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知事からのメッセージ 風紋 -日本ジオパーク

印刷ページの表示 ページ番号:0000283217 更新日:2013年11月26日更新

日本ジオパーク

大分県知事 広瀬勝貞

  

 姫島村と豊後大野市が日本ジオパークに選ばれました。重要な地質遺産を持つ地域を認定して世に明らかにし、研究を促したり、教育に役立てたり、他所から見に来てもらって観光にも活かそうというものです。この認定には、地元の取組の具合がどうかが大事な前提になりますが、その道の権威を前に熱いプレゼンをした村長さん、市長さん、現地審査で見事なガイドをした地元の皆さんに敬意を表したいと思います。

  肝心の「重要な地質遺産」ですが、姫島は約20万年前からの度重なる火山の噴火でできた島だそうで、7つの火口跡が確認されています。そのことだけでも珍しいのですが、火山活動のたびに隆起をくり返し、「褶曲」と言われる波打つような地層を見ることができます。皆さんご存知の姫島の七不思議と言われるいろいろな伝説も実は火山活動が大きく関係しているものです。

 溶岩からできた乳白色の黒曜石もこの島の「特産」で、古代、矢尻や槍先につけるため、西日本一円から買い出しに来ていたようです。姫島には長距離を移動する大型の渡りチョウ「アサギマダラ」の休息地もあり、こちらの方は、現代、多くの愛好家が見物にやって来ます。

 豊後大野の方は、約9万年前の阿蘇の噴火に伴う火砕流によってつくられたものです。火砕流がこの地を覆い尽くし、一部が鉛筆を束ねて立てたような割れ目を刻んで、高いところでは80mにも及ぶ絶壁(柱状節理)になっています。川の流れがこの割れ目に沿って岩を剥がすように削り出し、例の原尻の滝など、いくつもの滝を造っています。

 豊後大野は、アーチ式の石橋が日本一多いところですが、これも至るところに火砕流が生み出した加工しやすい良質の石があったからだと思います。

 重要な地質遺産といえば、津久見市には約2億年前に太平洋の海底にできた地層がせり上がってきたものがあります。その中には「チャート」と呼ばれ、海のプランクトンなどが堆積してできた、いわば「地層の標本」ともいえるものもあり、これも語れば長い大変重要なものだそうです。

 折角こうして日本ジオパークの認定を受けたのですから、それぞれの見所には、分かりやすい説明板をつくったり、ガイドさんをさらに育てたり、皆さんに楽しみながら勉強していただく環境をつくりたいですね。そして地元の皆さんも大いに親しんで、自慢していただきたいと思います。それが何よりのPRになります。

 県政だより新時代おおいたvol.91 2013年11月発行