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お陽さんと新エネルギーの里づくりを目指して

印刷ページの表示 ページ番号:0000280804 更新日:2013年9月30日更新

鳴沢地区

 大分県は、再生可能エネルギーの供給率・自給率ともに日本一です。県内では、さまざまな自然エネルギーの利活用が進んでいます。そこで今回は、地域ぐるみで太陽光パネルを活用した発電事業に乗り出し、地域活性化につなげようと挑戦している由布市庄内町の鳴沢地区の取り組みをご紹介します。

津行さんと二宮さん←津行 俊治さん(左)と二宮 和善さん(右)

地域で取り組む!太陽光発電

 由布市庄内町にある宇南水足(うなめみったり)自治区、通称鳴沢地区は、南向きの斜面に家々が集まる人口107人、37世帯、高齢化率が約42%の自然豊かな集落です。ここは、県が昨年度から始めた「地域新エネルギー導入モデル事業」の認定地区第一号で、地域住民自らが地域資源を活用して再生可能エネルギーを導入し、地域活性化を目指しています。今回導入したのは、日当たりがという良い地の利を生かした太陽光発電です。

 地域住民で構成する鳴沢環境部会の二宮 和善会長とエコ推進委員の津行 (つゆき)俊治さんに、地域ぐるみで太陽光発電の導入に取り組んだきっかけなどを伺いました。

 「私たちはもともと環境に対する意識が高く、早くから環境部会を設けて保全活動を続けていました。しかし高齢化が進む中で、今後もこの活動を継続していくためには区費以外にも収入を得ることが大事だと考え、平成23年に活動拠点となる公民館の屋根に太陽光パネルを設置し、売電収入を得る方法を始めてみました。これにより、新しい地区の行事に取り組むことができ、公民館の維持管理費も一部賄うことができるようになりました。また、非常用電源の確保などにも活用できるので、防災対策にもつながりました。

 この経験があって、よりエネルギー問題について話し合うようになり、『地域で使うエネルギーは、地域の自然資源を使って確保したい』という思いが強くなりました。また、平成24年7月から始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度を活用して売電収入を得ることで、かけがえのない自然の恵みと地域コミュニティを次の世代に残すための活動資金を確保したいと思いました。これが今回挑戦したきっかけです」と二宮さん。

 そして今年3月、鳴沢環境部会が事業主体なり、据え付け可能な17世帯の屋根などを地区住民から借り受け、合計出力約72kWの太陽光パネルを設置。現在は、1kW時当たり42円で発電の全量を九州電力に売電しています。最初の10年間は、売電収入を事業費の返済に充て、その後は3割を祭りや地区の維持管理費などの自治会費、残り7割は設置した世帯で分配をするそうです。

 津行さんはこう言います。「この事業を計画した時に、最初は『パネルが重くて屋根が傷むのではないか』、『10年後の活動費というとかなり先の話になる』という意見も出ました。しかし、勉強会を重ねて説明をしていくうちに、環境に良く、子孫のためにもなるということで最終的に皆さん快諾をしてくれました。

 3月6日から売電を開始して7月末までで34,366kWhの発電量、CO2排出量削減量は17,284kgとなりました。CO2を杉の木で吸収させた場合、約1,233本植樹したのと同じ効果となるので、早速成果が目に見えて嬉しいですね。祭りや季節ごとの行事、水路の清掃などみんなで協力をして行うまとまりの良い地域でしたが、より結束が強まったと実感しています。また、高校生や他地域と交流する機会も増えました。秋には大学生と一緒に何かできないか企画もしています。これらも地域の活力につながるので、今後もさまざまなことに挑戦をして、太陽のように輝く地域づくりを目指していきたいです」。

 再生可能エネルギーを地域の課題解決や活性化につなげる鳴沢地区の取り組み。県内各地に広がることで、本県の新たな活力源になることが期待されています。

地域の皆さんの声

環境学習会を開催

野上さん 学習会の様子

 8月24日、鳴沢地区では第1回学習会が開かれました。講師は、大分県環境教育アドバイザーの野上 和彦さん(NPO法人おおいた地球環境デザイン理事)です。初回のテーマは、「地球温暖化 今、私たちにできること」。野上さんは、学集会内で「電気を1kW使うと0.55kgのCO2が排出されます。年々排出量は増加していますが、地域でまとまって太陽光発電を始めた皆さんの取り組みは、地球温暖化防止に貢献する素晴らしいことです。せっかくですから、個人のライフスタイルも見直して今より50%CO2を削減できるよう一緒に勉強しましょう。そして、将来的には日本一環境に優しい生活を送っている地区を目指しましょう」と激励しました。

鳴沢地区では、「お陽さんと新エネルギーの里づくり」を着実に進めています。