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特集2 「産業集積」で未来を拓く

印刷ページの表示 ページ番号:0000122216 更新日:2011年3月23日更新

特集2 「産業集積」で未来を拓く 

特集2

産業集積 これまでとこれから

次なる飛躍を
自動車産業

 平成16年、ダイハツ車体(株)(現:ダイハツ九州(株))の操業開始を皮切りに、大分県に自動車関連企業の進出が相次ぎました。
 これを大きなビジネスチャンスととらえ、自動車産業への新たな参入や取引拡大を目指す地場企業が結集し、「大分県自動車関連企業会」を設立。県は自動車産業振興に向けた新たな計画を策定し、企業会とともに多角的な支援を行ってきました。
 まず重要なのは、進出企業の求める高い水準のQCD(品質・コスト・納期)に応えることです。そこで現場での技術指導などにより、地場企業全体の技術力向上を図りました。また、新規参入へのハードルを下げるため、進出部品メーカーとの仲介も実施。意欲ある中小企業が参入しやすい環境づくりに力を入れています。
 こうした取り組みの結果、何らかの形で自動車産業に参入した企業は、平成18年の39社から平成22年には104社に増加。メッキ加工など、県内に集積の少ない分野でも参入があり、産業の裾野が一層広がりました。
 現在、自動車メーカーは低燃費、低価格競争のただ中にいます。さらなるコストダウンを図り、輸送費のかからない地場での部品調達に切り替えています。これは、地場企業にとって大きなビジネスチャンス。しかし同時に、今後はさらに安価な海外製部品との競争激化が避けられません。
 これまで以上に高い水準のQCDが求められる中、一層の技術力の研鑽や積極的な売り込みの姿勢が必要となっています。

 

技術指導の様子

 

最先端のものづくり産業
半導体産業

携帯電話やパソコンなど、デジタル機器の進歩を支えてきた半導体産業。その最先端の技術が、ここ大分県に集積しています。
 県は平成17年、国際競争力のある半導体生産拠点の構築を目指す「おおいたLSIクラスター構想」を策定。その推進機関として、産学官からなる「大分県LSIクラスター形成推進会議」が設立されました。
 ここでは進出企業の協力のもと、地元企業が技術向上に向けた取り組みを行っています。ともにレベルアップに努めることで相乗効果を生み、地域全体の競争力を押し上げました。
 半導体の製造においては、アジアが世界の過半を占めています。そこで昨年、アジアへの展開も視野に、韓国の忠清北道とビジネス交流の覚書を締結。商談会の共同開催や技術交流などを通して、ともに切磋琢磨していく考えです。
 大手企業の進出や関連企業の成長によって、今や集積回路製造業における大分県の出荷額は全国第2位。県の経済を牽引するリーディング産業に成長しました。
 世界に通用する半導体クラスター(集合体)の形成を目指し、企業の体質強化を支援していきます。

商談会への出展

 

 

新たな産業の集積に向けて

 エネルギー問題に一手!
 次世代電磁力

 今世紀の重要な課題である環境・エネルギー問題。その解決に向けた高効率・省エネルギー設計の実現は、未来を担う産業として大きな注目を集めています。 
 大分県は、大分大学が持つ「ベクトル磁気特性理論」という独自技術をもとに、産学官が連携して「次世代電磁力」の応用技術の開発に取り組んでいます。これは、身の周りのさまざまな製品を動かす基盤である「モータ」を、電磁力を利用して小型化、高出力化する技術です。
 国内の電力消費量の53%はモータの稼働によるものとされ、モータの効率を高めることで電力消費量の大幅削減が可能に。まさに時代の要請に応える“次世代テクノロジー”といえます。
 県は、こうした優れた研究成果を積極的に県内企業に伝えてきました。今年度は、それらの成果と企業の独自技術を組み合わせた新製品、「小水力発電システム」を開発中です。
 大分県で、省エネ・高効率の環境循環型産業の新たな集積が始まっています。 

新たな可能性を
医療産業 

 大分県から宮崎県に広がる東九州地域には、血液や血管に関する医療機器メーカーが多数立地しています。医療機器生産額でも全国第3位の大分県は、国内有数の医療機器産業の拠点です。
 医療産業は、国の「新成長戦略」においても成長牽引産業として位置づけられています。大きな発展の可能性を秘めたこの分野で、さらなる集積を進めようと、昨年度大分県と宮崎県が共同して「東九州地域医療産業拠点構想」を策定。構想では、研究開発や人材育成など4つの分野で拠点づくりに着手することが明記されました。
 また、温暖な気候や食、温泉など地域資源にも恵まれる東九州地域。高度な予防医療とそうした地域資源を結びつけた新しい医療サービスを創出し、滞在型医療などにもつなげていく考えです。 
 目指すは「アジアに貢献できる医療拠点」づくり。構想の具体化に向け、産学官一体となった取り組みが進められています。

 

 

 医療産業画像

 

 

世界へ!躍進する地場企業

  

 半導体の製造過程の中で、組み立てやテストを行う工程を「後工程」といいます。この後工程の分野で世界に挑む企業、それがジェイデバイスです。
 「現在、後工程を外部に委託するケースが世界的に増加しています。当社は国内で最大規模の後工程受託企業。売上げでは世界6位レベルを達成しました」と、同社の井上陽一さん。
 昭和45年、同社は仲谷マイクロデバイスとして創業。 東芝の協力企業として規模拡大を続けてきました。そして昨年、東芝や世界第2位のシェアを持つ米アムコアテクノロジー社からの出資を受け、新たにジェイデバイスとして出発しました。
 「国内企業への売り込みの成果が期待できますから、まずは国内でのシェアを広げたいですね。また、海外企業からも引き合いがあります。当社では製造拠点を大分県内に集中させており、工程を効率的に短期間で完成させることが可能です。これは各工程を管理するための負担、コストを下げたい大手企業にとっては大きな魅力です」と井上さんは語ります。
 今も台湾企業との商談が進行中という同社。世界での競合に向け、技術力やコスト削減、顧客対応力に磨きをかけています。
 「成長していくためには、リスクを恐れてはいけません。国際競争力をつけて、世界の中で戦っていく姿勢が今後必要ではないでしょうか」。
 “世界のリーディングカンパニー”を目指し、飛躍するジェイデバイスに期待がふくらみます。