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特集1 男女が共にいきいき働く社会へ向けて
特集2 地域が支える!子どもたちの豊かな学び
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男女がお互いに人権を尊重しつつ責任も分かち合い、個性と能力を発揮することのできる社会を実現するため、県では、男女共同参画を積極的に推進しています。
そのため、(1)意識改革 (2)男女の平等と人権の尊重 (3)積極的な環境整備を基本目標に、さまざまな取り組みを進めています。
今回は、働く環境、特に女性の希望の実現や男性の育児参加、女性の活躍に焦点を当てて、現状と課題に触れながらモデルケースをご紹介します。
◆働き続けたい!女性の希望
ライフステージに応じた柔軟な働き方ができることは、全ての人にとって暮らしやすい社会をつくることにつながります。しかし、さまざまな理由で出産後の継続就業が依然として困難な現状がある一方(※1)、県内では、仕事をしていない育児中の女性の6割以上が就業を希望していると言われています。
◆男性の育児参加を促す必要
男女がともに輝く社会を実現するには、男性の主体的な関わりも欠かせません。しかし、男性の家事・育児への参加割合が低く(夫婦の育児分担割合は、夫20・2%、妻79・8%(H25国立社会保障・人口問題研究所調査))、育児休業を取りたいと思っていても、仕事上の人に迷惑がかかる、男性が取ることに社会全体の認識が十分にないなどの理由から取得が難しいのが実情です(※2)。男性の約3割は両立支援制度を利用する意向があるものの、実際の利用者数は低迷しています(育児休業取得率男性2・5%、女性84・7%(H25大分県調査))。さらに、そうした育児参加を支援する制度がない事業所も約35%(H25大分県調査)と少なくありません。
◆女性の活躍は社会の元気
女性が管理職として力を発揮することは、職場に多様な価値観や新しい視点、創意工夫が生まれます。しかし、県内の管理的職業従事者に占める女性の割合は15・4%(2012年総務省就業構造基本調査、全国平均は13・4%)ですが、国際比較では低い状況です。こうした現状を踏まえ、国は指導的地位にある女性の割合を2020年までに30%にすることを目標に掲げています。
≪柔軟な休暇制度や勤務形態を実現している例≫
社会福祉法人安岐の郷 (国東市)介護老人福祉施設
【柔軟性のある勤務形態】 【職員のライフスタイルに応じた休暇制度】
その他、男性の育児参加の促進(「育メンがんばろう会」をつくり、該当職員を集めた意見交換)、365日開設の事業所内託児所の設置や、能力に応じた女性役職・管理職の積極的登用(課長相当職に占める割合63.6%)にも取り組んでいます。
【柔軟性のある勤務形態】
正規職員からパートタイムへの勤務形態の変更、勤務時間も本人の希望により選択可能。将来希望すれば再び正規職員への登用も可能になるなど。
デイサービス 田中奈穂子さん(三人の子育て中)
「育休復帰を機に正規職員から短時間勤務のパートに変更しました。介護の仕事が好きなので、勤務形態が変わっても働き続けられることが喜びです。また、施設内に託児所があり子どもを安心して任せられます。勤務形態が変わっても、仕事に対する思いは変わりませんし、安心して働ける分、仕事にも集中でき、より積極的に取り組めるようになりました」
【職員のライフスタイルに応じた休暇制度】
男性の育児参加を促すための特別休暇、子どもの出産を支援する祖父母のための特別休暇や幼稚園への迎えの時間を特別休暇とするなど。
介護職 崎野将樹さん(男性育児休業取得者)
「育児休業は職場内に前例があったので取りやすかったです。休業前は勤務体制の調整に少し時間を要しましたが、十分な引き継ぎができた後に休業したため、家事・育児にしっかり取り組めました。休業を取得したことで、仕事を効率よくこなし、何事にも柔軟に対応できるようになりました。仕事に活かせるよい経験ができたと思います。私生活の充実=仕事の充実につながると思います」
≪取り組みの成果と今後の目標≫
ベテラン女性職員をはじめとした貴重な人材が、家事や育児などを理由に辞めることなく働き続けることができています。特別休暇として制度化したことで、両立支援の必要性を職員に意識づけできました。支援制度を利用しやすい職場環境づくりを促進していきます。「おたがいさま」の気持ちを幅広い年齢層にどう浸透させていくか、お互いにサポートできる体制を作っていきます。(法人本部係長中嶋明美さん)
【協力】
社会福祉法人安岐の郷従業員数:262人(男性59人・女性203人)「大分県男女共同参画推進事業者顕彰」H19年度受賞
「大分県仕事と子育て両立支援モデル企業」H22年度指定、「子ども若者育成・子育て支援功労者表彰」最高賞の内閣総理大臣賞H23年度受賞
≪女性が活躍できる環境づくりをしている例≫
株式会社オーイーシー (大分市)情報サービス業
【男性社員の育児休業取得を推進】 【男女に関わりなく能力本位の採用・人事で、女性登用を推進】
その他、パートから正社員への登用制度、積極的な女性の採用、資格取得の際に一時金を支給するなどキャリアアップの支援、短時間勤務制度の延長(子どもの小学校入学前まで)などにも取り組んでいます。
【男性社員の育児休業取得を推進】
ITソリューション部 保険システム保守グループ 惠藤真文さん(男性育児休業取得者)
「日頃からの仕事のみえる化を意識して働き、上司や同僚と情報共有できていたので、休業中も特に問題なくスムーズにいきました。改めてコミュニケーションの大切さを感じましたし、マネジメント力が仕事にも活かせています」
【女性登用を推進】
女性のロールモデルを育成するため、外部講師を招いての女性セミナーや会社幹部とのランチミーティング、女性社員交流会などを行い、女性自身の意識改革を促すなど。
自治体クラウド推進部 クラウド推進グループ長 関志野さん(女性管理職)
「上司から管理職への打診があった際は不安や迷いもありましたが、今ではチャレンジしてよかったと思っています。目標とする先輩方に出会えたことで頑張れました。女性の視点を活かした働きやすい職場づくりを考え、積極的にコミュニケーションをとるようにしています。後輩には、『何事もやってみよう』というチャレンジ精神を大切にしてほしいです」
《上司から》
ロールモデルとして、後輩の目標にされることを意識してほしいと思っています。管理職になることへ不安や遠慮を感じている女性が多かったので、本人とじっくり話し合いの時間をもちました。不安や悩みを解消することで、女性が一歩踏み出すきっかけをつくり、奮起を促しました。
≪取り組みの成果と今後の目標≫
女性の活躍促進を進めていくなかで、男性の意識、社内の雰囲気も変わってきました。労働力の確保、生産性の向上、品質の維持をしていくために女性の活躍促進は必然的なことで、男女共に、若いうちからキャリア形成を考えながら、経営感覚を磨くことが大事です。社内の意識改革をさらに進め、女性を核にこれからも変化を続けていきます。 (常務取締役管理本部長後藤宗平さん)
【協力】
(株)オーイーシー 従業員数:315人(男性216人・女性99人)
「大分県男女共同参画推進事業者顕彰」H21年度受賞
「大分県仕事と子育て両立支援モデル企業」H26年度指定
女性が能力を発揮できる環境づくりには、男性が今の働き方を見直すことが重要となってきます。県では、男性の育児参加の促進に取り組む企業をモデル企業に指定し、次世代育成支援対策推進法の認定を受けられるよう応援しています(現在46社指定)。
問 労政福祉課 ☎097—506—3327
県内のさまざまな企業で活躍する女性管理職の方々のネットワークを組織し、情報共有することで交流を深めています。管理職を目指す女性のロールモデルとして、更に活躍することを期待しています(現在44企業50名参加)。
問 消費生活・男女共同参画プラザ(アイネス) ☎097—534—2039
男女が共にいきいきと働くためには、ワークライフバランスという考え方が大切です。これは、出産・育児支援や介護支援、恒常的な長時間労働の見直し、働き方の柔軟性を高めることなどを通じて、個人がそれぞれ置かれている環境や希望に応じた働き方を選択し、仕事と仕事以外の生活両方が充実するような取り組みをいいます。生活が充実してこそ、仕事にも活気が生まれます。働き方を見直すことで、ワークライフバランスを推進し、いきいきと働き続けられる職場環境をつくっていくことが重要です。
ワークライフバランス推進アドバイザーがお手伝いします!
県内企業のワークライフバランス推進に向け、就業規則の見直しや働きやすい環境づくりについてアドバイザー(社会保険労務士)がご相談をお受けします。お気軽にご利用ください(派遣無料・年2回以内)。
問 労政福祉課 ☎097—506—3327