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最先端技術で、暮らしの豊かさを支える
大分キヤノンマテリアル株式会社は、杵築市に本社を置くキヤノン株式会社100%出資の子会社です。創立は1998年、杵築市及び大分市に事業所を有するキヤノン・グループの生産工場となります。キヤノンの先端テクノロジーを集結した工場では、高画質プリントに欠かせないレーザービームプリンターの「トナーカートリッジ」や、インクジェットプリンターの「インクカートリッジ」、複合機の「トナーボトル」等の製造を行っています。
創立以来、ワークライフバランスの確立や女性活躍推進に力を入れ、健康経営を実践する企業として「健康経営優良法人 2022ホワイト 500認定」、子育てサポート企業の証として 「プラチナくるみん認定」を取得しています。すべての社員が働きやすい環境づくりに取り組む同社から、大分事業所で働く5名の女性のお話をうかがいました。
「男性の育休取得も増えて、女性もより気兼ねなく休めるようになりました」と教えてくれたのは、大分人事課でダイバーシティの推進を主に担当する元村真美さん。男性育休の取得推進や、障がい者の就業支援を行なっています。従業員の平均年齢は37歳とまだ若い会社ですが、将来の介護休暇も見据えて、男女問わず休暇の取りやすい環境づくりに取り組んでいます。入社動機は「『キヤノン』という企業ブランドに惹かれて」という理由でしたが、福利厚生が充実しており働きやすい環境に満足しているそうです。「子育てのため時短勤務をしているので、周囲に負担をかけていると思います。でも和気あいあいとした職場の雰囲気に、伸び伸びと仕事を楽しませてもらっています。」
ものづくりが好きだったという渡辺千佳さん。カートリッジ製造第二課で伝票処理や資産の管理をしています。地元で福利厚生が充実、長く安心して働けるというのが入社の決め手でした。「育児支援制度を利用させてもらっていますが、年々制度が改善されています。」
子どもが満3歳になるまで取得できる育休や、小学3年生まで、1日2時間を限度に勤務時間を短縮できる時短勤務もうれしい制度ですが、渡辺さんが特に助かっているのが「時間単位休暇」です。30分単位で取得できる休暇制度で、PTAの朝の旗振り当番などに対応するために短時間の休暇が欲しいという、現場の声によって制度化されました。
中島絵里香さんはカートリッジ製造第三課で、製品の不良を確認する品質業務を行っています。県外出身ですが、先に入社した先輩の会社に対する評価が高いことや、若い会社で同年代が多く活躍していることを知り、大分で就職しました。入社後は、女性同士のつながりが強く助け合えることや、男性社員のサポートもあり、安心して働けているそうです。また「フェムケア」という女性の心身の特性に特化したヘルスケアに力を入れていることも、安心して働ける理由の一つになっています。「女性は妊娠や出産を機に体質が変化し、ホルモンバランスの変化で体調を壊しやすく、精神的にも不安定になりがちです。レンタルブースに生理用品や替えの作業服が用意されていると認識しているだけで、心の負担が軽減されます。」
河野麻美さんは生産管理第二課の課長代理として、完成した製品の出荷・部品納入や工場内での部品の移動など、物流の管理を担当しています。大分事業所が稼働する以前の入社で、創業当時からの社員になります。
地元に長く貢献したいと考え、結婚・出産など将来のライフイベントに備えた福利厚生が充実した会社という理由で就職先を選んだそうです。「現在は育休から復職した社員を対象としたセミナーがあります。復職経験者によるロールモデル講話で、仕事との両立など事例を知ることができ、より復職後のキャリア形成、一日のタイムスケジュールなどがイメージしやすくなりました。」と、さらに働きやすくなった環境を教えてくれました。自分の子どもの就職先としても、自信を持ってすすめられると太鼓判を押しています。
最後に、大分人事課長の倉橋雅美さんから、女性活躍の現状についてお聞きしました。「ものづくりの会社ゆえに、採用は工業高校や理系の大学が中心となります。対象となる学生に女性が少ないため、女性社員の割合は15%と多くありません。また生産ラインは交替勤務のため、育児をしながら昇進するにはハードルが高いです。管理職の女性割合は5%程度と低く、女性のロールモデルが少ないため、昇進への不安もあります」と、課題を教えてくれました。それでも地域の企業と連携し、女性中堅社員を集めてそれぞれの会社の制度を学びながら、より働きやすい環境を考える勉強会を開くなど、女性活躍を推し進めています。
グループ全体でワークライフバランスの確立に力を入れており、特に男性育休の推進はトップダウンで指示が下るほど積極的。会社全体で、育休対象者の33%が取得するなど、製造業としては高い数字を残しています。社員間で子育ての話題が増えるなど、ポジティブな変化を感じることも多いそうです。
「グループ全体で足並みを揃えて変革していかなければならないので、もどかしく感じる時はあります。」と倉橋さん。しかし、「働きやすさ」に加え「働きがい」にも着目した働き方改革は着実に進んでおり、地域の企業のお手本となっています。
企業名 | 大分キヤノンマテリアル株式会社 |
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事業内容 | 複写機やプリンターに使用されるトナーカートリッジ、インクジェットカートリッジ、トナーボトルの製造など |
設立 | 1998年 |
所在地 | 〒870-0318 大分県大分市丹生993-1 |
TEL | 097-503-7111 |
URL | https://mtrl.canon/ja/ |
※ 2023年2月末現在