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特集1/豊かな農業の確かな未来
特集2/「おおいた大茶会」を楽しもう!
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県民ひろば1/おこさず あわず 事故ゼロ
県民ひろば2/うま塩レシピで健康な食生活を
おおいたゆかりの図書/心ひらいて/おおいたの食彩
【PDF版】新時代おおいた [PDFファイル/9.1MB]
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大分県の農地の約7割を占める水田。そこでは主に米が作られています。平成30年に、国は米に関する政策を大きく見直すことにしており、水田農業を取り巻く環境が大きく変わろうとしています。
米は、主食として食卓になくてはならない特別な農作物であり、昔から多くの農家が米づくりに携わってきました。
一方で、ライフスタイルの変化や人口減少、高齢化により、米の消費量は全国で年間8万トンのペースで減り続けています。
この結果、米が余る傾向が続き、価格が低下してきました。
価格が下がりすぎると農家が米を作り続けられなくなることから、国は、農家毎に生産量を割り当てる取り組み(生産調整)を行ってきたほか、この割り当てを守った農家に対してのみ「米の直接支払交付金」を交付することで、米の作りすぎを抑制してきました。
今回、平成30年の米政策の見直しとして、この2つの制度が廃止されることが決定しています。
平成30年以降、農家が米を多く作りすぎれば価格が下がり、経営が難しくなります。また消費量の減少に応じて米の作付けを減らし、そのまま水田を使わなくなれば、荒れた農地がますます増えてしまいます。
そこで県では、平成30年以降も生産量の目安を独自に設定して地域に示し、需要に応じた量の米の生産を促していくこととしています。
また、収益性が高い園芸作物の水田への導入や米の低コスト化、高付加価値化など、新しい時代にチャレンジし、水田農業の経営基盤を強化していく農家をしっかりとサポートしていきます。
県内には、政策の見直しに先駆け、経営基盤を強化し、新しい時代にチャレンジする農業経営者がいます。
農家所得の安定を図る目的で水田の一部を畑地化し、収益性の高い園芸品目の導入を進めています。
以前は稲作に加え、畜産や野菜を生産していましたが、基盤整備事業をきっかけに米の生産コスト等を考え、ニラの専作になりました。水田をそのまま利用してもニラ栽培は可能ですが、収量を上げるため、排水対策などの土作りはしっかりしています。
農地が荒廃していくことに危機感を持っている人や、水稲以外にも何か新しい作物に挑戦したいと考えている農家は多いと思いますよ。
ニラ専作への転換は、農家として経営していくために流れの中で行ったものですが、将来を見据えた経営判断が必要だと考えています。
規模拡大は、農家が単独で行うのは難しいですね。農地中間管理機構が利用調整を行い、意欲のある農家に分配するシステムができているので、今後面積を拡大していく時には利用したいです。
「芦刈地区に耕作放棄地を作らない。地元の収益向上と雇用を増やしたい。」と、平成17年10月に法人を設立し、現在は、常時雇用7名、パート22名がいます。
2年目から、園芸品目のアスパラガスを導入しました。雇用を継続させるには、米・麦・大豆だけでなく、年間を通じた作業と収入確保が必須。一年中、継続した収入があるように生産品目を決め導入しています。
園芸品目は水田に導入していますが、収益を上げるには、排水が良いことが重要。芦刈地区は、地元の方の理解もあり、FOEAS(フォアス:地下水位制御システム)を導入し、園芸品目に取り組みやすい条件を整えることができました。また農地集積も、農地中間管理機構の事業を利用し、芦刈地区の9割を集積できました。今後も担い手のいない近隣集落も視野に入れ、さらなる集積を進め、70haまで経営面積を広げたいですね。
低コスト技術として水稲の乾田直播の導入を進めています。苗の育成を省くことができるため、繁忙期に労働力が分散でき、コスト削減もできる技術です。
水田の大区画化の取り組みは、「田んぼが続いているのになんで一枚にせんの?」と知人に声をかけられたのがきっかけです。水田の持ち主に話をしたら、「好きにしていいよ。」と言ってくれて、地域の方の協力を得て、中畦を除去しました。平成23年には276枚あった田が平成27年には167枚に整備でき、作業効率もあがっています。
水稲の乾田直播も、麦の播種機でできると聞いて、「ちょっとやってみよう」と気楽に取り組みました。広い圃場も播種作業は基本的に一人ででき、労働力はかなり少なくてすみます。水管理や除草作業等、手をかけるポイントをしっかり押さえることで、労働力の分散、コストの削減につなげています。今後も移植栽培とローテーションを組み、取組を拡大していきたいです。
消費者の求める高付加価値な米づくりとして、関係機関の認定を受けた生産者が特別栽培米基準で栽培する、「大分つや姫」の生産を推進しています。
つや姫に取り組んだのは、先に取り組んだ知人から「つや姫はよい」と教えられたのがきっかけです。実際に食べてみると粒が大きく、色が白い。炊きたてはもちろん冷めてもおいしい。さらりとしていて若者が好む米ではないかと思います。
つや姫は、稲自体も丈が短く、倒伏しにくい。病気にも強い特性があり、特に生産が難しい品種ではないと思いますよ。早生品種なので、作業時期を分散できます。
今年8月に全国つや姫フォーラムが別府市であり参加しました。全国の生産者同士で交流できると刺激を受けますね。県が開催する「つや姫食味コンテスト」に参加するなど、少しでも良い物が作れるように、生産者として、収量や品質の向上のため、工夫しています。今後は販売力の強化が必要だと考えています。
問 農地活用・集落営農課 ☎097-506-3591