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知事からのメッセージ 風紋 -祝 世界農業遺産

印刷ページの表示 ページ番号:0000277459 更新日:2013年7月29日更新

祝 世界農業遺産

大分県知事 広瀬勝貞

 国東半島・宇佐地域の農林水産業の営みが、世界農業遺産に認定されました。

 バタバタ事が進んだため、未だに「そもそも世界農業遺産って何?」と、多くの方に聞かれます。

 世界「文化」遺産というのは、ご存知の方は多いと思いますが、今度の世界農業遺産は、その「食糧農業」版と言えると思います。一方が国連教育科学文化機関(U N E S C O)によって、歴史文化遺跡を世界的に価値あるものとして認定するのに対し、こちらの方は同じ国連でも、食糧農業機関(F A O)によって、食糧農業の営みを世界的に保存すべき大事なものとして認定するものです。

 「県民にとっては普通に見慣れている国東半島宇佐の農林水産業が、そんなに価値のあるものか」と思われる方も多いと思います。今回の申請テーマは「クヌギ林とため池がつなぐ農林水産循環~森の恵みしいたけの故郷~」でしたが、大分はクヌギ林の集積が日本一なんです。そして、このクヌギ林が形成した保水マットを通じて、ため池に水を蓄えます。クヌギはご存知のように原木椎茸を育み、乾椎茸日本一の原動力になっています。水は、田染荘に代表される稲作や国内唯一の七島イの栽培を可能にしています。豊かな森が創り出すミネラル分たっぷりのこの水は、また、姫島のクルマエビや日出の城下カレイを育んでいます。こうしたシステムにより、余り恵まれない条件下でも食糧と生計の手段を確保していることが評価されたポイントと考えています。農地ではなく木から食糧が生産されていることも世界的な食糧安全保障の観点から評価がされたようです。私としては、地域間競争の時代、日本一を誇る本県の乾椎茸が、他国、他県でなく本県で世界ブランドを取得できて良かったと思っています。

 「それにしても、認定のメリットは何か」ということもよく聞かれます。
 今回の認定は、こういう農林水産業の「営み」が世界に認められたということです。地域の方々にはこのことに自信と誇りを持って農林水産業に携わっていただきたいと思います。折角、世界ブランドを得たわけですから、これを活用して、地域の一次産品の売り込みを強化したり、6次産業化に繋げて起業するチャンスでもあります。空港に近いという地の利もあり、交流人口の増加も見込まれ、観光面でも期待できます。そんなわけで、この認定をどう活かしていくかは、これからの取組如何にかかっています。県では、今回の認定が農林水産業や地域の振興につながるよう、しっかりと応援したいと思います。

 県政だより新時代おおいたvol.89 2013年7月発行