」と、やっと本当のことを言ってくれたなと思いました。

知られざる温泉の魅力

観海寺温泉 いちのいで会館 塚野鉱泉 山香温泉 風の郷

 

広瀬 

 斉藤さんによると、大分の温泉の魅力は随分奥深いということですが、今日は、県民の皆さんがご存知ないような、知られざる温泉の魅力についてお聞かせください。

斉藤                                  

 大分には「五感で味わう温泉」があります。

 まず目で楽しめる温泉は、別府市にある、いちのいで会館の青色の温泉です。なぜこのような美しい透明感ある青色になるかというと、メタケイ酸という成分が多いからなんです。また、この温泉は目で楽しむだけではありません。この青色の元になるメタケイ酸は非常にまろやかな保湿成分で、つるつるした感覚があり、乾くとすべすべとなる非常に気持ちがよい温泉です。

 口で味わう温泉というのは、大分市にある塚野鉱泉です。温泉の中でも冷たい状態で湧いてるものを、鉱泉とよんでいます。ここは1分当たり、4.7リットル湧き出していて、水温はおよそ16度。味は、強い塩味と鉄分の味、それから炭酸の泡、この3つが非常に特徴的です。「良薬口に苦し」といいますが、一口飲んだら二度と忘れられないような個性的な味です。

 鼻で味わう温泉というのは、杵築市にある山香温泉風の郷です。非常に変わった香りがして、人によっては乾しいたけのようだとか、ギンナンの実のような香りといわれています。発酵食品のように、1回嗅ぐとやみつきになる面白い香りのする温泉です。

 それから耳です。九重町にある筋湯温泉にはうたせ湯があり、3mの高さから18本のお湯が滝のように落ちてきます。それが、ちょうど座る板に、だだーっと当たって、ものすごい大音響です。入り口のドアを開けるのをためらうくらいの賑やかな温泉です。

広瀬 

 それはすごいですね。

斉藤

 肌で味わう温泉というのは竹田市にある七里田温泉です。ここは、炭酸の泡がすごくて、全身が白い炭酸の泡にまみれます。非常に気持ちよく、まさにビロードを触っているような、全身が包まれる感じです。

 それと、日田市にある天ヶ瀬温泉にはみるき〜すぱサンビレッジという温泉があります。非常につるつるするお湯で、まるで自分がウナギになったような感じです。

筋湯温泉 うたせ湯 天ケ瀬温泉 みるき~すぱサンビレッジ 七里田温泉

広瀬

 県内各地域にいろいろな温泉が出て、しかもいろいろな味わい方ができるということこそが、「おんせん県おおいた」の底力かもしれませんね。桑野さんはいかがでしたか。

桑野

 私は由布院で生まれ育ちましたが、「五感で味わう温泉」をうかがって、改めて、温泉の魅力はたくさんあるなと思いました。地元でも知らない方が多いのではないでしょうか。

広瀬

 昨年の暮れ、モンゴルのエネルギー大臣が、地熱の視察で大分県に来た際に、温泉に入ったおかげで、ぐっすり眠れて一晩で疲れがとれたとおっしゃっていました。また、肌がつるつるきれいになったそうで、「大分の温泉はすごい」と言って帰られました。

 また近頃は、健康志向が高まっていることもあり、温泉は健康や美容にどんな効果があるのかとよく聞かれますが、いかがでしょうか。

斉藤

 私が最近おすすめしている入浴方法は機能温泉浴です。これは二つの違う種類の温泉に順番に入ることで、思わぬ効果が得られるというものです。

広瀬

 例えばどんな効果ですか。

斉藤   

 女性におすすめなのが、美肌効果が得られるコースです。まず別府の明礬温泉に入り、皮膚の汚れを落とした後、鉄輪温泉に入ると、日本一保湿成分が多い温泉で、しっとり保湿されます。まさに、温泉でお肌にシャンプーとリンスをするような感じの組み合わせですね。

広瀬

 なるほど、面白いですね。これもぜひ売り込んでいきたいですね。桑野さんはいかがですか。

桑野

 斉藤さんのお話を伺いながら、温泉の新たな観光コンテンツが、まだまだありそうだなと思いました。もっと本質的なことを、ちゃんと宣伝しなくては、と改めて思いました

極上のおもてなし

広瀬

 おんせん県の魅力は、温泉のほかに「おもてなし」がありますよね。この「おもてなし」について桑野さんにお伺いします。

桑野

 玉の湯の「おもてなし」は、お客様を迎える準備が大部分を占めます。いらっしゃる前の段階でもう、8割9割決まるわけです。お料理のメニューも、いらっしゃる方に季節の物を召し上がっていただきたい、そんなことを思いながら、みんなで考えています。相手を思うこと、思い描いていることを含めて、おもてなしではないかと思います。

 また、この町に住む住人の思いもおもてなしには欠かせません。相手に対して、何かして差し上げたい、という気持ちが大切だと思います。

広瀬

 いろいろと心づかいをなさっているのですね。感激しました。由布院で、もう一つ感激するのは「食」ですね。美味しい料理を提供することも大切なおもてなしだと思いますが、いかがですか。

桑野

 温泉に入っていただくほかに宿泊施設として何ができるのか、それはやはり、その温泉地らしい「食」を提供することだと思います。その土地の季節の物を丁寧に料理して、お客様にお出しするということが大事です。おのずからお料理は地産地消を中心に作っています。

 由布院には十数年前から料理人たちがつくる、「ゆふいん料理研究会」があります。また、若い人たちも生産者の方と一緒に由布院の料理を勉強しています。温泉に入った後、由布院のどこで食事をしても美味しかったとお客様に言っていただけるようになればと思っています。

広瀬

 もう一つ、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星」が大変に好評ですが、このななつ星の売りはお客様に対する「おもてなし」ということです。この「おもてなし」は、由布院で勉強したという評判ですけれども、桑野さんいかがですか。

 ななつ星 クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」

桑野

 ありがたいことに、「ななつ星」のクルーの皆さんが、1カ月近く、由布院の旅館で研修してくださいました。温泉地の小さな宿泊施設だからこそ、日本らしい和のおもてなしがあるのでは、ということでいらっしゃったのです。和のおもてなしで、一人一人に向かい合うということを、ぜひななつ星にとりいれたいということをおっしゃっていました。

広瀬

 一人一人のお客様に向かい合うというのは大事なことだけど、それぞれ個性があって大変ですよね。

桑野

 県内の宿泊施設はこぢんまりしたところも多いですから、比較的お客様に向かい合えます。また、ななつ星のクルーが宿泊施設だけでなく、地域を学びたいとおっしゃってました。地域のことを学ぶには、地域の人と触れ合うことですので、私たちだけでなく、地域全体でお客様をお迎えできることにつながると思います。

広瀬

 「ななつ星」のレトロ風のたたずまいと、由布院の落ち着いた田園風景がよく似合います。

桑野

 うれしいです。「ななつ星」が走ると、沿線の人が手を振るんです。これは九州ならではと聞いています。皆さんと一緒に私どもも手を振りお迎えしたいと思っています。

おんせん県おおいたのさらなる飛躍を目指して

 

広瀬

 今日は大変楽しい、また新年にふさわしい元気の出るお話しをたくさん伺いました。最後に、お二人から県民の皆さんへ新年のメッセージをお願いします。

桑野

 「おんせん県おおいた」の魅力、中でも今日は「五感で味わう温泉」について学びましたので、そのことを地域の皆さんと共に、大分にいらっしゃる多くの方々にしっかりお伝えしていきたいです。

 同時に、県立美術館の開館が平成27年の春ですので、五感で感じる美術館と両方を宣伝していきたいと思っています。

斉藤

 「おんせん県おおいた」のPRで、大分県の温泉というのは、かつてないほど注目が集まっていると感じます。我々は素晴らしい温泉の魅力を伝える立場にありますので、非常に責任を感じています。様々な機会を通じて、温泉の魅力を一人でも多くの方にお伝えしていきたいと思っています。 

広瀬

 今日はお二人の話を聞いて、観光というのは、地域の人みんなで盛り上げていく必要がある、いわば総合産業のようだと思いました。道行く方々のにこやかな応対や、タクシーの運転手さんの挨拶、旅館の皆さん方の接客も大切です。皆さんに「大分に来て良かったな」と思ってもらえるよう、観光を盛り上げていきたいと思います。

 今日はありがとうございました。

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